見出し画像

コロナ自宅療養に殺されかけた話

1/8、コロナ陽性と診断され、保健所の指示で10日間の自宅療養をすることになりました。

この時はまだ良かった。このあと、生死を彷徨うことになる危険な経緯について、私が書かねばなるまいと思ったので筆を取らせていただきます。

感染者情報

東京都世田谷区在住、32歳男性、一人暮らし。基礎疾患など特に無く健康。タバコも吸いません(お酒はまあまあ飲む)。在宅勤務で人に会うのは月に2回程度。生活のほとんどを家で過ごし、買い物に出かけても対策を怠らず、まさか自分が感染するとは思いもしていませんでした。

考えられる感染経路は大晦日→元旦に仲間たち数名と家で会食をしたことです。これに関しては気の緩みがありました。自分以外の参加者たちはもともとお互いよく会っていたし、みんな元気なので自分が混ざっても大丈夫だろうという甘えがありました。自分以外はその後も全員体調に何も変化なし。自分だけが免疫力が低かったのかもしれません。

発症から陽性まで(1/6〜1/8)

三ヶ日が終わったあたりからなんとなく風邪引きそうという気配はあり、的中して見事に1/6(水)微熱が出ました。少し倦怠感がある程度で、喉の痛みもないしまあ風邪だろうくらいの気持ちでした。

しかし翌日7日、朝38.0度の発熱。不安になり、まずは発熱相談センターに連絡。しかし木曜で休診の病院が多く、唯一紹介されたのが隣町のクリニックでした。このときはそこまで体調が最悪でもなかったので明日もっと近いところに行くか悩みましたが、どうしても気になるので隣町に行きました。このとき、一駅だけ電車を使用してしまっています。ごめんなさい。

驚いたのは、発熱外来の患者は外で待たされたことです。感染対策のため、名前が呼ばれるまで外にあるベンチで待機。寒い日でしたがかなり着込んでいてよかった。軽く問診とPCR検査をし、解熱剤(カロナール)を処方されて終了。結果は翌日わかるとのことでした。

夜になって38.3まで熱が上がるも、それ以外には何も症状がなく、味覚も嗅覚もあることから、インフルエンザだろうと考えていました。

翌日1/8、コロナ陽性との連絡。熱は38.8まで上がっていました。連絡の内容はものすごく簡単で、「陽性ですので、保健所からの連絡をお待ちください」のみ。自分もさすがに動揺して食い下がって、熱がかなり上がったことなどを伝えると、はっきり言われました。

特効薬はありませんので、解熱剤を飲んで経過を見ていただくしかありません」。

自宅療養開始(1/8〜)

陽性と診断を受けてから3時間ほど経ち、保健所から連絡が来ました。これまでの行動や現在の症状などについて詳細なヒアリングが行われます。結果、高熱以外には特に症状がない(咳も頭痛も息苦しさも無かった)ので、「軽症」と判断され自宅療養となりました。

この時点で自分の不安はかなりのものでした。何も治療薬を飲めない、自分の抵抗力で、解熱剤を飲みながら自然治癒を目指すしかない…元々風邪を拗らせやすい免疫力の低い自分に可能なのか不安で、悪化する恐怖もあり泣きそうでした(というか泣いてました)。

幸い、その日のうちに友人が食料などの物資を届けてくれて、家族からも大量にご飯などを送ってもらえたので、買い物に出かける必要がなかったのは救いでした。

しかし、悪夢の日々はここから始まるのでした。

頭痛・下痢・嘔吐(1/9〜)

陽性発覚の翌日9日は一旦37.5度くらいまで熱が落ち着き安心していたのですが、少し頭痛がするようになってきました。また、ご飯を食べてもすべてそのまま下してしまうなどお腹も緩くなっています。夜にはまた38度を超え、解熱剤を飲みます。

