クレーター

あのときの路地裏、あのときの音楽、あのときの食器、あのときの服、あのときのコーヒー、あのときの三日月、あのときの告白、あのとき、を掃除機で吸い尽くしたら、掃除機が壊れた。
埃まみれになっても、微粒子は劔の如き核分裂を隠せていない。
再びぼくを侵食して、肌が小麦色になる頃、夏。
サマータイムが46億年あれば、輪廻以前から修行ができる。きみに会うために生まれてきました、と暗唱するの。
きみに冷たくされるほど、ぼくは人間ぶって熱くなる。
ぼくらは異生物なのだから、会話が噛み合わないのは永遠に当たり前だ。
孤独をすり潰して、一緒にブラックホールへ行こうよ。

#詩

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