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結局、索引ってどうやって作ればいいんですかね

日本国内の書籍では、専門書であるにも関わらず索引が少なかったり、全くなかったりすることが珍しくなく、問題視されているそうです。

読者の立場に立つと索引は充実していたほうがいいに決まっています。特に分厚い本については。

ところが、作る側からするとこれほど大変な作業はないのでは、と思います。

索引作業は、ある程度本全体の形が出来上がり、ページ数が増えたり減ったりしなくなった、作業の終盤も終盤で行うのが普通です。

もう発刊日も決まっており、印刷所に入稿する日も迫っている、そんな中でバタバタっと作業してやっつけで入稿してしまいがちです。

私は、とある著者に「索引がしっかりしてない本はがっかりするよね」と言われて以来、できるだけ索引を充実させようと頑張っていますが、ついついページを拾いすぎてしまったり、階層化に苦戦したりとなかなかうまくいきません。


索引作りの難しさ

そもそも索引とはなんでしょうか。

goo国語辞書によると以下の通りです。

ある書物の中の語句や事項などを、容易に探し出せるように抽出して一定の順序に配列し、その所在を示した表。インデックス。

「容易に探し出せるように抽出して」とありますが、その抽出するところが難しいのです。

例えば500ページくらいの感染症の本だとして、「ウイルス」を見出し語として選ぶと、単純に検索すれば何百箇所も出てくることが容易に予想されます。

そのため、初出箇所のみ、定義を述べているところのみ、重要そうなところのみ…など、取捨選択をする必要が出てきます。

そもそも、見出し語の選択からして難しいです。ありとあらゆる単語を拾っていては何ページあっても足りません。

どの単語・語句が重要で索引に採用すべきなのか、それらの単語・語句を代表する最もふさわしいページはどこなのか…

分厚い本では見出し語は何千に及ぶこともあります。それら全ての単語について、検討しつつ整理していくのは簡単なことではありません。


で、皆さんどうやって索引作ってるの?

そう思ったのは私だけではないらしく、既に論文がありました。

いくつか興味深い部分を引用させていただきます。

・誰が索引作る?

索引作成は、著者と編集者が共同で行っているという認識が 63%、編集者単独が26%で、著者単独で作成しているのは11%であった。
見出し語の選定は、著者が行なうのが45%、編集者と両方が 52%であった。
索引の編集は、編集者が行なうが47%、著者と両方というのが 51%

著者のみ、編集者のみで作業するということはあまりないようで、著者と編集者の共同作業という認識が多数派のようです。

ただし、見出し語の選定は著者に助けてもらわないとやはり厳しいことも多いようですね。

専門的な内容になればなるほど、どの用語が重要なのか、索引として拾う価値があるのかを判断するのは編集者の力だけでは難しいように思います。


・どのくらい時間かかる?

索引作成にかかる時間は、1 週間が 58%、2 週間が 24%であった。

1週間で終わるの!?という気持ちと、1週間くらいしか現実的には時間取れないよな…という諦めが同時に浮かびました。

もっとじっくり時間をかけて作れればなぁとも思うのですが…


・索引作りはどうやって学んだ?

索引作成の教育や訓練について(複数回答)は、独学(61%)が最も多く、次が OJT(35%)、社内研修(25%)で、社外の研修はなかった。

私も誰に教わったわけでもなく独学でやっております。

調べた限りでは、索引作りに関してしっかりまとめた本は1冊しかないようです。

(この記事を書こうとするまでこのような本があることすら知りませんでした。お恥ずかしい限りです。5分前にポチったので、いつかレビュー書きます)

また、上記論文にて言及されておりましたが「SIST13」という索引作成の指針も存在はするものの、あまり認知度は高くないようです。

(私も知りませんでした…さらっと読む限り、あくまで指針であり、具体的にどう作業すればいいのか述べているものではなさそうですが、参考になりそうです。これもいつかレビューしたいです)

こういった書籍や基準が存在することすら知らない編集者も(私含めて)いると思うので、紹介しておこうと思った次第です。


あとがき

実際に私がどうやって索引を作っているのかを書こうかとも思ったのですが、完全に独学ですし、上記のような文献も今日初めて知ったような状況なので、やめておきました。

ポチった本や「SIST13」で勉強して、もっと自分の索引作りに自信が持てるようになったらいつかハウツー記事など書いてみようと思います。






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