クボタマサヒコ

音楽にまつわるアレコレしてます。 Musician, DJ, Sound Produc…

クボタマサヒコ

音楽にまつわるアレコレしてます。 Musician, DJ, Sound Producer. クボタ食堂で料理したりゆったり生活してみたり。 葉山 ⇄ 東京 ⇄ 沖縄 kuh, ex.BEAT CRUSADERS http://www.kuh.jp

マガジン

最近の記事

三月九日

先日、大雨の昼下がり突然ケイタイモと映像作家のキヨシくんが近所にやってきたので、海辺のファミリーレストランでお茶をした。 せっかくのシービューも意味をなさない豪雨の中に現れるあたりが、いかにもケイタイモらしい。 ひさびさのとりとめのない会話で、キヨシくんが仕事でお手伝いしたという『小金沢健人×佐野繁次郎ドローイング/シネマ』展の話になり、招待券をありがたくいただいたので伺ってみることに。 この日は晴れた週末だけに近代美術館近くの八幡宮あたりは人出が多く、鎌倉別館まで人ごみ

    • 三月八日

      都内のスタジオから移動して、なじみのハイボール屋の店主があらたに立ち上げた、音楽酒場の音響セッティングを手伝いに鎌倉へ向かう。 裏駅から出て御成通りに入ると、東京より雨あしが強くなっていてだいぶ寒い。 三寒四温。 鎌倉は雨もよく似合う。 店先まで行くと主であるマリコ氏がまだ来ていなかったので、雨宿りがてら近くのバルに入って待つ。 エビスのグラスビールにアンチョビとトマトのタパスを頼む。 思いがけず塩味と酸味のバランスがディルの香りと丁度よく、じぶんでも真似してみたくな

      • 過ぎゆく夏の音を追いかけて。

        『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -10(最終回) 「そうだな、まずはこれ聴きなよシロウ、Sex Pistolsな。」 「S…Se…なんでそんなハレンチなネイミング?」 「カイト、ジュースおかわり!」 「えーと、これはそもそもPUNKっていってさ…」 「ひとりで菓子ばっか喰ってんじゃねーよヒサミツ!」 「…いやいや破廉恥なんて言葉、フツー帰国子女は知らないだろ…」 「お、マタヒコまたウンチクかよ〜?」 「あーーうるさいっ!」 毎日がボンヤリと冴えな

        • 吉村さん(bloodthirsty butchers)のこと。

          春が終わり夏はもうすぐその角まで。 たまたま先月くらいから、ブッチャーズを心なしかいつもより聴き返していたり、吉村さんの出身地である留萌の場所を何の気なしにGoogle Mapで見たりしていて。 で、5月に入ったゴールデンウィークの最中、ライブツアー仕事で札幌に行く用が出来て、あぁそういえば吉村さんと初めてちゃんと会話したのも札幌のZeppだったなとか、今はどうしてるのかなあっちでもいいちこやら余市やら飲んでるのかなとか取り留めもなく考えたりしてたら、あれ今までぜんぜんお墓

        マガジン

        • 海 街 日 記
          2本
        • 『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』
          15本
        • 「クボリカワ書房」
          4本
        • 「クボタ食堂」
          13本
        • 夏夜怪奇譚。
          2本
        • 沖縄 オキナワ OKINAWA
          4本

        記事

          孤独な君のレジスタンス。

          『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -9 バンドは団体戦だ。 クラスの片隅でひとり、どんなに鬱屈として世間を呪ってみたところで、その一瞬で世界を一変させる1,2,3,4の奇跡の4カウントは、教室の窓の外からも気になるあの子の寝言からもまるで聞こえてきやしない。 どんなにコミュニケート不得手だろうが、仲間を集めないことには音楽は鳴り始まらないのだ。これはゲームではない。 そしてベーシストとボーカルが不在なまま、僕らは中学最期の春を迎えた。 *現在の

          孤独な君のレジスタンス。

          SOFTTOUCHしておくれよ。

          ずっと気づかないフリをしていたけど、もうすぐそこまで来てしまった存在をこれ以上無視している訳にもいかず、僕は観念して駅前の魚屋に足を運び、程度の良い鰤と大根を買い求めた。 街がようやく静まった時分、もう去って行ってしまったポストサマーに想いを馳せ、台所で鰤と大根をコトコト煮る間にこれを書き始めた訳なんだけど、いつの間にかそんな季節になってしまったよね。 そんな夏の終わり、『解放 ポストサマー』と題したライブイベントに先月、以前から只の一ファンでありながらもご縁あってSO

          SOFTTOUCHしておくれよ。

          「未来には行ける可能性ありそうだけど理論的にやっぱり過去へ行くのはどうにも難しそうだよね。」

          みたいな話を、先日SFメイトでもあるNovoiski氏と夜な夜な語っていたのだけれど(クリストファー・ノーラン的なやつ)、もし、万が一にでも過去の時代に移動する事が可能だとするのならば、迷わず僕は「江戸時代」に行ってみたい。 浅草にある母方の実家のお寺を住処にして、当時の華やかな江戸の暮らしを余す事なく享受してみたい。 その理由はだいたい百個くらいあって(ない)、1つ目は何といっても魚とか鰻とか寿司とか蕎麦とか、兎に角食べものが絶対美味しいに違いないだろうという事(環境汚

          「未来には行ける可能性ありそうだけど理論的にやっぱり過去へ行くのはどうにも難しそうだよね。」

          【第4皿】 「わたしの着地点。」

          雲は低く、蓋をした様に空を覆っている。まだ風も強い。 ここ最近は世の中もだいぶ通常モードになってきて、仕事先に出向いて行くことも多くなった。そんな訳で今日は久しぶりのまっさらな休日だ。 連日の台風の影響もなんとか収まったので、寝起き早々恒例の洗濯機2回しを敢行。その間に顔を洗い、軽くスキンケアをする。髪もだいぶ伸びたな、忙しさにかまけてたけど、そろそろサロン行かなきゃだ。 それにしてもすっかり寒い。中間コーデを色々楽しみたかったのに、いつだって秋って人は足早だ。もはや実

