見出し画像

【イメージ①】 脳は「現実」と「想像」を区別できない?!

この記事でわかること

イメージトレーニングの有効性とその活用方法


いきなりですが
皆さんは「イメージ」の力を信じているでしょうか?

※スピリチュアルな話ではなくちゃんとした科学的な記事です…

ここでいう「イメージ」とは

なりたい理想の姿や、競技中の動き、
大事な場面での感情や思考などを
頭の中で五感をフル活用して
鮮明に思い浮かべたもの

を指します。


実は「イメージ」については

スポーツ心理学の分野で「モチベーション」や
「目標設定」と並んで
数多くの研究が行われているトピックです。

イメージをうまく活用することができれば
疲労や怪我のリスクを気にすることなく
何度もトレーニングができたり、

自信やモチベーションを
高めたりする
ことができるので

皆さんのパフォーマンス発揮に非常に役立つはずです。


そこで今回の記事では
以下の内容について紹介していきます。

〜 前編 〜
1.イメージトレーニングのメカニズム
2.イメージトレーニングはパフォーマンスを高めるか?
〜 後編 〜
3.イメージトレーニングの活用例
4.イメージトレーニングをする上でのポイント


イメージトレーニングのメカニズム


仮説その1:人の脳はイメージと現実を見分けることはできない

実は頭の中で鮮明なイメージをするだけで
実際の動きの際に使われる筋肉に
活動がみられる
ことがわかっています¹⁾。

つまり、脳は「現実」と「想像」を
あまり区別できていないということです。

この特性を利用して
「身体的な練習+イメージ」のトレーニングをした方が

「身体練習」のみを行うより
効果があることがわかっています²⁾。


仮説その2:心理的な準備を可能にする

勝敗を分ける重要な場面を
何度もイメージし対策を考えておくことで、

実際にそのような場面になっても
心理的準備ができており
冷静に対処できるようになります。

また、理想の姿や自分の目標を
鮮明にイメージすることで

モチベーションを高め、
目の前の課題に集中するのを助けてくれます。


イメージトレーニングはパフォーマンスを高めるか?


多くの研究でイメージトレーニングの有効性が示されています。


根拠1:パフォーマンスや学習を促進する

イメージトレーニングが

筋力発揮³ を高めたり
ゴルフのパッティングパフォーマンスを高めたりする⁴

ことが報告されています。

また、ルーティンと一緒に活用することで
「自動化された」動きを引き出す
と言われています。


根拠2:感情や思考にポジティブな効果

また、イメージトレーニングは

自信 ⁵やモチベーション ⁶を高めること

イメージトレーニングを含む
心理的スキルトレーニングが
競技前の不安を低減させる⁷

ことが報告されています。


根拠3:成功している多くのアスリートが使用している

さらに、

レベルの高いアスリートは
そうでないアスリートより
高いイメージスキルをもっている⁸
こと。

 体系的な競技ルーティンやプランを
たてるためのトレーニングは
オリンピックでの成功の非常に重要な要因⁹

であることが報告されています。

このように
イメージトレーニングは

科学的根拠に基づいた
トレーニングと言えます。

後編へ続く
イメトレによってパフォーマスを向上させる


参考文献
Vealey, S., & Forlenza, T. (2015). Understanding and Using Imagery in Sport. In Williams, J. M. & Krane, V. (Ed.). *Applied sport psychology: Personal growth to peak performance*. New York: McGraw-Hill Education, pp240-273.
1)Suinn, R.M. (1980). Body thinking: psychology for Olympic champions, in Suinn R. M. (ed.), Pstchology in Sports: Methods and Applications, pp. 306-315. Mineapolis: Burgess.
2)Smith, D., Wright, C. J., & Cantwell, C. (2008). Beating the bunker: The effect of PETTLEP imagery on golf bunker shot performance. Research quarterly for exercise and sport, 79(3), 385-391.
3)Tynes, L. L., & McFatter, R. M. (1987). The efficacy of “psyching” strategies on a weight-lifting task. Cognitive Therapy and Research, 11(3), 327-336.
4)Woolfolk R., Parrish, W., Murphy, S. M. (1985). The effects of positive and negative imagery on motor skill performance. Cognitive Therapy and Research, 9, 335-341.
5)Callow, N., Hardy, L., & Hall, C. (2001). The effects of a motivational general-mastery imagery intervention on the sport confidence of high-level badminton players. Research Quarterly for Exercise and Sport, 72(4), 389-400.
6)Martin, K. A., & Hall, C. R. (1995). Using Mental Imagery to Enhance Intrinsic Motivation, Journal of Sport and Exercise Psychology, 17(1), 54–69.
7)Mamassis, G., & Doganis, G. (2004). The effects of a mental training program on juniors pre-competitive anxiety, self-confidence, and tennis performance. Journal of Applied Sport Psychology, 16(2), 118-137.
8)Gregg, M., & Hall, C. (2006). The relationship of skill level and age to the use of imagery by golfers. Journal of Applied Sport Psychology, 18(4), 363-375.
9)Gould, D., Guinan, D., Greenleaf, C., Medbery, R., & Peterson, K. (1999). Factors affecting Olympic performance: Perceptions of athletes and coaches from more and less successful teams. The sport psychologist, 13(4), 371-394.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?