銃を持つか迷っていた私が狩猟デビューするまで。
こんにちは、工藤秀佳です。
昨年4月から岩手県大槌町でジビエの仕事をしています。
11月に「狩猟免許」「猟銃所持許可」「狩猟者登録」が3点揃ってハンターデビューしました!
新しくジビエの仕事を始めたのがきっかけで狩猟に足を踏み出したのですが、途中には迷いもありました。
狩猟始めたてのこのタイミングでこれまでの経緯を振り返りたいと思います。
1.狩猟免許を取ろうと思ったきっかけ
私は4月から「大槌ジビエソーシャルプロジェクト」の運営メンバーの一員として働いています。
狩猟に向けて準備を始めたのは同じ4月頃、仕事柄、地元の猟師さんと調整をしたり、観光客に狩猟の方法を話したり、狩猟を始めようとしている人に狩猟の話をしたりするときに、狩猟に関する基本的な知識がないと困るだろう、そう思って狩猟免許を取ることに決めました。
また、幸いにもこの町では、猟銃を持つ手続きにかかる費用のかなりの部分を町が負担してくれ、引退するハンターから猟銃やガンロッカー・装弾ロッカーも安価で譲ってもらえる可能性が高いと聞きました。
それなら、銃を持ってみようか。
私のパートナーが既に空気銃を持っていて、先に鳥猟を始めていたということも私を後押ししました。
こうして、狩猟の準備のうち1番時間がかかる「猟銃所持」のための第一歩、警察署で行われる「猟銃等初心者講習」を受講しました。
2.銃のことを知り、迷いが増す。
初心者講習は、5月の某平日、警察署で行われました。
10時から15時半までびっしり、教科書を使って、猟銃による事件・事故を防ぐための法律遵守・安全確認の重要性を学びます。
そして講義の最後に視聴したDVDで、銃を持つか、迷いが増しました。
映像のあらすじはこうです。
また別のストーリーでは、
映像は私のイメージを大きく変えました。
ちょっとしたミスは自分も犯す可能性があるのではないか。
いくら脱砲確認さえしっかりしていれば事故は起きないとは言え、銃を持たなければ負うことのないリスクをわざわざ負う必要があるのか。
1番大事な人さえ失う可能性があるのではないか。
もやもやした気持ちで警察署を後にしました。
3.辛かった射撃教習
7月、射撃教習の許可が下り、銃を持つか結論は出ていないものの、猟期に間に合わせるのであればハイピッチで準備は進めていかないといけません。
近くの射撃場の予約を取ります。
そして、射撃教習では、練習・本番合わせて1日で100発の散弾を撃ちます。
銃は4kgの鉄の塊。
私が勧められていたのは口径の小さい「20番」の上下二連銃でしたが、射撃場で借りられるのは口径の大きい「12番」だけでした。
重い銃を持ち上げて構えるだけでも重労働なのに、さらに1発1発発砲するたびに大きな衝撃で体が後ろに突き飛ばされます。
すごく華奢な方ではないと思っていましたが、1ラウンド目の25発撃つ頃には腕が重くて上がらなくなっていました。
その上撃っても撃っても当たらない弾。
どう見ても異質な鉄の塊が憎く思えました。
あまりにも当たらないので、こんなに高いお金を払っているのに不合格で修了証明書ももらえずに帰るのかと思うと悔しくて景色が滲みましたが、何とか合格基準の「3枚」をクリアして、証明書だけはもらうことができました。
4.そして猟期スタート
射撃に対して欠片も楽しさを感じず、銃への憧れやワクワクも皆無でしたが、岩手に数カ月住むうちに山の楽しさだけは覚えていきました。
周囲にも「銃を持つ」と言ってしまったこともあり、近くの銃砲店で申請する銃を選びました。
「脱砲確認がしやすい上下二連銃で衝撃の小さい20番のもの。デザインも何でもいい。とにかく軽いもの」と、数本持ってみて一番軽そうなものを選びました。
「この銃を買いたいです」と警察署に申請、結果が出るのを待っている間に、狩猟免許試験も受け、無事合格しました。
10月には岩手より一足先に北海道で猟期が始まり、Twitterも猟果報告で賑わい始めました。また11月には以前から会ってみたかった神奈川の女性ハンターグループが来るという話も小耳に挟み、気付けば私自身も狩猟デビューに向けわくわくしていました。
そして猟銃の所持許可もおり、保険・猟友会の加入、狩猟者登録が完了し、ついにハンターベストとキャップをもらいました。
ハンターデビューです。
まだまだ経験は少ないですが、やっと銃を担いで歩いた回数も10回程度になってきたのではないでしょうか。発砲も、倒れているクマに向かって止め矢を3発、ヤマドリに1発、小走りの鹿に2発と回数を重ね、だんだん銃が自分に馴染んできたように思います。
20番にしたおかげか、射撃教習のときに感じたような重さや発砲の衝撃は感じません。
「本当に危ないのは火薬で、弾が入っていない銃には何の危険もない」と理解し、鉄の匂いも好きになってきました。
初めてヤマドリを仕留めた後は舞い上がって危うく脱砲し忘れるところでしたが、師匠が一緒にいるときは確認をしてくれるので安心です。
まずは、とにかく、「落ち着いて弾を込める、構える、発砲機会が終わったら脱砲する。」この一連の流れを体に叩き込もうと思います。
山は、静かで、じっとしていると色んな生き物の気配がして、ほんのときどき、チャンスがあります。山は楽しいです。
今の目標は、まずはシカを一頭。
獲物を引いて山を下すのまで一人でするのはハードルが高いですが、まずは自分の撃った弾で仕留めたいと思います。
そして、仕留めたら、自分で捌いて、食べる。
これからできる色々を思うとわくわくします。
おしまい。
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