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誰も聞くことのない友人代表スピーチ

新郎である親友の結婚式が延期になったのを知ったのは1ヶ月前のことだ。とはいえ残念ながら、私は友人代表スピーチを任されていた、わけではない。

新婦はわたしも良く知る、わたしと同じ名前の後輩で、要らん心配なんて微塵もかけたくないので、このスピーチが表に出ることはない。そもそも異性の友人代表なんて、余計なことで晴れやかな場を濁したくない。手紙を送りつけようかと思ったけれど、同居しはじめたばかりの新婦だって100%嬉しいで受け取れないだろうから、やめた。

でも異性の親友というとありがちな、ぬめっとした仄暗い感情が一切ない、そんな唯一無二の関係として、心からお祝いしたい。私の精一杯の祝福は、言葉なんだ。せめてここに残そうと思ったので、名を変えて、以下に記す。


新郎になった君へ


みずたにくん、結婚おめでとう!
なかなかお祝いの言葉を直接伝えるのは照れ臭い気もするので、
兄弟を家から送り出すような気分で、
友人代表のような手紙にしてみたので、
気が向いたときにゆっくり読んでくれ。

まずは出会いたてのところから。
大学一年生、入学したてのキラキラの時。
屋上で花火を見たりだとか、タッツーとワールドカップみたりだとか、
旧かわちゃんちにすぐ入り浸ったりだとか、
あと1年のクリスマスはみずたにくんとかわちゃんと野本で伊豆に行ってたりとか。
いっ子も入れて3人でSkypeしたりね。
全部懐かしいけれど、水谷家のこともよく覚えてたりします。
たくさんお世話になったし、しょっちゅう引っ越してたし、信宏事件もあったし笑
当時を思い返せば若かったなとか、恥ずかしくて忘れてしまったことだとかもたくさんあって、
基本的に広い心で受け入れてくれる水谷くんの存在はいつでもありがたかったよ。

しーちゃんと出会ってお付き合いを始めるときも、意外なくらいによく覚えていたりして。
突然わたしのことを苗字で呼びはじめたのも、今思えば微笑ましすぎる、懐かしい思い出だなあ。
その後も私はサポート役として、みずたにくんがまとめる部活で一緒にやりたい!って強く思ったことも、自分でもなかなか意外だったりしたよ。
どうしようもなく分かり合えなくて、言い争ったことも、苛々したことも山ほどあったけど、
今でもこうして楽しく遊べているのはその時遠慮なくぶつかったからだよなー。と改めて思うのです。

思い返せば打合わせばっかりだった学食での会議も
順平が即興で弾くと急にカラフルな音がする練習室のピアノも
譜面台置きで畳がすれる和室も
落書きだらけで夏は灼熱の廊下も
狭いからすぐいっぱいになっちゃう部室も
そしてジャンプのバックナンバーが床に並ぶ水谷家1、
マフラー必須の寒さとドアがカラフルな水谷家2、
あとくたびれすぎて反発力のなくなった人をダメにするクッションと。
思い返すといわゆるエモい時間を感じたりして、
想像以上に同じ時間を過ごしたんだなと思ったりもします。
そりゃあ10年も経つのだから当たり前なんだけど。
私にとってのオーケストラの同期ってやっぱり特別で、
そんななかでも水谷くんは同性ではないけれど異性というわけでもなく、
遠慮なく話せる友達で、家族というか兄弟にも近くて、なにより大事な関係性の存在なので、
今回の結婚を心の底から祝福できるということを本当にうれしく思います。
そして私にそう思わせてくれるみずたにくんという存在がありがたいなあとしみじみ思う、改めて、いつもありがとう。

効率良く生きるにはあまりに正直で、不器用でまっすぐだけど、
そういうところにしーちゃんのみならず皆惹かれているのだろうし、
嘘のない言葉をまっすぐな瞳で届ける姿は、
これからも人の心を打つと思う。
ますますかっこよくなってくれ。

そして私は、独特の着眼点も、ときどき見せるびっくりするくらいのストイックさも、
おおらかでゆったりしたしゃべり方も、なぜか自信あるようにしか見えないふるまいも、
すべて揃ってのみずたにくんだと思っているし、
そういうところがすきで、魅力的だなーと思う。
どんな形になっても、夢や、やりたいことが叶う日が来ることを応援しています。
まずは自分が誰より幸せになってね。
そんで周りのことも幸せな気持ちにしてあげてください。
貴方が幸せなだけで、周りが幸せを感じられるってすごい才能だと思うし、
みずたにくんにはその力があると思うんだよね。

とにかく、結婚おめでとう。
これからの人生も、気の置けない友人として、
時々会ってはまたすぐ昔みたくはしゃごう。
そんでちょっとずつ老けていこう。
これからも、よろしくね。

精一杯のお祝いの気持ちを込めて
北村

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