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『タシカメ』 あとがき的な記録

 いつもは舞台、もしくは映像の脚本を書かせて頂くのが主なので、小説という分野からは少し離れている私ですが、

 実は全くの初めましてではなく、お仕事として以前書かせて頂いたことがあり、書き始めから書き終わりまでとても自然に、そして楽しく書かせて頂きました。

 以前お仕事で書かせて頂いた小説については、久保田唱(こちらが本名なのですが)の名前で執筆しておりませんので、探しても見つけられないのではと思います。あまり探してほしくはないのが本音ですし(苦笑)。もしも文体のみで、これじゃないですか、と気がついた方がいらっしゃったら私にそっとご連絡下さい。正解だったらそうですと言います。


 さて、とは言え、とても久しぶりに取り掛からせて頂きました”小説”という分野。

 小さい頃から読むのは好きでしたし、あと、”脚本”とは表現方法が異なるのですが、普段書かせて頂く脚本の”前段階”のものは(注:私はですが)似た形の書き方をするので(脚本で言うところのプロットというものや、ゲーム媒体のお仕事だと、シナリオと呼ばれるものはそちらの形が多い)、そちらの形を基盤にしつつ書かせて頂きました。


 物語については、あまりにここで解説しすぎてしまうのは野暮というものでしょうから、書かせて頂くに当たってのちょっとした”こだわり”なんかを書いておきたいと思います。

 そのこだわりの一つが、”一人称”、そして”二人称”。

 これ、僕が書かせて頂く脚本もそうなんですけど、ケースバイケースで、自分の呼び名である一人称と、相手の呼び名である二人称を、敢えて変えて描いております。

 普通は自分・相手の呼び名というのは統一されることが多く、アニメやゲーム等だと”呼称表”というものが作られるほどに厳密に管理され、それ以外を使うと”キャラブレ”となって注意されてしまったりします。

 ただ、僕が普段すごくそうなんですけど、時と場合によって自分のことを”僕”、”俺”、”私”と言い換えたりしますし、世の中もそういうこと求められたりするじゃないですか。普段自分のことを名前で読んでる女の子が、就職の面接の席で「〇〇が御社を志望した理由は」って話し始めたらかなりの確率で不合格になると思うんですよね。

 あと例えば、普段恋人のことを名前で呼び捨てしてる人が、職場だったら苗字で”さん”付けとかした方がいいのでは、とか。これも勿論職場や関係性によるでしょうけど。

 そういったことを、作品の中にも細かく盛り込んでいきたくて、例えば二人称が変わる瞬間があったなら、どうして変わったのか、という想像に広げていきたい、そう思って普段からこだわって作っている部分で、

 普段の舞台の脚本でも時々、役者さんに「この人の呼び名、どっちに統一しますか?」って聞かれたりしますが、わざと変えてるんだよね、心情的に行けそうだったら変えてみてほしい、とお願いしたり。


 この作品は特に、主人公の心理描写を細かく描いたので、そういった変化も楽しめたらいいなと、ちょっとこだわりで作ってみました。


 あと、読んで下さった知り合いから、「これは実話ですか」と聞かれたりしましたが、実話は物語にしないことにしてるので、勿論創作です。

 冒頭から、「僕は友達がいなかった」と吐露している主人公のことを、「これ、久保田そっくりだよね」と言われたりすると、俺はそんなに捻くれてるのかと落ち込んだりもするけれど、私は元気です。


 ひとまず、そんな感じですかね。他にもこだわりは結構ありますが、あまり解説しすぎるのは、ということで。受け取り方は人それぞれだと思いますし、それぞれで予想して頂いてそれぞれで完結する部分があっていいと思いますし。


 二作目として早速、また違った表現方法で書かせて頂いたのですが、今後はコメディジャンルの小説にも挑戦したりとか、小説というジャンルの可能性にいろんな角度から挑戦出来たらいいなと思っております。

 今回みたいに前編・後編で終わるものや、一回で完結する、もっと短いものも書いていきたいと思いますので、良かったら今後も気にして頂けたら嬉しいです。

 このnoteで知ってくださって、普段の私の舞台や映像を見てくださる人が増えてくださったら、それも嬉しいこと。

 普段私の舞台や映像を知ってくださってる方がこのnoteから他の何かが生まれて繋がっていけたらそれもまた嬉しいこと。


 ということで、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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