ウイルスに戦う手段がもう発熱しかないので、なるべく解熱剤を飲みたくなかったのですが、38度を超える熱と偏頭痛に耐えられず、飲み続けました。しかし熱は下がっても偏頭痛は消えず、左のこめかみがズキズキと傷み続けます。それに伴って吐き気まで込み上げてきて、1/10に一度嘔吐しました。その時点でほとんど何も食べられていなかったので、ヨーグルトとスポーツドリンクしか出てきませんでした(汚い話ですみません)。

39度を超えはじめる(1/11〜)

1/11。4日以上発熱が続き頭痛や下痢にも悩まされ、ほとんど眠ることができずすでに消耗しきっているところ、追い討ちをかけるように熱が39.2度を記録します。幸いにも頭痛はかなり消えていました。

39度付近まで熱が上がると、今まで体験したことのない鋭い寒気が襲い掛かります。本当に刃物のようにするどく、体の内側から震え上がるような寒気で、痙攣しているかのように体がガクガクと震えます。かと思うと今度は一気に発汗し、数時間でTシャツが何枚もダメになる程ベチャベチャに汗をかくのですが、発汗の間は本当に意識が朦朧とし、体が痺れ、震え、少し体を動かすだけで嘔吐しそうになります。この状態になるのが本当に辛すぎて(大声で「苦しい!助けて!」と本気で叫んでいました)、39度付近まで上がってはすぐに解熱剤を飲んでいました。しかしこの状態はここからさらに一週間以上続くことになります。

効かない解熱剤(1/12〜)

39度を超え始めたあたりからカロナールの効き目が悪くなりました。飲んでも全く熱が下がらない、運良く下がっても3時間持たないなどが続き、保健所にも相談してうちにあった市販のロキソニンを代用することに。ロキソニンの方が効き目が強いので、これはかなり効きます。熱もだいぶ下がって楽になり、効き目がなくなるまでの6時間おきくらいのペースでロキソニンを飲み続けました。

しかしある日の朝、便の色が腐った苔のような色になっていました。この世にあってはいけない便の色でした。どす黒くて、毒のような緑色の液体(汚い話でごめんなさい)。理由はロキソニンの飲み過ぎのようでした。ご飯がほぼ食べられていなかったので、空腹状態でロキソニンを乱用していた、1日の摂取量をオーバーしていたので、当然と言えば当然です。保健所・病院へ連絡しましたが、胃薬を処方されて終了。1/13ごろの話です。

嗅覚消失からのラストスパート(1/14〜)

1/14(発症から8日)、嗅覚が消えていることに気づきました。まともにご飯も食べていなかったので、もしかしたらもっと前から消えていたかもしれません。気づいたきっかけは洗い物をしていて、洗剤の匂いがしなかったこと。慌ててシャンプーや石鹸、ウイスキーに鼻を当ててみても匂いはゼロ。幸い味覚はあったのですが、すべて問題ないわけではなくフルーツ系の味覚は感じられなくなっており、リンゴジュースは鉄のような味しかしなくなっていました。

この辺りからラストスパートが始まり、少し出る程度だった咳が気づくとだいぶ酷くなってきていました。呼吸が気持ち浅い感じもあり、常に息が切れていました(発熱のせいだと思っていました)。

ついにはロキソニンも効き目がなくなり、相談センターからはロキソニンとカロナールを2錠一気に飲むという荒技を紹介され、それで耐え忍びました。このときにはもう発熱から10日経過していました。

一時的に熱は下がっても、ご飯はヨーグルトを1カップ食べ切ることができず、なんとかチョコレートを頬張る程度で完全に衰弱しきっていました。何もできず横になって時間が過ぎ去るのを待つだけの、無限にも近い苦痛の時間。また、ずっと横になっているため身体中が痛く、背中や腰が悲鳴をあげていました。それなのに体勢をわずかに変えるだけで酷く息が切れます。実際一週間以上、まともに取れる睡眠はよくて一度に1時間程度、という状態が続いていました。眠れもせずご飯も食べられず高熱が下がらない。本当に地獄の毎日でした。

