闇が開ける、夜が明ける、そして広大な間が空ける
「あ、五十嵐君。停電」福本真由美は大学時代のゼミで知り合った、五十嵐翔太と初めてのお泊りデート。ここは実業家の御曹司でもある翔太の別荘である。「あちゃ。なんだよ急に」非常灯は廊下にあるが、部屋の中には何もなく、真っ暗だ。
「こういうとき、電気のありがたみがわかるわね」暗闇を楽しんでいるように真由美は嬉しそう。対照的に翔太は焦っていた。
「ちょっと待ってろよ」「いいよ。これがあるから」と真由美はスマホの電気をつける。「へえ、マジで。ねえ。五十嵐君、今日3月25日って電気記念日だ