          【第4皿】 「わたしの着地点。」

          夏夜怪奇譚。そしてその後。

          【第二夜】 先日お話した怪奇には続きがある。 後日のある夜、その彼女と車で出かけた帰りに自宅まで送っていき、かなり遅い時間になっていたので、一帯が閑静な住宅地というのもあり家の1ブロック手前くらいで車を停めエンジンを切った。 そのまま車の中で何となく話を続けていたのだが、そのうちに何か気に入らないことでもあったのか彼女がだんだんと不機嫌になり、しまいには相当な剣幕で一方的に責め立てられるという事態になってしまった。 「もう、一体どういうこと?!」 「いや、そう言われて

          夏夜怪奇譚。そしてその後。

          剣道、アドラーそしてドラマー。

          『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -8 えっ、そこは普通ベースだろ…! そう思いっきり突っ込みたいところだったが、ここでヒサミツの気分を害してしまっては元も子もない。ようやくこの道に引きずり込んだ貴重なメンバー候補だ。パートはともかく今は仲間を集めるのが先決なのは間違いない。 そうして僕は、メンバー探しに奔走することになった。 といっても学年にたった4クラスしかない小さな学校だ。そういう意味では探しまわるのはラクだが、適切な人選は困難を極めるのが

          剣道、アドラーそしてドラマー。

          【第3皿】 「わたしの夏のゆくえ。」

          気付いたら夏が行ってしまった。 カレンダーが9月に捲られた途端、まるで会期を終えた催し物かのように夏は夏であることをやめてしまったようだ。 窓の外の抜けるような青空を見て、回していた洗濯機からシーツと枕カバーを取り出し、ベランダに1枚ずつきっちりと干していく。心なしか真夏よりすっきりとした青い空と綺麗なコントラストとなって風に揺れていた。 まだ涼しいとは言えないけれど、もう夏ではない何かを胸に吸い込んだ。 それにしてもこの一週間はなかなかハードだった。 半分はリモートワ

          【第3皿】 「わたしの夏のゆくえ。」

          ♪ここはオキナワ、みんなでおっきな和。

          沖縄とわたし ④ 沖縄に台風9号が接近し、かなり大型だということで、島に暮らす知人達も籠城を覚悟している様子が、SNS上で多く見受けられた。 現在のところ連絡をくれた友人含め皆無事だったけれど、家のガラスが割れたという話や、ニュースでも街中でそれなりの被害が報じられていた。 今日は、70m級の「吹き返し」(初めて聞いた言葉だ)の風が吹いているらしく、これ以上の被害が出ないことを祈りたい。 若干、不謹慎ではあるが、今回どれくらい危険な台風だったかというバロメーターが、沖縄

          ♪ここはオキナワ、みんなでおっきな和。

          夏夜怪奇譚。

          【第一夜】 これはもうずいぶん前の話になる。 その頃、お付き合いをしていた女の子と車で都内へライブを観に行った帰り、かなり遅い時間になって、僕の運転で横浜郊外の環状線を走っていた時のことだ。 その時間になるともう他に走る車もなく、僕らはとりとめのないライブの感想などを交わしながら、夜の街道を進んでいた。 沿道には人影はもちろん、建物すらなくかなり視界がひらけていて見通しがよすぎるくらいの道路だった。 道はしばらくまっすぐだったが、当時はカーナビも付いていなかったので

          夏夜怪奇譚。

          心の中から現れたものは常に正しい。

          『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -7 昨夜の日曜洋画劇場で『ベスト・キッド』を観たおかげで、興奮して寝付けずに絵に描いたような寝坊を喫した僕は、遅刻ギリギリで教室に飛び込んだ。 真っ白な開襟シャツはすでに汗でぐっしょりだ。 しかし今や気分はKARATEの達人、僕に案ずることなど何もない。 これしきの事は「心頭滅却すれば火もまた涼し」、である。 (このオープニング・タイトルの出方よ…最高だな。。) 席に着き、ミヤギ師匠から教わった(教わってない)

          心の中から現れたものは常に正しい。

          なんだこの感じ、この感覚。

          『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -6 「何だよ、見せたいのって。」 ヒサミツが訝しげな顔をして、僕の部屋の本棚を手持ちぶさたに品定めをしている。 遙か古(いにしえ)から、初めて訪れた部屋において繰り返し行われてきたであろう、ささやかな通過儀礼である。 しかし、僕の一番の愛蔵書である宮沢賢治大全集には微塵たりと興味を惹かれなかったようであり、遺憾ながら彼は早々にテレビの前に座を移してきた。 (僕はその全集の附録であった著者近影のフォトスタンドを

          なんだこの感じ、この感覚。

          【第2皿】 「わたしのハッピーの分水嶺。」

          これはまずい、溶ける。 「見ろ、化粧が泥のようだ…!」(見ないで) 本来なら今日はお盆休みだったはずだったのが、よりによって急きょ対面の打合せが入り、この冗談みたいな日差しの中、赤坂にあるオフィスビルまで出向いてきた。 どうやらこの業界の人の元にはご先祖様は帰ってこない世界線らしい。 自宅から電車だと30分かからない程度の距離なので、久々のこの状況だし自転車で向かうことにした。(あとでこれはミステイクだと後悔する事になる) Bianchiのスポーツタイプ、軽くて取り回しの

          【第2皿】 「わたしのハッピーの分水嶺。」