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「えびぞりロック(3)」__週刊雑誌で漫画を連載をするということ

『40年前の週刊 少年マガジン掲載作品(未単行本化)を公開する』
シリーズ、早くも第3回目です。

今回、公開するマンガは

えびぞりロック 第3話
『えび・ラブ 「胸さわぎのカップル』 です。


ですが、例によってマンガの前に
当時の話にお付き合いください。


当時は(いや、今でもか)十代でプロの漫画家としてデビューするというのは、そんなに多くはなかったと思う。ましてや、その後すぐにメジャーな雑誌(週刊少年マガジン)で連載が始まるというのは、さらに珍しい。その事実だけを聞かされると、まるでボクは才能あふれる天才だったみたいだが、全くそうではないことは、その後の事実で証明されている(笑)

そりゃあ、マンガは子供の頃から かなり大好きで、学校のノートは絵の落書きだらけ(教科書もか。笑)という子供だった。大学ノートに鉛筆でコマを割ってマンガもどきも、よく描いていたかな。それでも漫画や絵ばかり描いていたわけじゃなくって、普通に外で遊びまわる小学生だったし、中学、高校と普通にスポーツの部活をやったり恋愛したり(笑)という普通の十代を過ごしていた。相変わらず、落書きのような絵や好きなマンガの模写みたいなことは、やっていたとは思うけど、本格的に漫画を描いたことも勉強したことも無かった。

ただ、覚えているのは「自分は漫画家になる」って
小学生の頃から思っていたような気がする。
ただ、なんとなくだけど。


高校三年の卒業も近い頃だったと思うけど、友人に「オレ、漫画家になりたいんだよね」って子供の頃から思っていたことを初めて言葉にしたのを覚えている。その後、デビューまでの話は ↓ ここに詳しく書いているので、ここでは割愛。

つまり、漫画を本格的に勉強したこともない自分が、
いきなりの週刊連載をするなんて、大変なことだった。


毎週、確実に漫画を仕上げないといけない。しかもストーリー漫画のように「つづく」は出来ない「読み切りのギャグ漫画」だ。一週間って、マンガを描く立場になってみると、そんなに長くないんだよね。

それでも最初の頃は良かった。連載前に数本のネームのストックは用意しているからね。今回紹介するマンガは連載3回目だから、この頃は、まだまだ余裕があったんじゃないかな。それが、連載が進むにつれて、だんだんと苦しくなってくるんだよね(笑)

『面白いネタが出せないと、多くの人が迷惑する』


ネタが出ないな~って言ってたら1日、2日は すぐ過ぎてしまう。ネタを思いついてネームが書けても内容が雑誌に掲載しても大丈夫な水準に達してなきゃ担当さんの「OK」は出ない。「OK」が出なきゃペン入れは始められない。ネームのやり直し。締め切りは迫ってくる。雑誌の発売は待ってくれない。

そんな状況で、気がつくとボクの中に、
それまで無かった意識が強烈に芽生えていた。

それは「責任感」という意識。

自分がマンガを描けないと周りに迷惑がかかる。
雑誌に穴が開く。自分だけの問題じゃないのだ。


ネットもスマホもツイッターもSNSない時代。個人が世間に何かを発進する方法が、ほとんど無かった時代に、自分の描いた漫画が確実に日本全国の多くの人の目に触れるということは、今では考えられないくらい特別な事で、限られた人間にしか与えられなかった特権だった。しかし、それと同等の責任がボク個人にかかっていた。限られた時間内に水準に達した作品を描かないといけない。

『面白いネタが出せないと、多くの人が迷惑する』

その現実は、ボクに仕事に対する責任感を芽生えさせた。それはプロの自覚だったのかもしれない。それがボクを大人にした。


当時、身内からは
「なんか漫画家になって変わったよね。大人になったよ」
と言われたけど、本当にそうなのだ。

自分で選んだ仕事だからこそ
漫画はボクを大人にしたのだ。


* * * * * * *


では、40年前の週刊少年マガジン連載作品を公開です。
えびぞりロック第3話「えび・ラブ「胸さわぎのカップル」

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いかがだったでしょうか?


ところで今回のサブタイトル
『えび・ラブ「胸さわぎのカップル」』
えび・ラブって何なんだろう?
って思いませんでしたか?(笑)

これ、担当Yさんがボクの知らないところで入れてます。もともとボクの方で考えたサブタイトルは「胸さわぎのカップル」(当時のマガジン連載中の「胸さわぎの放課」+「翔んだカップル」÷2)だけ。それだけじゃ、Yさん的には物足りなかったんでしょうか?(笑)

ちなみにマンガの冒頭、2ページ目。

校内の女の子に対して「お!ハマトラの子だ!」のセリフの『ハマトラ』は当時、流行っていた女の子のファッションで「横浜トラディショナル」の略。当時ホントに流行っていてウチの高校でも実際にハマトラで学校に通ってくる女のコいました。(ボクの通っていた都立高校は私服だったので)

ということで、当時、ちょっと前まで高校生だったボクが描いた高校生を主人公にしたマンガ「えびぞりロック」はギャグマンガとはいえ、その時代の高校生の生活や気分を描いてるマンガだったんだよね。


『「えびぞりロック(3)」__週刊雑誌で
漫画を連載をするということ』 終わり


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