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僕が精神を削られて塾講師を辞めた理由【元塾講師】

自慢ではありませんが…いや、完全に自慢ですが、僕は塾の教室長として働いていた時、教室長1年目から都内の校舎で「トップ校合格者数都内No.1」という数字を残しました。
(僕の勤めていた塾では偏差値60以上+地域トップ校を「トップ校」としていました)

でも数年後、辞めました。
前回の記事[元進学塾教室長が考える「塾講師に向いている人 」【元塾講師】]の後半にも書きましたが、本質的に向いていないと考えたことが大きな要因です。

「合格実績」も「営業数値」も比較的好調でした。
しかし、なぜ僕が塾講師を続けられなかったかについて、その理由を書いていきます。

塾講師を辞めた一番の理由は「塾の求める数値」と「生徒を幸せに導く数値」に乖離が出てしまったためです。

以前の記事で「大手塾と個人塾の違い」についてまとめましたが、僕が勤務していたのはかなり大きな「大手塾」でした。

そこには、企業としての営利追求という大命題があります。
つまり、企業が利益を上げるための「合格戦略」が存在するということです。

塾業界で強いのは「●●校No.1」という数字です。

大手塾のホームページを覗くと、景気の良い数字が並び、これによって生徒を獲得しています。

ですので、各塾には「ターゲット校」が存在しています。

「●●校のNo.1は取れないから、こっちに流して合格数を稼ぐぞー!」ってな感じです。

もちろん、それによって生徒の未来が捻じ曲がる瞬間が数多くあります。
しかも厄介なことに、生徒と保護者と良好な関係を作れば作るほど、進路指導に素直に従ってくれます。

本当はA高校のほうが生徒にとっていいのに、塾の意向でB高校を進めなければならない、しかも、生徒は「先生が言うなら」と疑うこともなく了承してしまう。

この構図に精神が削られていきました。

僕は「企業は利益を追求するもの」ということももちろん理解していて、それでも会社の意向を無視して、生徒の意向を通すこともありました。
その際は、会社にウソの報告をしていたこともあります。
こういった板挟みも精神が削れていく要因でした。

…通常の商品を売っているのであれば、それでも良いのかもしれません。
でも、僕たちが売っているのは「学力」で、生徒の将来に大きな影響を及ぼすものです。

その選択を「塾の都合」で変化させてしまうのはあまりに無責任で、やっていいことなのだろうか?とどうしても感じてしまいました…。

おそらく、こんなふうに悩んでしまう時点で「塾講師」には向いていないのです。

というより、サラリーマンにも向いていないのかもしれません。
「利益」を追求して、稼ぐからこそご飯が食べられるのですから。


さて、本日は「僕が塾講師を辞めた理由」について書きました。
一見すると「大手塾批判」のように取れるかもしれませんが、そうではありません。

僕は、個人的には大手塾のほうが子供の学力が上がる可能性は高いと考えています。
その理由は、学力が上がるメソッドを大手塾は共有していること、時代の変化に柔軟に対応していること、そして何より「私立校と塾はパイプでつながっていること」にあるのですが、これはまた別の機会に書こうと思います。

ただ、この記事を読んで頂いた保護者の方や受験生の方は「塾の意向」には利益追求も含まれることを理解し、慎重に子供にとって最良の進路を選び抜いて欲しいと願います。

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