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イエスさまへのプレゼント

『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』

新約聖書 マタイによる福音書 25章40節b (新共同訳)

メリークリスマス(´▽`)ノ☆ くどちんです。キリスト教学校で聖書科教員をしている牧師です。

今日は待降節第4主日。クリスマスを待ち望む期間の最後の日曜日で、各教会では今日クリスマスの礼拝が持たれたことでしょう。かく言う私の所属教会もそうでした。今年はオンラインでの礼拝参加となりましたが……。それでも、クリスマスのご挨拶ができたことは、やっぱり嬉しいことでした。

クリスマスの挨拶といえば、「メリークリスマス」。「クリスマスおめでとう」とか「楽しい、素敵なクリスマスを過ごしてね」という意味ですよね。

近頃では10月末のハロウィンが終わると、街中は一斉にクリスマスムードに向かいます。商店では早々とケーキやチキンの予約を呼び掛けるポスターが張り出され、何やら急き立てられるようにうきうきさせられる、めでたい気分に巻き込まれる、そんな日々が続くようです。

クリスマスはなぜ「おめでとう」なのでしょうか。一体何をお祝いする、何が「おめでたい」「嬉しい」日なのでしょうか。

多くの人が知っています、クリスマスは「イエスさまのお誕生」を記念する日である、と。そう、救い主としてイエスさまがこの世に来てくださったことをお祝いする日だから、おめでたい、嬉しい日なのですね。決して、「サンタさんからプレゼントをもらえるからおめでとう」というわけではないですね(笑)

嬉しい楽しい日といえば、私たちの「誕生日」もその一つと言えます。つい先日、我が家では次男の誕生日を迎えました。ケーキを買って、晩ご飯は息子の好きなメニューにして、プレゼントを渡して、みんなで歌を歌って、息子に「おめでとう」を伝えました。誕生日は、誕生日を迎えたその人が主役になって、みんなからお祝いしてもらえる。多くの人がそんな風に、誰かのお誕生日や、自分のお誕生日を経験してこられたことでしょう。

クリスマスが「イエスさまのお誕生」を記念する日であるなら、クリスマスにプレゼントをもらうのは、私たちではなくて本当はイエスさまのはず。私たちがプレゼントをもらうのではなくて、私たちがイエスさまにプレゼントを贈ったり、おめでとうを伝えたりして、楽しいパーティーにお招きしなければなりません。

でも生身のイエスさまは昔々の人。約2000年の時を経て、イエスさまに贈り物をするには、どうしたら良いのでしょう。

そのヒントとなるのが、冒頭の聖書箇所です。「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」。

この言葉は、「神さまやイエスさまのために何かをしようと思ったら、自分の周りにいる『小さい者』のために何かをしてあげればいいんだよ。自分の周りにいる『小さい者』にしてあげたことは、神さま、イエスさまのためにしたのと同じことだよ」と教えてくれているものです。

イエスさまは直接私たちの目に見える所にはいらっしゃらないように思われるけれど、あなたの周りにいる「小さい者」に、あなたが優しくしたり、喜ばせてあげたりしたら、それはイエスさまへのプレゼントになるんだよ、と聖書は語っています。

私たちの周りの「小さい者」とは誰でしょうか。落ち込んで、力をなくしている人。孤独の中で、助けを求めている人。聖書では、そういう人のことを「小さい者」と呼んでいます。

今年は本当に大変な一年でした。私たちの日常が根底から揺さぶられた年になりました。一方で、日常が「揺さぶられる」どころか、ひっくり返されてしまった人、吹き飛ばされてしまった人も多くいることでしょう。そのような方たちのために、私たちに何ができるでしょうか。寄付などを初め、ささやかであっても「何か」はできると信じて、行いに移したいと思います。

あるいは、私たちの家庭や職場などの身近な所にも、傷付いたり悩んだりしている人はいないでしょうか。苦しいことがあってもそれを人には言えずに、一人忍耐している人はいないでしょうか。そういう人に、「大丈夫?」「いつもありがとう」「応援しているからね」と優しい声をかけてあげることも、「イエスさまへのプレゼント」と言えるかもしれません。

クリスマス、イエスさまのお誕生を記念する日。自分が楽しいこと、自分が嬉しいことも大事ですが、それに加えて「イエスさまに喜んでいただけること」を探すチャンスにしてみたいとも思います。

イエスさまに直接プレゼントを贈ることはできなくても、私たちの周りの「小さくされている人」「困っている人」「悲しんでいる人」に、言葉や思いの「プレゼント」を届けることはできます。周りの人たちに対する私たちの思いやりの心が、イエスさまに喜んでいただけるプレゼントになる。苦しみや孤独に耐えている人の多い今年だからこそ一層、そんなクリスマスにできればと思います。

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