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違いから物語を見る「対話」〜ダイバーシティは“福祉”?

 素敵な本に出会いました。

『異なる人と「対話」する本気のダイバーシティ経営』 野村浩子

  私は手話通訳者ですが、マネジメントやマーケティングなども少し学びたいと思っています。
その方がもっと社会の中での手話業界の現状や課題、位置付けを俯瞰して知ることができ、業界の発展やnoteを書く上でも有益だと思うからです。

 とはいえ何度か本にチャレンジしていますが、難しい…
マーケティングとかこんがらがっているうちに図書館に返す日が来る笑
いやでも、何冊も読んでいれば少しずつ理解できてくるかも。。

 そんな中で出会ったこの本ですが、とても読みやすくダイバーシティの考え方において、私の思っていることを代弁してくれたものでした。

対話とは

 対話と会話の違い知っていますか?
この本では日本人は対話を敬遠し、会話を好む傾向にあるというようなことが書かれていました。
そしてダイバーシティ経営には対話が重要だとも。
ざっくり言うと

対話…互いの差異の確認、差異の許容。
会話…互いの人間性理解し合う、同化を促進。

 こんな感じのことが書かれていました。
これにすごく共感したんです。
私は基本「違い」に目を向けることが大事だと思っているからです。
noteの自己紹介にも書いています。


違いに目を向けるとは

“違い”が教える相手の思いと共通項

 恋愛で例えてみました!

 「彼は私と感覚が同じ」ってスタンスでいたら
モノの捉え方が違った時に、
「どうして分からないの?」「普通こうでしょ?」「なんでやらないの?」
って落胆しまう感じ。(だいぶ極論で話していますが)

 「彼は私と感覚が違う」ってスタンスなら
モノの捉え方が違っても当然だと思っていますから、
「こういう考えからきてるのかな?どんな背景があるのかな?」
と相手を深く知ろうとするイメージ。

 “同じ”は無視、不要ということでは当然ありません。
“違い”を基本スタンスにしていると
そんな中で急に現れた共通項がすごく嬉しくて、より大切なものになります。

 「彼全然違うと思っていたら、ココが一緒で盛り上がってめっちゃ嬉しい!」
ギャップ萌え‼︎的な感じ。

基本スタンスは「違いを見ること」がいいと私は思っています。
そしてもう一つ、違いの重要性を感じることがあります。

もう一段上の世界へ

 アウフへーベンってご存知でしょうか?
私が高校の倫理の授業で唯一(?)覚えている言葉。

Aという考えがある
相対するBという考えがある
BがあるおかげでAはA‘という一つ上(より良い)考えにたどり着く

というものです。(確か…)
対話ってこういうことだと思っています。

 先輩が「このデータ残しておこう」
と言ったので、敢えて
「でもそういったものまで残していたらサーバーすぐいっぱいになっちゃいますよ、捨てましょう」
と言ってみる。

対話して

簡素化してから残す
外付けに保存する
サーバーの見直しをする

等の新しい意見が出る。

 “違い” は相手の本質を責めることではなく、
そこにある見えないデメリットや優劣のない特性を表に出すこと。
解決すればそれで終わり。
先輩と喧嘩する訳でも、追い詰める訳でもありません。

 これもまた“違い” に目を向ける重要な理由だと思っています。

対話の条件

 本からだいぶ逸脱しました。
でも本には私が上記で言いたかったことが「対話の条件」として書かれていました。

①<差異の許容>=相手との差異を大切にして認める
②<対等>=聞き手と話し手が対等(フラット)な関係にある
③<物語>=相手の言葉や背景にある物語を理解しようとする
④<脱・常識>=常識や従来の枠組みのなかで相手の言葉を評価しない
⑤<新たな価値>=異なるものを受け入れて、新たな価値を創造する

『異なる人と「対話」する本気のダイバーシティ経営』より引用

 これが満たされないと、そもそも対話をすることすらできない。
確かに上項の例の“先輩”が、条件を満たしてなければ
「生意気な後輩!ケチつけてきて」と対話もできなさそうです。

 考え方の根本を教えてくれるとても勉強になる本です。
自分以外の人(?)と協働している人、社会を動かす多くの人に読んでいただきたいと思いました。

ダイバーシティって福祉?

 手を痛めて1年以上。
手をすぐ思い通りの形にできなかったりするので、通訳に復帰するの無理かも?と思っています。
でも落ち込んではなく、寧ろじゃあ別分野で経験活かしてステップアップしていこうかなと思い、転職エージェント、コーチング等を受けてみました。

 私は手話やろう者と関わったからこそ、社会でダイバーシティを実践したいと伝えました。

 まずエージェントでは、
「ダイバーシティ、障害者とのお掃除の仕事しかヒットしないんですよね」
で以後対応して貰えませんでした。
(お掃除も大事な仕事!ですが私の思いは全く伝わっていない気がする)

 有料のコーチングでは有益なこともありましたが、どうしても障害福祉に関わらせようとする感じがありました。
私は福祉系の大学も出てないし、福祉は素人だし、福祉をやりたい訳ではないとお伝えしました。
でもやっぱり福祉系一択で攻めてくるんです。
(それこそ「対話」したかった)

 ダイバーシティって福祉のこと…?
いや広義では福祉なのでしょうけど、施設職員や介助のお仕事だけに狭めることは、ダイバーシティではないのではと感じたのです。
なんなら転職エージェントだってコーチングの仕事だってダイバーシティに取り組めるのではないのかしら…?

 これは私が別分野の方に、自分の思いをうまく伝えられなかったということでもあり、伝える力を鍛えようと、noteを始めたきっかけの1つになりましたが。

 この本には様々な企業の取り組みも事例として出されています。
全てがいいとか鵜呑みにすることはないですが、どんなスタンスでどんな考えをもとに取り組んでいるのか。
ダイバーシティって具体的に結局何しようとしているのか、考えるきっかけになる本だと思いました。


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