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「800余年の日本茶の歴史を守り、新しい日本茶の歴史をつくる」京都 祇園MAVO オーナーシェフ 西村勉さん

フランス料理店のオーナーシェフでありながら、日本茶文化を守り新たな文化を提唱すべく ”ティーペアリング” という抽出法を開発された、西村勉さんのお話をお伺いしました。

西村勉さんプロフィール
出身地:徳島県美馬市
活動地域:京都 東京
経歴:大阪あべの辻調理専門学校卒 2年間
大阪守口プリンスホテル入社 13年間
神奈川県小田原ヒルトンリゾート&スパ 2年間
神奈川県小田原市 la MATIERE独立開業 7年間
京都祇園MAVO 現在5年
現在の職業および活動:
株式会社 想望 代表取締役社長
京都魯山人倶楽部 執行役員
魯山人茶顧問
日本全茶連合会 委員
一般社団法人 日本ティーペアリング 協会 理事長 開発者
座右の銘:一石三鳥(以上) 神は細部に宿る(?)

「800余年の日本茶の歴史を守り、新しい日本茶の歴史をつくる」

Q1.西村勉さん(以下、西村 敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?

西村 日本茶の歴史は、今から808年ほど前に、建仁寺の栄西禅師が中国から茶種を持ち帰ったところから始まりました。その後、千利休が提唱した”侘び茶”の茶道精神で日本茶の新しい歴史が刻まれます。千利休の茶道精神は現代にも引き継がれ、表千家や裏千家などの形で残っています。

”ティーペアリング”を通して、世界で唯一無二のクオリティーをもつ日本茶の歴史を守り、今の世代に普及し次世代へも日本文化として伝承させ、新しい日本茶の歴史の起点となりたいと思っています。

昭和、平成、令和へと時代が進み、AI時代にまで突入しています。この時代だからこそ、人間の感覚センスを発揮し今まで鍛錬した味覚センスによって”ティーペアリング”を開発しました。日本茶の新たな可能性を楽しんでいただきたいです。

「無駄が無いように最善を尽くす」

Q2.その夢やビジョンを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?

西村 あらゆる角度から、最善を尽くすようにしています。

生産者、現場、消費者、マーケット、流通など、どこかが欠けてしまっては新しい文化はつくれません。どの立場の人もメリットを感じて頂くことを大切にしています。

生産者目線からは、日本茶の消費量は落ち込む一方でしたが、日本茶の需要が拡大していきます。レストラン現場目線では、アルコール消費量が低下しドリンクの売り上げが困難になっているところ、ノンアルコール飲料の充実化により売上が増加します。消費者目線では、お酒を飲めない方も、お酒を飲む方とも互いに気を遣わず食卓を楽しめるようになります。「こんなに楽しい食事ははじめて」と 涙を流して喜んでくださるお客さまもいらっしゃいました。

あと、日本茶を介して企業や団体とタッグを組み、互いに志を高めながら成就していきたいと思っています。日本全茶連では、日本茶の拡大を第一の目的で取り組んでいます。日本ティーぺアリング協会では、ロジックを理解したインストラクターを育てています。京都魯山人クラブでは、食開発の執行役員に任命され、魯山人茶として確立し海外にも発信していきます。日本茶がアメリカで流行り、海外からの逆輸入で日本に取り入れられることも考え、特許、商標登録、知的所有権獲得にも力を入れているなど、あらゆる角度から、無駄の無いように、最善を判断し最善を尽くすように取り組んでいます。

「リスペクトの関係性・利他的思想」

Q3.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような活動をしていますか?

西村 「素晴らしい日本茶を今の時代に合わせた新しいスタイルで国内および世界へと普及をなすこと」これが、私の今後の人生を賭けた「志」です。

志を中心に置いたうえで、いつも大切にしていること。
ひとつは、相手をリスペクト・尊敬することです。自分の情熱や考え方を話し、そこが繋がる。お互いにリスペクトし合い関係性を深く築くようにしています。

そして、もうひとつは、利他的思想です。自分中心では、文化や社会はつくれません。社会を創るときに、利他的に良くしたい想いがあり、良い思想が生まれ、良い社会を生み出す、その礎になるのが利他的思想だと思います。「この人の為に何が出来るのか?」と人の気持ちに寄り添い続けたいですね。