保健所・相談センターの対応

これだけしんどい思いをしてこちらから何もしなかったわけではありません。体調の変化は何度も保健所に連絡しました。連絡するのはすべてこちらからで、最初の自宅療養決定の連絡以降、保健所から電話がかかってくることはありません。

基本的に連絡先は世田谷保健所、営業時間外は東京都の発熱相談センター(途中から自宅療養者用のフォローアップセンターに切り替え)に連絡することとなっていました。

最初に連絡したのは頭痛や嘔吐の症状が出たとき。あくまでそれらは軽症の症状として、横になるだけで息ができないとかそのレベルでない限りは心配しなくて良いと言われました。とても優しく接していただいたのでこのときは素直に安心していました。

その後もカロナールが効かなくなったり、熱が39まで上がったりするたびに連絡していましたが、「効く解熱剤があるうちはそれを飲んで様子見」の一点張りでした。段々雲行きが怪しくなります。

あまりに回復の兆しが見えない不安から、毎日のように連絡をしていました。一度39度を超えて意識が朦朧とする中で電話したこともありました。喘ぎ声に近いほどの苦しい声で話しましたが、「まずは解熱剤を飲んで、それでも効かなかったら連絡してください。ご自身の抵抗力でなんとかするしかありません」と言われました。

また、あまりに何もしてもらえないので#7119(救急相談センター)にも2回ほど連絡しましたが、2回とも「緊急度の高い状態ではない」という評価になり、救急車を呼ぶほどではないけど、病院には診てもらったほうがいいと言われました。どうやって?病院を紹介してくれず、結局「保健所の指示を仰いでください」のたらい回し。保健所に連絡してもご自身で病院を探して見てもらってくださいと言われます。

なんとか、陽性の診断を受けたクリニックに連絡をつけるものの、結局電話越しで簡単に症状伝えて、解熱剤と胃薬を処方されて終了。

1/14過ぎた頃から、咳の悪化とあまりの回復しなさに「もうとっくに肺炎なのでは?」と疑っていて、そのこともはっきりと保健所に伝えました。入院か、せめてCT検査だけでもさせてくれと。

しかし、「CT検査は入院が前提になるので簡単に受けられない。入院はそもそも受け入れ先が少なくて難しい」と言われました。これ、はっきりとは言われてませんが「自分は入院が必要と判断されていない」ということでもあったと思います。

基本、入院は「呼吸器系に異常がある」「自ら水分を補給できない」場合に初めて検討されるようです(実際のところは不明ですがどこに連絡してもこの2点を聞かれました)。自分の場合、呼吸器系に対する自覚症状がほとんど無く、むしろ呼吸はある程度落ち着いているとすら考えていたので、危機感が伝わっていなかったようです。実際はかなり大変なことになっていたのですが………。

自宅療養終了・入院(1/16)

1/15の夜から、自宅療養終了になる1/16の朝までも頻繁に相談センターに連絡していました。この時には自分の症状をかなり大袈裟に伝えていました(結果、これは大袈裟どころかかなり控えめな報告だったことがのちにわかります)

というのも、自宅療養終了時にもまだ全快でなかった場合には、入院ではなく「自宅療養延長になる」と言われていたからです。これ以上の自宅療養で自然治癒は絶対に有り得ないという確信があり、呼吸がかなり浅いこと(実際そこまで浅いとは感じていなかった)、咳が酷く肺が痛むこと(実際そこまで肺は痛まなかった)を救急センターやフォローアップセンターに伝えていました。やはり「保健所の指示待ち」以外何もしてもらえませんでしたが…。

1/16の11時ごろ、本来ならば自宅療養終了となるため保健所から連絡が来ました。しかしこの段階での保健所の対応は早く、これまでの状況・症状をしっかり把握してすぐに入院の調整をしてくれました。自分でも驚くほど急激なデレです。

