基本的対処方針の改定について(マスク着用等の取扱い)

おはようございます。先週、政府の基本的対処方針が改定され、マスクの着用やイベント開催などについて対応が3月13日、4月1日を境に変更となります。皆さんの生活に関係する変更点を中心に紹介します。

① 密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、

② 密集場所(多くの人が密集している)、

③ 密接場面(互いに手を伸ばしたら手が届く距離での会話や発声が行われる)

という3つの密の回避、「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い等の手指衛生」、「換気」等の基本的対策が重要との認識を示した上で、

「マスクの着用」の考え方については、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とし、政府は各個人のマスクの着用の判断に資するよう、令和5年2月10日の分科会で示された「マスク着用の有効性に関する科学的知見」等を踏まえ、感染防止対策としてマスク(不織布マスクを推奨)の着用が効果的である場面などを示すこととします。

① 高齢者等重症化リスクの高い者への感染を防ぐため、マスクの着用が効果的な下記の場面では、マスクの着用を推奨します。

・医療機関受診時

・高齢者等重症化リスクが高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設等への訪問時

・通勤ラッシュ時等混雑した電車やバス(概ね全員の着席が可能であるもの(新幹線、通勤ライナー、高速バス、貸切バス等)を除く。)に乗車する時(当面の取扱)

② 新型コロナウイルス感染症の流行期に重症化リスクの高い方が混雑した場所に行く時は、感染から自身を守るための対策としてマスクの着用が効果的であることを幅広く周知していきます。

③ 症状がある方、新型コロナ検査陽性の方、同居家族に陽性者がいる方は、周囲の方に感染を広げないため、外出を控える。通院等やむを得ず外出する時には、人混みを避け、マスクを着用する。

④ 高齢者等重症化リスクが高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設等の従事者については、勤務中のマスクの着用を推奨します。

マスクの着用は個人の判断に委ねられるものでありますが、事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容されます。

なお、「マスクの着用」の考え方の適用に当たっては、以下の点に留意します。

・マスクを着用するかどうかは、個人の判断に委ねることを基本とし、本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう周知していきます。

・子供については、すこやかな発育・発達の妨げとならないよう配慮することが重要であり、保育所等に対してもマスクの着用の考え方を周知します。

・感染が大きく拡大している場合には、一時的に場面に応じた適切なマスクの着用を広くよびかけるなど、より強い感染対策を求めることがあり得ます。ただし、そのような場面においても、子供のマスク着用については、健康面等への影響も懸念されており、引き続き、保護者や周りの大人が個々の子供の体調に十分注意する必要があります。

「マスクの着用」の考え方の適用後であっても、基本的な感染対策は重要であり、政府は、引き続き、「三つの密の回避」、「人と人との距離の確保」、「手洗い等の手指衛生」、「換気」等の励行について呼びかけることとします。

また、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが変更された以降は、基本的対処方針及び業種別ガイドラインは廃止となり、個人及び事業者は自主的な感染対策に取り組むこととなります。政府は、感染症法上の位置づけ変更後も、自主的な感染対策について必要となる情報提供を行うなど、個人及び事業者の取組を支援していくこととします。

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私は以前申し上げたように、5類移行後にマスク着用の緩和があると考えていましたが、3月13日をもって上記の変更となります。

元々、日本はマスク着用について法令等で義務付けていたわけではありませんが、政府が屋内着用について積極的に推奨し、同調圧力も含めて事実上の強制のように浸透していました。

今回、個人の判断に委ねる大原則を示した上で、以前より必要性を申し上げてきた医療機関や高齢者施設等、効果的な場面を示すことで着用の推奨に近い形を取ることとなります。医療へのリスクを考慮すると必要な措置と考えています。

新型コロナウイルスの主な経路であるエアロゾル感染にはマスクの効果は限定的であることを考えると、あまりマスクが大事だと言いすぎると、エアロゾル感染予防にとって、より効果的な「換気」に十分な関心が集まらない問題があります。
全員が一定の距離を取り、全員がマスクをして感染対策をしている気になっていても、換気が悪い空間であれば感染リスクは高いと言えますし、全員がマスクをしていなくても換気が良い空間の方が感染リスクは低いケースがあるでしょう。

