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スポーツビジネスサミット+

新型コロナによりオンラインでスポーツビジネスサミットプラス(SBSPlus)として開催。おかげで福岡から参加できました。

今回のゲストは、鹿島アントラーズの小泉社長。
SBSFukuoka ぶりのお話が聞けるので楽しみ。

第一部 Jリーグクラブが置かれている現状と課題
第二部 課題を解決するアイデアソン

第一部 Jリーグクラブが置かれている現状と課題

鹿島アントラーズの売上(70億円)の内訳アントラーズ

まずは、鹿島の現状の話から。
売上をあげる各項目毎に現状を説明いただき、非常に厳しい状況であることがわかります。
これは、鹿島だけではなく、他のクラブも同じような状況であることは想像できますね。

クラブのコスト面と観るとそのほとんどは人件費。
・選手人件費
・フロント人件費
これで、7割~8割を占めるといいます。
特に選手人件費はどのクラブも40%前後を占めていて、高いチームだと60%、アビスパ福岡は50%と非常に高いです。
海外のリーグでは、選手会と話し合い3割~4割の報酬削減などを行っているなんてニュースもありますが、なぜ必要なのかよく分かると思います。

今年度、売上が何割も落ちる中、生き残るためにはコストをカットしていくしかありません。しかし、Jクラブはどこもカツカツでやっており、削減する予算がない。さらに、資金的な体力もないので生き残るのに必死。
経営者としては人件費だけは手をつけたくない。

鹿島アントラーズ(Jクラブ)のチャレンジ

売上が上がらないからといって、このままこの状況をやり過ごすというわけにはいきません。

鹿島では、デジタル(IT)や地域ハブを活用した活動を行っています。

鹿行地区のテイクアウト情報。
スタート後、50件以上も注文があり、売り切れになった店舗もあるとか。

現時点で、クラブも大変だけど、法人大変。
なので、単にスポンサー費用をいただくというのは難しいので、個人からどのように収益を作れるかを考える必要があると思う。

インターネットのマネタイズの歴史を振り返ってみて、使えるものはないかなーなども考えたりもしている。

Q.ライブ中継で投げ銭などはやらないのか?
A.
daznが視聴中に投げ銭できればいいのだけど、投げ銭はアジアの文化なのでヨーロッパにはあまりその文化がないので作らないだろう。
投げ銭サービスは増えてきているので、選別しながら仕組みは作りたいとか投げている。また、ライブコマースもチャレンジしたい。

Jで唯一クラブで試合映像を撮っている鹿島

鹿島は、スタジアムに映像設備があり、Jクラブで唯一試合映像を自クラブで撮っている。DAZNにも認められ、映像をDAZNには販売して配信している。
だから、先日札幌との練習試合をDAZNで放送することができた。

今後は、鹿島のように自前で映像を作るクラブが出てくるかもしれない。

また、これからオンラインでの視聴をどれだけリッチにできるかが肝。
那須さんがやっている、那須チャンネルのようなコンテンツを鹿島がやってもおもしろいと思う。

映像だけでなく、鹿島の周辺は車社会なので、音コンテンツも作っていく予定。
テキスト、映像、音といろんなコンテンツに力を入れていくとのことで、ファンとしては楽しみが増えそうです。

スマートスタジアムによるスタジアムのラボ化

もう一つのチャレンジが、スタジアムのラボ化。
実は、カシマスタジアムは5Gが通っていて、それを活用したラボ的な活動をしたいと進めているそう。

今年、顔認証でゲート通過や物品購入などやろうと考えていた。
メルカリ社内では実証実験を終わっていて、体制が整っている。
手ぶらで行けるスタジアムいいですねぇ。

また、ジムやクリニックも持っているので、ヘルスケア部門のテック化も進めたい。

サッカーは、ホームでの試合は2週間毎くらいなので、PDCAに丁度いい。
MAAS文脈で、渋滞解消、駐車場問題などもテクノロジーで解決していきたい。

今後、スタジアムだけではなく、2-30万の鹿島の街をテクノロジーを使って活性化できるかということにチャレンジしたい。

現在、日本だけでなく海外のVCからも連絡が来ており、一緒にできるパートナーを探している。
今後、スポーツクラブがテックファンドを持つというのもありだと思う。

小泉さんのチャレンジのお話は、とてもわくわくしますね。

第二部 課題を解決するアイデアソン

ここからは、質問&アイデアソンの時間。視聴者からの質問やアイデアが続々と届きました。

Q.Bリーグなどとの連携があるのか?
A.
報道にある通りプロ野球などと連携を取っている。
今の状況は、Bリーグなどを含め連携が必要。スポーツ界全体で解決していく必要があると考えている。

