見出し画像

不思議の国の豊13/#超一流のスナイパー

前回は

ここまで、そして

#超一流のスナイパー

僕の家の床の間には額に入れられた熊の写真があった。

写真には一頭の黒い熊が体の側面を見せて写っており、

額の左のほうに位置する首をこちらに向けて

真正面から僕を見つめていた。

面白いのは、

その熊の眉間の部分に丸い穴が一つ開いていた。

写真のほぼ真ん中部分にある胸のあたりのも

丸い穴が一つ開いていた。

母が自慢げに話してくれた。

「うちのおじいさんが若い時、兵隊に行ちょって、

軍隊の中でライフルの射撃大会があったがよ。

氏弥(うじや)おじいさんは、二等兵で一人入賞して

金賞だったがやって。

銀賞は中尉さんで心臓に命中させたがやと。

おじいさんは眉間を打ち抜いたので

みんなあに褒められたんやって

この熊の写真が標的で、500メートル先に置いてあって、

眼の悪い人には、写真がどこにあるかもわからんばあ

小さいがやと。

目の見える人でも、写真の真ん中を狙うのが精いっぱいやったのに、

おじいさんは眉間を狙うてあてたがやと。

おじいさんは眼もライフルの腕も良かったがやね。

額の右下にハメてある小さいのがその当たった玉やって。

写真の裏に中尉さんのお褒めの言葉が書いあって

中尉さんの名前もあるがやで。」

僕はおじいちゃんが誇らしかったが、

「今中風で寝たきりのおじいちゃんが

元気やったらどればあ、すごかったがやろう?!」

と残念でもあった。

その写真は、

僕の家が僕が中学校の時火事になって全焼した時に

燃えてしまって無くなった。

僕が高知高専に入った時に読み始めた

「ゴルゴ13」はまるで他人事とは思えない感じがして

以降何十年も読むことになる。

僕は同級生のみんなが読んでいる少女漫画より、

少年漫画が好きだった。

そして青年漫画も好きだった。

ちなみに、おじいちゃんが撃った銃には、

スコープはなかった。

以下次号に続く




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?