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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2021年4月の記事一覧

涙の後は晴れ上がる ~二十間道路の桜雨~

「モーベン! 間もなくよ」蒲生久美子はレンタカーのハンドルを握りながら、スコットランド人…

昭和からの贈り物

「ほう、もう使っているのか?」今日は昭和の日。太田健太はデートの待ち合わせのために、ある…

広南従四位白象

「昨日4月27日は世界バクの日。おかげでバクを見に多くの客が来てくれた。さて今日4月28…

夢を食らいそして与える

「あれがバクか。まるで白いパンツをはいているみたいだな」  海陽は優奈を連れて動物園に来…

最期の足掻きと至福のひととき

「ここは? あ! 何だこれは? 足がくくりつけられている。何? 動かない」  イノシシは…

ギヨティーヌ ~苦痛の少ない人道的な処刑道具~

「従来の死刑執行方法に関しての提案であります」ときはフランス革命が勃発した正常不安な時期…

駄菓子屋のワニ

「ん? 初日だからか? ずいぶん気合入れすぎたな」早起きした博は時計を見た。予定時間より30分早い。 「ちょっと、自室に入っている。迎えが来たら呼んでくれ」すでに出発の身支度も、朝食も取り終えている。今日から新しいスタートだから気合が入りすぎているのだろうか?  博は妻にそう伝えると自室に入った。 「30分じゃ、やれることが限られるな」博は自室のデスクに置いてあるパソコンの電源を入れることを止めておく。 「何か時間がつぶせるもの、読書でもしようか」博は本棚に視線を送る。立派

フリードリヒの考えていること

「普段私は、ワインもビールも飲まないんだ。1杯飲むだけで人生を涙の谷にしてしまうからね。…

塩サバの焼き物にささげる座右の銘

「お、今日は塩サバか」仕事から帰ってきた霜月秋夫は、さっそく着替えて食卓の前に来た。 「…

思い出せない夢

「......」  目が覚めた。突然意識が我に戻る。直前まで夢を見たんだろう。ここは布団の上。…

諏訪湖の夜景と星空

「本当なら夏の花火大会のときに来ればよかったんだろうな」「そんなことないわ。花火よりも自…

2018年1月23日の夜にベトナム・ダナンで起きたこと

「うわあ、懐かしい。圭さんこれ見て」「どうしたのホアちゃん」  ベトナム人の妻ホアに呼ば…

エキスポの夢

「ああ、これは感動した。この写真また見れてよかったわ。あのときじいちゃんへの夢を果たすっ…

鬱? イライラからの脱却 ~癒しのひとときを求めて~

「なんとなくイライラする。何だろう一体。こうのんびりと癒されたいなあ」吉岡はそう言ってため息をつく。最近どうも状態が悪い。理由がはっきりしないが、どうも苛立っているようだ。根本的な原因がわからない。  かといって健康面で悪いわけではなかった。特に便秘とかそういうこともなく、毎日快便と言ってもいい状態。食欲も十分だ。ということは精神的な面で良くないのかもしれない。と言っても不眠症ではなかった。なぜならば布団に入ったらものの十数分もすれば、記憶が無くなる。つまりよく眠れているの