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いつも心にサクマさんを『現実入門』(穂村弘)ー読書記録

占い、合コン、はとバス……、著者が今までしたことのない体験をする様子が、心情と一緒にコミカルに書かれているエッセイ。


夏生さえりさんのtwitterでこの本を知った。「はじめてのことに挑戦する著者の 心の声に笑っているうちに 自分も挑戦したくなる。」

とても素敵なおすすめ文に惹かれ、その日にネットで購入した。読み進めるうちに、おすすめ文の通りとなっていった。


偶然にも最近、私も挑戦することが増えている。特に車の運転。ハンドルを握る度に「いやだよ、やりたくないよ〜死ぬの?」となりながら、自分を奮い立たせている。終わった後は放心し「こわい、もうやりたくない」とつぶやく。

このエッセイに書かれているのも、初めての挑戦に対する心の声。ユーモアたっぷりに、言葉のプロである著者にしかできない表現でつづられている。

そのセンスに、ついハハッと声を出して笑ってしまう。健康ランドに挑戦した章での「お湯に浸かったせいだろうか、なんだか、全身が『健康わくわくランド』になっているようだ」がお気に入りだ。

ちなみに著者は1人で挑戦するばかりではない。最初に企画を提案してくれた女性編集者のサクマさんが一緒にするものも多い。

サクマさんは挑戦する事象や出会う人、そして著者対し、心地よい距離感だ。

著者が多くの挑戦ができたのは、サクマさんの存在が大きいだろう。実際ブライダルフェスタなどにも挑戦できている。そして心理的にも大きいだろう。

サクマさんが実在するかしないかは、あとがきまでしっかり読んだら分かるかもしれない。どちらにせよ、私も挑戦する時は、心にサクマさんを持つことに決めた。

私が運転する時にはサクマさんは何も言わず助手席に座り、無事運転が終わった時には「良かったですね」と言ってくれる。明日も運転に挑戦するので、サクマさんお願いします。

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