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装句カンバスがつないでくれたご縁

装句カンバスがつないでくれた、素敵なご縁のお話です。

先日、一本の「装句カンバス」のご注文をお受けしました。
いつものように、依頼主さんとメールで、掲載句や発送時期等々のやりとりしていたところ、今回カンバスに載せる句は依頼主さんがつくった俳句ではなく、プレゼントだということを知りました。

ご指定をいただいた3句は、依頼主さんのお父様が作られた俳句で、
父の日のプレゼントに、俳句が好きなお父様へ「装句カンバス」をお贈りするとのことでした。(なんて親孝行な息子さん…!そんな素敵な贈りものに句具を選んでいただけてうれしいです)

お父様の俳句3句というのは、なんと俳句雑誌『俳句四季』の投句で特選に入った選りすぐりの作品…!
特選のお祝いも兼ねて、特選句を三句、印刷することにしたそうです。


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活版印刷職人さんにお願いし、活字の鋳造を

活版印刷室にある活字には限りがあるので、活字がないものもあり、装句カンバスのために鋳造してもらうことも多々あります。

今回のオーダーも2文字、印刷所にない活字があったので、活版印刷職人さんを通じて、活字職人さんにオーダーをしてもらい、新たに活字を鋳造していただきました。
まだインキのついていない、真っ新な活字も無事届き、いざ、印刷。

職人の手により活字を組んで、手刷りの活版印刷機で美濃和紙にガッチャン!と印刷していきます。

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印刷が仕上がったら、今度は額装。
活版印刷ならではの凹凸感。とても味のある仕上がりになりました。

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装句カンバスは、お父様のお手元へ

オーダーから約一ヶ月、無事完成した装句カンバスは、お父様のお手元へ届きました。

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俳句の作者であるお父様はもちろん、なんとお母様にも、とても喜んでいただけました。

新聞記者としてご活躍されていたお父様。
そしてお母様は印刷所の娘さんで、実家の印刷所にあった活版印刷に触れていた時代があったとのこと。

今回、お母様から、こんな嬉しいお言葉を頂戴しました。

手紙

(読みながら泣きました…)
(装句カンバスつくって本当によかったね、と、活版印刷職人さんと一緒に泣きました……)

本当に、本当に、ありがとうございます。


装句カンバス、素敵に飾ってくださっています

ご自宅に飾ってある、装句カンバスの写真もお寄せいただきました。

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とても素敵に飾ってくださっています。
お父様やお母様がカンバスを眺めてくださっているところを想像すると、とても嬉しくなります。

今回ももちろん、毎回そうなのですが、
装句カンバスにお寄せいただくとっておきの三句は、本当にどれも素敵な作品ばかりで、私たちは受注や校正をしながら、素晴らしい俳句をいつも一足先に、鑑賞させていただいています(ありがとうございます、役得!)。

受け取ってくださったお父様にはもちろん、お母様にもこうして喜んでくださり、私たちもとても嬉しいです。


「活版の活字は、時間と空間を抱きしめている」

今回、この装句カンバスをお受け取りいただき、メッセージやお写真をお寄せくださったのは、菊池さんご夫妻。

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(許可を得て掲載しています。菊池様ご夫妻、そして購入いただいた菊池様、ありがとうございました)

「五十数年前の時間が蘇ってきました」という、
活版印刷の現場を知るお母様からのお言葉。

「活版の活字は、時間と空間を抱きしめている」という、
俳句の作者であるお父様のお言葉。

贈り主の息子さんからは、
「俳句を本格的にライフワークにしてきた父と、活版印刷の家で育った母とが繋がるような出来事になったと思います。ありがとうございました」と、お言葉をいただきました。

ひとつの装句カンバスが、こんなご縁をつないでくれるなんて。

そして、こんなに素敵な言葉たちになって返ってくるなんて、思ってもみませんでした。

「時間と空間を抱きしめている」という言葉に、グッと心を掴まれます。

菊池さんご夫妻、そしてカンバスを贈ってくださった息子さん。
本当に、本当にありがとうございました。

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