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出身地なんかに関係なく、「あなた」が素敵。

フィリポはナタナエルに出会って言った。「わたしたちは、モーセが律法に記し、預言者たちも書いている方に出会った。それはナザレの人で、ヨセフの子イエスだ。」するとナタナエルが、「ナザレから何か良いものが出るだろうか」と言ったので、フィリポは、「来て、見なさい」と言った。

新約聖書 ヨハネによる福音書 1章 45-46節 (新共同訳)

こんにちは、くどちんです。キリスト教学校で聖書科教員をしている、牧師です。

このnoteでも何度か触れた、行動力溢れる我が友「はたぼう」。「リモートコーラス部」を一緒にやっています。(この間もその話を書きました。)

3月の練習の最後、私が「BTSにハマった」という話を雑談でしました。すると、「そういう『好きなもの』について熱く語る人をただ眺めるだけの、何の役にも立たない会をやったら面白そう……」と言い出したはたぼう。あっという間に「ただ”沼”を語る会」というオンラインおしゃべり会が立ち上げられて、早2か月が経ちました。

色鉛筆画家の atelier sen (Twitterアカウントは @pogorin)さんにすぐさまロゴまで作ってもらう辺りがはたぼうの勢い……。そしてそれに素晴らしい力量で瞬時に応えてくださるatelier senさん……。すごい人がたくさんいて面白過ぎる。

おかげさまでジャニーズやゴールデンボンバーに興味が湧いたり、レオパードゲッコーの生態に親しみを覚えたり、甲子園球場へ行って一緒にビールを飲みたい仲間ができたり……。「役に立つか」と聞かれたら立たないのかもしれないけれど、とてもゆるく楽しい繋がりができて感謝です。

この会で私はなぜか今のところ毎回「BTS愛」を語っております……。最近は「とりあえず曲を聴いてくれよ、どれがいい?」と、私の「おすすめメニュー」から選んでもらって、半ば無理やりみんなに聴かせています(笑)

先日は「今日は私が勝手に選曲します」と言って「Ma City」を聴いてもらいました。

↑ 私の推し活でいつもお世話になっているあみにさんの和訳動画を見せて。

そこまでメジャーな曲とは言えないであろうこの曲。なぜこれを聴かせたかというと、メンバーの皆さんはソウル出身ではないんだよ~、という話をしたから。

私は韓国の情勢に詳しくありませんが、韓国は日本以上に「中央一極集中」の傾向が強いのか、この「ソウル出身ではない」ということは特筆すべき要素なようですね。BTSの曲の中には、彼ら自身がそのことに言及するもの、むしろ敢えてそこに矜持を感じているような作品がいくつもあります。聴いていると、「判官びいき」じゃないけれど「いいぞいいぞ、がんばれ!」という気持ちになります。敬愛するSUGA氏は出身地テグ(大邱)に対し、本来の意味での「コンプレックス」、複雑に絡み合った思いを持っておられるようで、自分のことを「D-boy(Daeguの出身だから)」と称したり、ソロ名義を「AgustD(逆から読むと「Dt(Daegu-town)SUGA」になる)」としていたり。というわけで今私が観光で行きたい所の一つがテグであります。(どうでもいい情報)

「おのぼりさん」なんて言葉もあるように、「都のことを知らない田舎者」というのはいずれの世でも物笑いの種になってしまうものなのでしょう。私自身は大阪の、どちらかというと「都会っ子」の感覚で生きて来た人間ですが、そんな大阪でも「東京には負けへんでー」という、それこそが「東京に叶わないこと」を自覚しているかのようなメンタルを感じつつ育って来ました。阪神タイガースも、今年こそは巨人に勝ち越して欲しいよね……!(←ほらこういう自虐的な笑いにしちゃうとこ(笑))

でも実はイエスさまは「地方出身者」なんですよ。

冒頭の聖書箇所では、イエスを信じたフィリポという弟子が、友人ナタナエルに「すごいお方に出会ったよ! あのお方こそ救い主だ! ナザレの人で、イエスと仰る方なんだ!」と伝えています。それを聞いたナタナエルくん、「え~、ナザレ~? あんな所からそんなすごい人が出るわけないだろ~」とスルーしかかるんですよね。「ナザレ」というのは旧約聖書にも出てこない、都から離れた「取るに足らない」と扱われがちな町。「ナザレなんかから、救い主などという素晴らしいものが出て来るわけがない」。このナタナエルの偏見は、きっと彼だけが持っていたものというわけではなかったのでしょう。

いつの時代もどんな国でも、誰かが誰かを属性で一括りにして、その人自身を見ることなくレッテルを貼ってしまう……ということはある。それは悲しい事実かもしれません。でもこの後ナタナエルは、フィリポから「いいから来てみろ、実際に会ってみろよ」と促され、実際にイエスに出会うことを通してその心の壁を越えて行きます。

今は直接出会うことも難しい状況になってしまっている世の中ですが、偏見や差別を超えるのは、この「その人自身」と出会う、ということなのかもしれません。

出身地のみならず、様々な先入観を超えて、その人自身の素晴らしさを受け入れ合っていけたら良いですね。

というわけで、ソウルだろうがテグだろうがプサンだろうが関係なく、BTSの皆さんはみんな素敵です(・∀・) ←結局それ




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