なんとか一つ、大部屋のベッドが一つ空いていて入院できることになりました。ただし大きな病院ではないため、大掛かりな呼吸器はつけられず、重症化した場合にはまた別の病院に行く(行けたら)という条件でしたが、もはや入院できればどこでも良かったので何も気にしませんでした。

かなり大きな隔離車(?)に乗って病院へ。防護服のスタッフに連れられすぐにCTスキャンを撮ります。病室は大部屋で相部屋でしたが、広いスペースをカーテンで仕切ってあるのでそこまでキツい印象はありません。何より病院に来られた安堵は凄まじいものでした。

少し時間が経つと担当医の方が神妙な顔でやってきました。開口一番に言われたのが「工藤さん………相当、相当お辛かったでしょう」の一言。「肺炎がかなりのところまで進行しています。さらにここからまだ広がる芽も残っています。すぐにでもステロイド剤を使用した治療に取り掛からなければいけません」と言われました。

「ここまで肺の炎症がひどいことになっていると、どんなに解熱剤を飲んでも意味がありません。炎症を抑えなければ……これではまともに食事を取れなくても仕方ないです。背中の方まで炎症が進んでいるので、寝ることも難しかったでしょう。この状態を10日間も……」とお医者様も絶句されていました。もし入院できずあと数日遅かったら…と思うとゾッとします。

酸素濃度も、正常値が96〜99%とされているところ、92%まで下がっていました。93切ると危険ラインとされてるので、息苦しさは何も間違ってなかったです。

入院生活

入院してから言われた通りステロイド剤を飲み、点滴を打ち、鼻から酸素を吸入していると、もはやその日のうちに見違えるくらい体調がよくなり、翌日には熱が収まり、ご飯も完食できるようになりました。咳がまだ少し残りますが、ほぼ快調と言っていいほどです。

ただし炎症の進行が酷かったので、しっかり一週間ステロイド剤を飲み、さらに72時間の経過を持って退院となるため、まだ入院生活は続きますが、高熱がなくご飯を食べられる生活はもはや天国。地獄のような自宅療養から救われた今、入院は何の苦痛もありません。

どうしてこうなった/こうならないために

入院できてめでたしめでたしなんですが、その前にどうしてここまで入院できなかったのかについて振り返っておきたいと思います。

先程も書いたように、入院の基準となるのは(世田谷区の場合)、呼吸困難の状態にある自ら水分を補給できないというのが大きくあるように思います。もちろん年齢などもあると思いますが、電話するたびに特に上の二つを気にされていたからです。

この点、自分は極端に自覚症状が弱かったというのがありました。高熱が一切おさまらないのもコロナという風邪症状が長引く病気の一環だと思っていましたし、呼吸が苦しい自覚はありませんでした。もっと早く肺炎に気づけていれば入院の相談がしやすかったかもしれません。

そう考えると、やはり「パルスオキシメーター」は所持していた方が良さそうです。正直もう中国製の怪しいやつとかばっかり出回っていて結局僕は買いませんでしたが、これで測った酸素濃度がひとつ入院の判断材料になるようです。

こういうやつ。もはや必須アイテムと言えるでしょう。みなさん余裕があるうちに買っておきましょう。

また、呼吸不全に陥って自宅療養中に危険な状態にならないためのマニュアルとして、このかたのツイートがとてもわかりやすく、私も参考にしていたので僭越ながら引用させていただきます。

やはり自覚症状は何も当てにならないみたいです。病院で簡単に検査をしてもらえない現実、簡単に入院させてもらえない現実のなかで、自分で入院させてもらえるよう努力をし、自分で自分を守らなければいけない……変な話ですが……。

自分の場合も、保健所の対応が酷かったというわけではなく、ここまで医療が逼迫している状況下では仕方なかったのだと思います。最終手段として入院があって、そこに運良くありつけるか、そういう覚悟をしなければいけません。

コロナはただの風邪、軽症なら問題ない、と絶対に甘く見てはいけません。徹底した感染対策をし、自分がならないように、そして人に知らない間にうつさないように行動することが大切です。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
4807