「日本茶の現状を知り、何とかしたいと思った」

Q4.「800余年の日本茶の歴史を守り、新しい日本茶の歴史をつくる」という、夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

西村 日本茶の中でも圧倒的な品質を持つ”宇治茶”の生産者であり、天皇三賞内閣総理大臣賞を受賞されました、辻 喜代治さんと出会い、辻さんとの度重なる会話で、日本茶の現状を知ったことがきっかけになりました。

日本茶の現状は厳しく、もの凄く品質の良いお茶は茶道文化で守られていますが、そうでない生産者さんたちも多く茶畑を手放す方も増えているそうなんですね。「このままで次世代に日本茶文化を繋ぐことが出来るのか?」と考えました。「いや、日本茶がマーケットに周り価値を見出さないと、次世代には繋ぐことは出来ない」「では、どうすれば?」と、自問自答を繰り返しました

この時、小さい頃に一年に一度のクリスマスにシャンメリーで家族と食卓を共有した喜びの記憶が蘇りました。他にも、レストランの課題や、過去に飲んだ玉露の味わいなどの記憶が蘇り、その記憶の点と点が繋がって線になり、”ティーペアリング”のビジョンが生まれました

辻さんと語らいながら使命感が育ち歯車が動き出して行きました。辻さんや日本茶に関わる人たちに恩返ししたい、消費者の方たちも喜ばせてあげたい。それが僕自身の喜びでもあります。

「竜馬の様な男になるには?」

Q5.「日本茶の現状を知り、何とかしたいと思った」という、発見や出会いの背景には何があったのですか?

西村 レベルは違いますが、幼少期から利他の心を持っていたと思います。虫を殺したり命を軽視することは嫌でした。なぜ、このような心が育ったのかは分かりません。

ただ、僕は四国出身で坂本竜馬をずっとリスペクトしていました「僕も歴史に名を残したい」と考えていましたね。

歴史を変えるには、人と同じレールを走るのではなく、レールを飛び出し自分のレールを走ることだと思いました。その道で困難と出会ったときに「竜馬の様な男になるには?」と探しました。AIも出てきて機械化される現代だからこそ、人類の感性や感覚を大切にしていた古きよきものをもう一度掘り返すことが必要じゃないかと思っていて、その結果 日本茶と出会いました。

目先の私利私欲で、次世代に悪影響を及ぼす事はいけないと思います。時代の当たり前をやらず、「何が正しいか、どの行動が美しいか」を考えています。

「小学校低学年で習ったことを実行する」

Q6.これからの若い方へのメッセージをお願いします。

西村 僕も大切にしている、「リスペクトと、利他的な心」はどこでも出来ます。人と仕事をする上で、相手のことをリスペクトできるのか。成し遂げようとしているものが、利己主義なのか、利他主義なのか。世の為 人の為から出発しているかを確認をすることはとても重要だと思います。みんなが利他主義だったら、今の様な社会にはなっていないと思います。

あと先見性をもつことも重要です。目の前も重要だけど、3年後、5年後、10年先の社会を予測して、自分が社会や日本経済にどう影響するかを観ながら、今という通過点を送ることが大切だと思います。

記者 とてもシンプルな事ですね。

西村 はい(笑)。大人になると、損得勘定が働いて難しくなるのですが、「感謝すること」や「人の為になること」など、小学校の低学年で習ったことを実行するだけのことなんだと思います。

記者 ありがとうございました。西村さんの生き方は、現代社会を生きる私たちひとりひとりにとって、とても大切なメッセージになると思いました。お互いにリスペクトしあうこと、利他的な心を持って未来も考えて今を選択する。そういう人が一人ひとりと増えて行ったときに、豊かな社会が広がると思いました。日本の美しい日本茶の文化を守っていただき、ありがとうございます。

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西村勉さんの活動、連絡については、こちらから
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Facebook:https://www.facebook.com/matiere.tsutomu

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ティーペアリング協会:

【編集後記】インタビューの記者を担当した熊倉です。

西村さんの長い歴史と伝統のある日本茶を守り、千利休以来の新しい日本茶の文化をつくる、歴史的な大きなチャレンジと着実な行動力には、とても勇気と希望をいただきました。今からのAI時代に対して、人間の生き方や働き方、社会モデルを提唱される希望のメッセンジャーだと思いました。Re・riseニュースも共に、日本の美しい文化を日本と世界に発信していきたい!と思いました!貴重なお話を、本当にありがとうございました!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


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