見出し画像

コミュニティづくりのKPI設計について本を読んでの学び

事業を進める上で、コミュニティづくりは今後大きなポイントになると言われています。

今回は東京カルチャーカルチャーの立ち上げを始め、数多くのイベントを企画開催した河原あずさんが先日出版した本『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』をご紹介。

イベントの企画の仕方、立ち上げ方、続け方とこれでもかというくらいのノウハウがぎゅっと詰まった1冊です。

コミュニティを立ち上げる際、一番最初に悩むのがKPIの設定。
今回、この本に詳細に書かれていたので、この部分だけ抜き出して紹介させていただきます。

コミュニティ活動の評価方法

事業においてコミュニティを作っていこうとしたときは、一般的なKPI(売上、申込み数、購入数)などを設定すると必ず失敗します。

売上を上げることが目的がコミュニティは、コミュニティではなく無料セミナーと同じです。また、1万人いるようなコミュニティであれば売上が上がるかもしれません。しかし、立ち上げ期は数十人からスタートするのが普通なので、売上を求めたところで、そっから生まれる売上は雀の涙。

その後、必ず上司から怒られ、そのコミュニティを続けることはできなくなると思います。

そこで、河原さんが示すKPIがこちらです。

ブランディングKPI
エンゲージメントKPI
インフルエンサーKPI
コラボレーションKPI
営業KPI

これから、一つずつ紐解いていきます。

ブランディングKPI

コミュニティで一番最初に置くといいとされているのが、ブランディングKPIです。
どういうことかと言うと、定性的にはコミュニティを通じて、「どれだけの人に好感を持ってもらったか」「一般的な消費者を、どれだけ熱心なファンに変えられたか」ということを指標にしようというものです。

定量的には、メディア掲載数、SNS反応数ブランドへのリーチ数など。
これにより、コミュニティを通じて、ブランドのことを知ってもらうこと口コミをネットで広げてもらうことを可視化することができるようになります。

しかし、わかりやすい反面、事業の成長に直結しているかがわからないというのが課題です。そこで、次のエンゲージメントKPIと組み合わせるとよいとされています。

エンゲージメントKPI

エンゲージメントKPIはイベント参加者の満足度向上につながったどうかを測る指標です。

コミュニティの目的は、ブランドの熱烈なファンを育成していくことだと思います。そのためには、このコミュニティを通じて、ブランドへの理解や愛着がどれだけ向上したのかをアンケートなどで取得し計測します。

また、もう一つエンゲージメントKPIとして、コミュニティのアクティブ率。コミュニティを継続するためには、コミュニティに対する満足度が低ければ、次のイベントには来なくなります。逆に常連ばかりのコミュニティだと新しい人が入りづらくなり、コミュニティが広がらなくなってしまいます。

SNSコミュニティでの発言数(ユニーク数推移)、参加率、新規参加者率など、都度調査して、コミュニティの健康バロメーターを可視化することが大切です。

インフルエンサーKPI

コミュニティを加速させるために必要な存在が、仲間です。
一緒に運営してくれる人、何かあったときに手伝ってくれる人、こういう存在の有無がコミュニティの成否を決めると言ってもいいかもしれません。

その人は、社内だけではなく、社外も含めて。特にコミュニティの中から協力者が生まれてくると、よりコミュニティが活性化していきます。

そして、その活動を外に広げていくために必要なのが、インフルエンサーの存在です。インフルエンス力ある方にコミュニティの方向性に共感してもらい、協力者として巻き込んでいくのも、コミュニティ運営者の大切な仕事です。

コラボレーションKPI

ここまでだと、事業に直結していないので、まだピンとこない経営者も多いと思います。そこで、効いてくるのが、コラボレーションKPIです。

このコミュニティを通じて、事業につながるコラボレーションが生まれたかどうかというのは、経営者にも関心が深いのではないでしょうか。

社内コラボレーション

例えば、コミュニティのアンケートや参加者の声をあつめ、CSやプロダクトに反映できた数などはわかりやすいと思います。

特に参加者から直接いただける声は、通常のアンケートでは聞けない生の情報が多いです。これは参加者と良い関係性を築けていないとできないことなので、運営者の力が試されます。

社外コラボレーション

ほかの企業や組織とプロダクトやイベントなどのコラボレーションした事例数です。

コミュニティから生まれたコラボレーションがきっかけで、新規事業や新サービスが立ち上がることもあります。そのような結果がコミュニティの価値を存在するものとなります。

企業の中長期計画を理解して、コミュニティの方向性を合わせていくことdえ、より事業貢献ができるようになります。

コラボレーションKPIを可視化するために、最初から小さくてもよいのでいいことリストを作成し、都度社内に公開していくことが大切と書かれていました。

営業KPI

冒頭に書いたとおり、コミュニティ初期に営業KPIを置くと、数字はすぐ上がってこないので苦しむことになります。

しかし、コラボレーションKPIなどが数字として上がってくると、結果的に営業KPIにも効いてくるはずです。

だからといっても、規模を大きくすればいいというわけではなく、コミュニティの参加者たちがどれだけ、エンゲージを高めてくれたかが大切。エンゲージが高まってくれれば、こちらがお願いしなくても、ブランドを友達に紹介してくれるようになります。

ついつい、コミュニティ内で参加者向けの割引キャンペーンなどやりがちなのですが、コミュニティ内で営業色が高まると白けてしまうので、やらないほうがよいと言われています。

コミュニティを続けるのに、最初気をつけることにこんなことが上がっていました。

・小さなコストでコミュニティを運営する
・イベントなどの活動を赤字にしない
・上司や、上司の上司に成果を報告する
・管理部門の中にも仲間をつくる

最初は小さく目立たずコミュニティを作り、その中で成果を出して、都度報告していくことがポイント。

最も大事なのは、社内外に仲間を作ることですね。

まとめ

今回、コミュニティを運営していく上で、大切なKPIについて、学ぶことができました。

コミュニティをやる本来の目的は何かということを、可視化し、社内で理解を得ること。そして、会社の中長期計画を理解して、その文脈に合わせていくことがコミュニティ運営をやるコツなのではないでしょうか。

この本は、他にもコミュニティづくりのノウハウが凝縮されているので、気になった方はぜひ読んでみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?