そうした視点に立てば、公共交通機関の取り扱いについては、もともと換気機能が高い場合が多いことも考慮すると、しばらくは慎重な取り扱いが続くと言え、全面的にマスクを外したい方にとっては不満かと思いますが、現時点では5類感染症への移行前であり、段階的な緩和でなければ社会の大まかな共通認識が醸成されないと考えますので、この点はご理解頂きたいと思います。

事業者が従業員や利用者にマスク着用を求めることが許容されるというのは、千葉県としては重症化リスクが高い層が利用する施設や場面以外においては事業者判断で事実上の強制を行うことができるのは避けるべきではないかと提言してきましたので十分ではありませんが、5月8日の5類移行後は基本的対処方針そのものが無くなりますので、それまでの暫定的、段階的な措置と理解します。

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●学校や保育所に関する変更について

その上で学校教育活動の実施に当たっては、マスクの着用を求めないこととします。 次の事項に留意します。

・基礎疾患等の様々な事情により、感染不安を抱き、引き続きマスクの着用を希望する児童生徒等に対して適切に配慮するとともに、換気の確保等の必要な対策を講じること。

・地域や学校における新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザの感染状況等に応じて、学校・教員が児童生徒に対して着用を促すことも考えられるが、そのような場面を含め、児童生徒や保護者等の主体的な判断が尊重されるよう、着脱を強いることがないようにすること。以上のマスクに関する取り扱いについては、令和5年4月1日より適用するものとします。

・上記の適用時期にかかわらず、4月1日より前に実施される卒業式におけるマスクの着用については、卒業式の教育的意義を考慮し、児童生徒等はマスクを着用せず出席することを基本とし、その際の留意事項を示すこととします。

保育所については

・感染リスクが高い活動を避けるとともに、児童をできるだけ少人数のグループに分割するなど、感染を広げない形での保育の実践を行う。

・2歳未満児のマスク着用は奨めない。

・2歳以上児についても、マスクの着用は求めない。あわせて、基礎疾患がある等の様々な事情により、感染不安を抱き、引き続きマスクの着用を希望する子供や保護者に対して適切に配慮するとともに、換気の確保等の必要な対策を講じることとします。

・以上のマスクに関する取扱いについては、令和5年3月13日より適用するものとする。

といった内容となっています。詳細は政府資料をご覧下さい。
イベントについてはかなり緩和されているなと感じます。

学校に関しては、3月中にもマスク着用について大幅に変更との情報を収集し、県教委とやり取りの上で、官邸に直接「今回の変更は現場に影響が大きいので、混乱と負担を避けるため、学校に関しては年度で分ける方が良い」と提言してきたので、この時期設定は歓迎します。

卒業式については教育的意義ではなく、体育館のような広く換気の良い、屋外に近い環境における式典(出席者が基本的に会話しない)における扱いとして先行整理した方が理解されたのではないかと考えます。

大人も子どもも一部を除いてすぐには変われません。5月の5類移行を前に、ゆっくりと意識を変えていくことが大事です。

当然ながら感染対策が全て不要というわけではありません。特に体調不良時に出勤・外出しない、そしてそれができる、許される社会を今後も作っていくことが重要です。

マスクはミクロの観点で感染リスクを低減することに有効ですが、これだけ強い感染力のウイルスに対してマスク着用で社会的に感染を防げるものではありません。特に活発に活動する層にとっては様々な場面において感染リスクを内包しています。
ミクロの感染対策に有効な話と、社会活動全体を捉えた有効性を混同しないようにしなければいけません。

何よりマスク着用が事実上のマナーとなっていることで、一定の自粛ムードを払拭することはできない現実があります。

既に従来の減少傾向を超えての出生数の減少、婚姻数の減少などがあり、社会経済活動への影響も含めて様々な分野での可視化できる影響、可視化しづらいメンタル面への影響などが生まれています。

人は感染しないために生きているわけではありません。そして、そうはいっても重症化しやすい層の感染が広がり、医療提供体制がひっ迫することもできる限り避ける必要があります。

重症化しやすい層とその周辺に対する感染対策を継続しつつ、社会全体の正常化に向けて3月13日、4月1日、そして本番の5月8日に向けて社会は動き出すこととなります。

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