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22時、吉祥寺公園での感情記録

先日、僕のことを好きらしい人と、
22時頃、吉祥寺公園に足を運んだ。


僕は彼のことを恋愛的には好きではない。

一緒にいても胸が高鳴る感じが全くしないのである。


12月の22時というと、とてつもなく寒い。

僕らは自販機でコーヒーとコーンポタージュを買って、並んで歩いた。


公園の中を少し進むと、橋がある。

暗闇にポツンと浮かんでいるようで、池には光が反射していた。


僕らは橋を渡り、ベンチに座った。

静かな場所だった。


およそ10年前、
当時仲良くしてた人とここに来たことを思い出した。

本名は分からない。

一緒に鶏肉を食べて、歩いて、この吉祥寺公園に来た。


10年前。

10年前というと、
初めて好きになった人から
散々もてあそばれたことが記憶に深い。

彼はいま、どこで何をしているのだろうか。


あの頃、誰かに一番優しく欲しかった時に、
その優しさが手に入らなかった。


ざるで水をすくうかのように、
手に入ると思った矢先にするすると抜けていった。


あれから10年が経ち、
優しい人にも、優しくない人にも出逢い、
傷ついたり傷つけたりしてきた。

膨大な時が流れていった。


ただ、あのときあの瞬間、
求めていた優しさが手に入らなかったことが
僕の中では大きく残っていた。


だから、

「あ〜、10年前、誰かに優しくしてほしかった時に出逢いたかったな」

と言った。

隣に座っている彼に対して。
彼はとても優しい。優しすぎて損をしてきたタイプの優しさである。

今出会っても、僕は彼のことを好きになれない。


あの頃、あの人ではなく、彼と出会っていれば、
傷つくこともなく、
ずっと優しくしてくれたんじゃないかと空想した。


でも、今、出逢ってしまった。

彼は僕のことが好きであり、僕は彼のことが好きではない。

優しいとは思うけど、その優しを、
僕は今そこまで求めていないのかもしれない。


「過去は過去だしさ、人生の中で今が一番若いっていうじゃん。
だから過去のことを考えても仕方がないし、
今出会えてよかったと思うよ」

そんな感じのことを、彼はだらだらと話した。


僕は、全然違う、と思った。


ただ静かに話を聞くことが彼にはできない。

僕はどんどん、気持ちが沈んでいった。

最後まで手は繋がなかった。

触れそうな距離で、ドキドキすることもなかった。

一方で、僕が好きだった人は、
今どこで誰と過ごしてるのだろうか、と思った。


どこかの公園で、好きでもない誰かと、
時間を共にしてたりするのだろうか。


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