自分だけの世界を生み出す「宝箱」
本日はカヤマタイガ先生から『自分だけの世界を生み出す「宝箱」』の記事をお届けします!
はじめまして、イラストレーターのカヤマタイガと申します。
先日書いた「『自分らしいキャラクター』を作るために」という記事の中で、「アイデアの中には『面白い、好き、大事』と感じる『自分らしいアイデア』というものがある」というお話をさせていただきました。
みなさんは「面白い、好き、大事だ」と感じて、それがなぜなのか考えたことがありますか?
人はみんなそれぞれ、惹きつけられるものが異なります。可愛いものが好きな人もいれば、かっこいいものを魅力的に感じる人もいるでしょう。そこには、人それぞれの「惹きつけられるものの基準」があるのではないかと、私は考えています。
自分がどんな基準でものを見ているか理解できれば、自分らしい作品を作るために役立てることができます。今回は、そんな「惹きつけられるものの基準」について、私の考えを共有させていただけたらと思います。
「好き」の基準になっているものとは?
私は、人はそれぞれ心の中に自分だけの「宝箱」を持っていると考えています。宝箱にはその人が見つけてきた「人生において特に大事なもの」が入っていて、その宝箱こそが惹きつけられるものの基準になっているのだと思っています。
宝箱の中身は、誰もがはっきり認識できているわけではありません。自分が好きと感じるものの傾向をなんとなくは分かっていても、人生で何を大事に思っているのかまで考える機会は少ないのではないでしょうか。
自分の宝箱に何が入っているのかが明確になれば、自分が惹きつけられるものの基準もはっきりしてきます。
ここで、自分が持っている「大事なもの」がどのようなものか探る手助けをしてくれる方法を一つご紹介させていただきます。
自分だけの「宝箱」を作ってみよう
これは、私が学生の頃にとある講義で教わった方法です。やり方はシンプルで、自分の五感にまつわる「大事なもの」を書き出していくだけ。
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宝箱を作る上でのルールです。
五感にまつわる大事なものをそれぞれ10個ずつ、それ以外のものを20個、計70個書き出しましょう。
例:味覚=ココア、豆、こんぺいとう…
嗅覚=化粧品、冬、プール…
それ以外=まどろみ、蝶々、洞窟…
こんぺいとうのトゲトゲした舌触りが好き、プールの水から出た時の鼻がツンとする感覚が好き、などなど…。五感をそれぞれ自由に解釈して問題ありません。
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いろいろなアプローチで自分自身を分析することで、大事なものが何なのかを見つけることができます。どんな音が好きか、なぜそれが好きなのか、それがどんな記憶とリンクしているか……などなど。「理由はないけど好き」「なぜか気になる」という程度でも、深堀りしていくことで自分にとって欠かせない要素だと感じるかもしれません。
70個書き出せることが理想ですが、難しい場合は、大事なものが思いついたらその都度書き加えていくのでも構いません。書き出したものは基本的に変更しませんが、しばらく経って新たに大事だと感じるものができた場合は、入れ替えても良いと思います。
自分が持っている大事なものを書き出すことができましたか?これらは数などの条件がある中で選び出した、自分の人生にとって欠かせない重要な要素です。宝箱の中にあり、惹きつけられるものの基準となって「あれが好きだ」「これは魅力的だ」と感じる「自分らしい視点」を作ってくれているのだと思います。
宝箱を覗いて「自分の世界観」を知ろう
宝箱の中身が明確になったら、次はそれを活用してみましょう。宝箱には、大きく二つの役割があると考えています。
①周囲のアイデアから、自分にとって必要なアイデアを見つけさせてくれる
先にも書いたとおり、宝箱は「惹きつけられるものの基準」です。基準がはっきりしたことで、自分が惹かれるアイデアを意識的に見つけられるようになり、ひいては自分らしい作品作りに活かすことができます。
②自分の持っている「世界観」を教えてくれる
自分の大事なものを可視化したことで、全体の雰囲気をより具体的に俯瞰で観察できるようになりました。そこから感じ取った全体のイメージが、自分の持っている「世界観」です。
自分の世界観は、作風やテーマとなって作品全体を支えてくれます。そしてそれを知ることは、自分だけが持っている強みを知ることだと私は思います。
ここからは、宝箱を使ったアイデアの探し方をご紹介します。
宝箱の活用方法
①宝箱と惹かれ合うアイデアを探す
自分の宝箱を意識しながら周囲を観察し、惹かれ合うアイデアを探してみましょう。惹かれ合うアイデアとは具体的に言うと、宝箱の中の大事なものや世界観と関連する要素を持ったアイデアのことです。
こうして見つけたアイデアは、自分の世界観を強固にする「自分らしいアイデア」です。これらのアイデアが加わることで、その人の作品はより世界観の濃いものになると私は思います。
②惹かれないアイデアをアクセントに
反対に「これは好きじゃない」「興味が全くわかない」と感じるアイデアを見つけることもあると思います。自分の宝箱と関連する要素がない、自分らしさから遠く離れたアイデアです。
しかし、そんなアイデアに試しに関心を持ってみるのも良いでしょう。惹かれないものは、言い換えると「自分の世界観には存在しないもの」です。これらをあえて作品に取り入れることで意外性や物語性が生まれ、自分でも想像できない作品に発展することもあります。
また、興味のないアイデアに触れることで、そこから興味関心の範囲が広がり、いつか新たに「大事なもの」として宝箱に入る可能性もあります。自分が何に惹きつけられ、何に惹きつけられないか、宝箱との関連性を意識してアイデアを探してみましょう。
まとめ
人はそれぞれ自分だけの宝箱を持っており、それが惹きつけられるものの基準となっている。
宝箱には自分の人生において特に大事なものが入っており、それらを明確にすることで自分の基準もはっきりする。
宝箱には、自分の持つ世界観を教えてくれるという役割もある。
宝箱との関連性を意識することで、自分らしい作品作りに役立つアイデアを見つけられる。
自分自身を分析することで、自分らしいアイデアを効率的に見つけ出すことができ、自分らしい表現に繋がります。また、自分が惹きつけられるものの基準や興味を持てる範囲を知ることで、アイデア探しはより楽しいものになると思います。
是非、宝箱作りを試してみていただけると幸いです!最後までご覧いただき、ありがとうございました!
○プロフィール
カヤマタイガ
京都芸術大学通信教育課程イラストレーションコース採点講師。京都生まれ京都育ちの絵本作家&イラストレーター&キャラクターデザイナー。ゲームのような世界観のイラストを得意とする。
著書:「ニャンデモクエスト(PHP研究所)」
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4569880835
Twitter:https://twitter.com/taiga080521
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