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ビジュアルの力で学びをデザインする|東稜高校の事例

こんにちは、くぼみ(@kubomi____)です。

先日、京都府立東稜高校の人権学習にて、高校2年生約200名を対象に、映画上映会とパネルディスカッションが行われ、私はパネルディスカッションのグラフィックレコーディングを担当しました。

上映された映画「女になる」の主人公・トランスジェンダーの中川未悠さんをゲストに迎え、先生方と学生のみなさんが、恋愛や生き方について議論をするという、これまでに無い新しい授業となりました。

対話を中心として考える場を作る、新しい教育の形

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実は今回の企画、1年近く前からあたためられた企画でした。人権学習の映画上映会自体は、東稜高校では毎年行われていました。人権学習担当の太田先生と映画上映を担当する京都映画センターの宇都宮さんが、今年の授業を企画する中で、「ただ映画を観るだけではない、対話できる場をつくろう」と、映画の主人公をゲストに招いたディスカッションや、グラフィックレコーディングの導入を企画されました。

京都映画センターの宇都宮さんとは、以前から「映画イベント×グラフィックレコーディング」でコラボレーションしたいという話をしていました。今回の東稜高校さんとの企画を聞いたときは、「ぜひやりましょう!」と即答でした。事前に何度か打ち合わせを重ね、授業の設計していきました。限られた時間でどれだけ深い学びを作れるか?いろいろと議論しました。

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↑ 打ち合わせ時のグラフィックレコーディング


多様性を知って、自分に出会い直す

題材となる映画「女になる」は、性同一性障害から性別適合手術を受ける1人の大学生の姿を追ったドキュメンタリー。学校ではあまり教えてくれないLGBTをテーマに取り上げ、性の多様性・生き方の多様性を知って自分自身に出会い直す場をつくります。

↑ ドキュメンタリー映画「女になる」予告編


映画上映用のスクリーンでグラレコ投影!

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↑ 映画上映用のスクリーンとプロジェクターでグラレコを投影!私史上、最も贅沢なグラレコ体験でした…!

パネルディスカッション

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↑ 映画上映後、主人公の中川未悠さんご本人をゲストに迎え、パネルディスカッションに参加する先生2名と学生さん2名がステージに上がります。

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↑ まずは学生さんからの質問に中川さんが答えます。「恋をすると苦しいですか?」「理想のタイプは?」など、みんなが気になる恋バナで盛り上がる!中川さんの魅力的なキャラクターに、会場一体が引き込まれます。

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↑ 今度は中川さんからみなさんに問いかけ。「今、大切にしている人やものはありますか?」学生さんも先生も、大切なものはひとそれぞれ。

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↑ 質問の内容は、恋バナから生き方にシフトします。「カミングアウト前後の変化は?」「LGBTの人々が生きやすくなるために私達にできることは?」学生さんも先生も、真剣な表情に変わっていきます。

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↑ 最後に、再び中川さんからの問いかけ「自分が、まわりと違うなと思うところは何ですか?」この質問は持ち帰り、各自で感想文にまとめます。


振り返りワークシートのデザイン

授業後の学びの設計として、振り返りワークシートを企画し、デザインしました。授業参加前後の気持ちと考えの変化を、「表情」と「言葉」のふたつで表現してもらいました。文章だけでは表現できない気持ちのニュアンスを、表情の絵で表現してもらう狙いです。

人権学習ワークシート

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↑ みんな、とっても真剣に考えながら、描いてくれました!

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↑ 受講した学生さんたちの回答。受講前後の自分の考えの変化について、表情と文章で表現してくれました。
 受講前の「LGBTってどんな人だろう?」という同様のコメントにも、わくわくした表情を描く方もいれば(左上)、不安そうな表情を描く方もいたり(右上)。文章だけでは読み取れない微妙な気持ちが、絵に描いてもらうことで可視化されている
 また、すでにLGBTの友人がいるという方は「特に変化はなかった。これからもこれまでと同じ人間」と、受講前後で同じ表情を描いてくれました。このワークシート、構造はとてもシンプルですが、見えてくるものは多いのでは…?

まとめ

後日、東稜高校の太田先生からは、このようなコメントをいただきました。

「僕にとっては忘れられない、忘れたくない時間になりました。
生徒の前のめり感も、教員からの評価も過去最高によかったです。
生徒に関しても自分自身について考え直し、自分や周りの人と出会い直せる機会になったはずです。」

東稜高校のみなさんにとっても、私にとっても、気付きにあふれる忘れられない体験になりました。「学びの場づくり」にデザイナー視点で貢献でき、非常にチャレンジングで面白い機会となりました。これまで「教育」という分野は未知の世界でしたが、今後もいろいろな形で関われたらと思います!

2020年にやりたいことでも書いたのですが、「教育 × ビジュアルシンキング」の組み合わせはとても可能性を感じています。「学校の先生向けグラレコ講座」「描いて考える授業」とか絶対おもしろいなぁと思うので、機会があればチャレンジしてみたいです。

クレジット

京都府立東稜高等学校 太田先生
京都映画センター 宇都宮さん
映画「女になる」 中川未悠さん
久保田麻美(くぼみ @kubomi____

その他、私の実績はこちらの記事を御覧ください。

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