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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2021年3月の記事一覧

小説という著作物の販売ができたこと

「これって、やはりマニアックだった」ある人は、バスの後部座席に座りながら思わず腕を組んで…

とある教授が語る恋の思い出

「先生、本日は素敵な講義ありがとうございます」特別講義が終わった大学教授の市川晃に、出席…

バスジャックに遭遇

「久しぶりの実家だっていうのに、厄介なことになっちまったぜ」  グルメ雑誌の編集長・茨城…

絹の道への入口

「どうしたの? せっかくの旅行なのに、あんまり表情が冴えないわね」 「え、あ、まあね」と…

桜と梅と桃

「もう、桜が咲いているのか」病院の窓から見える桜は7分咲くらいであろうか? 大学生の大樹…

恐竜のソファ

「ねえ、大きな恐竜さんのソファよ。楓ちゃん座っといで」霜月もみじは、娘の楓に目の前にある…

闇が開ける、夜が明ける、そして広大な間が空ける

「あ、五十嵐君。停電」福本真由美は大学時代のゼミで知り合った、五十嵐翔太と初めてのお泊りデート。ここは実業家の御曹司でもある翔太の別荘である。「あちゃ。なんだよ急に」非常灯は廊下にあるが、部屋の中には何もなく、真っ暗だ。 「こういうとき、電気のありがたみがわかるわね」暗闇を楽しんでいるように真由美は嬉しそう。対照的に翔太は焦っていた。 「ちょっと待ってろよ」「いいよ。これがあるから」と真由美はスマホの電気をつける。「へえ、マジで。ねえ。五十嵐君、今日3月25日って電気記念日だ

蓮子鯛物語

「もはやこれまでか」平家にあらずんば人にあらずと言わしめた平家の時代は、間もなく終焉の時…

樹海の中で起きたこと

「さて、せっかく山梨まで来てもらって悪いが、今日は富士急ハイランドにはいかないからな」敦…

ゴールデンホール

「大器晩成アーティスト『ウコン・タカヤマ先生』が描かれた、至高の名作『ゴールデンホール』…

#呑みながら書きました その内容は?

 いつもとは違うアルコールを飲もうと思ったとき、それを購入した数日前を思い出す。春の日差…

春分の日・宇宙元旦というキリの良い日に買いに行った電卓の話

「宇宙元旦かぁ」鶴岡春香は独り言をつぶやく。それを横で聞いていた酒田洋平。「何それ。宇宙…

ファインダー越しから見える常夏の世界

「このカメラ... ... うーんちょっと高いわ」  大学生の愛美は、プロのカメラマンを目指して…

農園の精霊

「やっぱりだめか。そろそろ無理かしら」  私は緑のうっそうとした山が迫った広々とした里山で、小さな農園『コスモスファーム』を経営している。ここはひとつの種類を数多く出している農園ではない。数多くの種類の野菜を栽培していた。だから季節ごとにいろんな野菜が育ち、そして出荷するの。方法はネットの通販や畑の近くで月一回開催しているマルシェでの即売。それから一部の作物は近くのJAに持ち込む。  だから扱っている農作物は多岐にわたる。誰もが知っている野菜もあれば、七草になるような珍しい