Q.ブンデスはチケットを買うと、交通機関が無料になるがどう思うか?
A.
良いアイデアと思う。
鹿島では、近隣に民間の駐車場が乱立しており、マネジメントしづらい状況にある。そこで、クラブが駐車場を借り切るなどして、全てをマネジメントできるようにしたいと考えている。
高速までの信号機をネットワークで繋ぎ、スタジアムからマネジメントできるようにもしたい。

Q.ブロックチェーンを活用したファンコミュニティ構築について
A.
鹿島でも検討はしていて、できることはスモールスタートでやりたい。
Jクラブというと全サポーターが享受できるようにと考えがちだが、そうするとやりたいことができなくなるので、スモールスタートでやる。
いろんなパートナーと組んで、チャレンジしていきたい。

Q.サポーターのアイデアを吸い上げるような仕組み作る予定はあるか?
  例えばサポーター向けslackチャンネルなど開放することは可能か?
A.
slackでやるかはわからないが、コミュニティは作りたいと考えている。
意見の吸い上げについては、自分にメンションされているものはすべて見ているし、エゴサーチもしている。意見がある場合はどんどん言って欲しい。

Q.ファン・サポーターをつなぐ役割を担う選手作ったり、
  選手とそういう話をしたりはしているのか?
A.
キャプテンだからといって、やらせるというのは違うと思うし、
この情報社会でそういう感じは見抜かれてしまう。
クラブとしては、やりたい選手がいたら、その環境を整えてあげたい。
また、選手とファンとの距離が近ければいいというものではないと考えている。その代わりにレジェンドをうまく活用したいと思う。

Q.スポーツと行政のソーシャルグッドやヘルスケアの取り組みをやってほしい。
A.
地域の健康を良くするヘルスケアの取組みを強めたいという想いはある。
また昨年はアントラーズ主催のお見合いパーティを実施(マッチングはしなかったけど)
こういう取り組みは地方の未婚率や定住化率の向上につながると考えている。

カシマスタジアムは今年から再入場OKにして、コンコースでサッカー以外に楽しめるコンテンツを増やしたいと思っている。

Q.サッカーに興味がない人を取り込むことが大事と思うがどうか?
A.
サッカーをみる人は人口の数%
サッカーを知ってる人は、サッカーをどう見せるか、良いサッカーをと考えがちだが、それでは広がらない。
今後、スタジアムでの滞在時間を測っていきたい。
例えば、家族でスタジアムに来るけど、サッカーは見なくて、その時間ヨガをやっててもいい。まずはスタジアムに来てくれることが大事。
スタジアムをどのように生活の中に入れ込んでいく。極論、サッカーを見に来なくてもいいと思う。

スタジアムをサッカーをみる(みる)場所ではなく、非日常体験ができる場にするかということを考えている。

Q.アフターコロナのスポンサー対策について
A.
・既存スポンサーへのフォロー
 巣ごもり消費を誘発するような企画を計画・実施
・新規スポットスポンサーの獲得
 例えば夏に再開となれば、夏商品を持つ企業へのスポンサー営業は考えている。リストも作成している。

またこの状況でライブ(生)で観戦するという習慣が薄れてしまうのが怖い。そのためには、スタジアムで観戦することの価値をさらに構築していく必要があると考えている。

例えば、スタディサプリさんにスポンサードしてもらって、学生専用バスを無料で出してもらったり。

Q.今後のスタジアムはどのように作るべきか?
A.
スポーツだけで成り立たせようというのは難しい。
日常的に人が使えるような施設にしたほうがいい。
また、スポーツ振興で自治体からお金を出してもらうというのは、今はもうできない。
しかし、スタジアムが自家発電や備蓄などの震災対応を備えたセーフティネットとしての役割と考えると、違ってくる。

日本特有の課題として、そのようなスポーツ施設を辺鄙な場所に作るというのがある。日常的に使ってもらうには、カジュアルにぱっと行けるような場所にスタジアムを建設すべき。

Q.過去の試合をYoutube Liveで選手解説をつけ放映するといいのでは?
A.
権利処理さえできればやれると思う。
5/2 に2007年鹿島vs清水を放送予定なのでぜひ見てください。

まとめ

Jクラブの現状、これからのチャレンジなど、外からは知ることができないお話をたくさん聞くことができました。
個人的にも2017年福岡市民研究員で研究して提言した内容そのまま小泉社長が話していて、このときの考え方は間違ってなかったんだなと実感できました。

論文

論文:福岡の街がワクワクする未来型スタジアムの研究

次回開催

次回は5月6日。アマチュアスポーツがコロナショックがさらに深刻だと思うので、どんな話題になるか楽しみですね。

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