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Cocoskiss

好きなカフェ&バーを見つけた、ついにね。以前答えられなかったその素朴な問いかけに、堂々と手を引いて行きたい店と出会えた。日曜日なのに開いている店なんて珍しい。ふらりと雪上がりの散歩のはずが、バスの車窓から惹きつけられていたその店へと足を運ばせた。

田舎街のしかも山奥に位置するそこは、だから敢えて私の寮に泊まっていってくれなければ一生行くことはないだろう。木を打ちつけた外観を一歩踏み込むと、クリーム色と漆黒の椅子が並んでいて、使えるのかわからない茶色のピアノが慎ましげに置いてある。リキュールの整列棚には紅色のライトが当てられている。瓶の一つ一つを密やかに撫で回すように見つめる時間っていいものだなぁ。

ひとりでカフェへ行くこと、バーへ行くことは、自傷行為にも似た自己投資だと思っている。会いたい、と告げるのを押し殺して、動脈硬化しそうな衝動。知らない音楽。端で稼働し続ける映画は、認識できない言語だったけれどなんだろう。トルコ語だったり?

一期一会の旅が繰り広げられている其処は、リラックス空間であり戦場なんだろう。好きになる店ってものは、メニューの字体にまでも惚れてしまう。全てがあるべき場所を知っていて、ふわりと着地して手招きしているの。

メニューで気になったものがある。ココスキス、はドイツ語では少し違うけどココナッツ&キスの意味だろう。マリブ、ラム、パイナップル、オレンジクリーム、マラクーヤ(パッションフルーツ)、って甘党な自分が絶対好きなカクテルだなと思ったので、今回は頼まないでおいた。楽しみは分かち合いたい欲が常時ある。

カルーアミルクを飲んだ直後にキスするとどちゃくちゃ甘いキスができることは実証済みだけれど、ココスキスはどんなお味だろう。

#エッセイ #カクテル #ドイツ

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