マガジンのカバー画像

日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

957
2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

死者との恋愛

 健太郎はひとりでは飲まない酒を静かに飲んでいた。横にはひとり息子の陽太が先に眠っている…

What is a beckoning cat?

「おい、ゴウト! また顔を洗うフリにゃどしおって、まるで招き猫だな」「うるさいにゃ!イマド…

180分の一期一会

「サンジカン ノ コース オススメ デス」とガイドに言われ、車を降りたのは大山達也。彼が…

先祖降臨 #ぐるぐる話(第40話)

 この物語は、tsumuguitoさんの企画しているリレー小説。ぐるぐる話の40話部分です。これまで…

おむすびの中にあるもの

「よし、これで行きましょう」温水美穂はおむすびを完食すると、残った8個のおむすびをラップ…

秋の雨 ~何故あめは降るのか~【小説】

「雨が強くなってきたわ。明日も雨かしら」  私はネットで明日の天気予報を確認した。予報で…

畳の上に現れたもの

「やっぱりプロに頼むときれいだな」 健太郎は、この日クリーニング業者に自室の清掃をお願いしている。 「日本人としては、やっぱり畳が一番。でもこれ掃除が意外と面倒なんだよな」とつぶやきながら、きれいになった6畳間の部屋をうれしそうに見つめた。気になっていた壁のシミもきれいに取れていて、新築のような雰囲気すらある。 「引越してきたみたいだ」そうつぶやくと健太郎はその場で座り込み、さらに顔を畳につけた。そして目線を畳の上から眺めてみる。「でもところどころで、傷ついているな。そりゃ

未来小説 1年後の朝

「格別な夜明けだ」吉田は、今まさに雲の上から顔を出そうとしている朝日を見てつぶやいた。 …

彼岸に歌う勝負曲

「5月に父の3回忌も終わってから、しばらく法事がないから、久しぶりにこういうところに来ると…

敬老の日に作った初めてのCD

「じいちゃん。今日は敬老の日だね」「なんじゃそりゃ! いきなりワシに対しての当てつけみた…

秋桜を見ながら

「記事の完成を楽しみにしています」「こちらこそありがとうございました」  そう言って、箱…

黄金の三角地帯で飲むラオビアー

単独作品ですが こちらとセットで読むとより楽しめます。 「台湾ではなくミャンマー北部に逃…

生ジョッキで会えた時

「ふたりまだ来ないから、先にやっちゃえ。カンパーイ!」  夏の風物詩ビアガーデン。しかし…

競走馬の疾走に叫ぶ声

「エドワード、結構広々しているわ」「ジェーン!なんでまた競馬なんだよ。それもナイター競馬って」  エドワードこと江藤は、ジェーンと平日の夜の競馬場にやってきた。「競馬場は初めてだから楽しみ」「いや、急に競馬って、公営とはいえギャンブルじゃないか。こんなのにハマったらまずくないか」 「大丈夫。100円から遊べるらしいって」「まあ、100円ならね。でもこういうのにハマって人生棒に振る人って、最初はそこからだから... ...」とやけに心配そうな江藤とは対照的に、楽しそうに胸を張っ