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「上司は分かってくれない」のは当然

たまに「上司は分かってくれない」と愚痴っている人がいるが、

「上司と部下は本質的に分かり合えない」と思ったほうが良い。

むしろ、上司と部下が分かり合えることは問題である。

もし「自分は部下と分かり合えている」と自慢する上司がいるならば、それは勘違いか、その上司は実力不足であると思ったほうが良いだろう。

それは、上司と部下では視点と役割が異なるからだ。

表面的には、同じ職場で、同じ時間帯、同じ仕事をしているように見える。
もちろん、細かい雑務や作業工程が同じこともあるが、全く同じということはない。

もしも、毎日のように部下と同じ仕事をしているという上司がいるならば、それは役職を放棄しているのと同様であるだろう。いっそ上司という肩書を手放して、部下と同じ立ち位置で仕事をすれば良いと思う。



何だか当たり前のことだが、割とこの辺りを忘れている人は少なくない。

そして次は、部下視点でお伝えする。

冒頭のように「上司は分かってくれない」と愚痴る人がいると伝えたが、このような人は上司と部下は同じ仕事をしているという勘違いをしているから、このような愚痴が出る。

もちろん、上司は役職者として違う仕事をしているということは理解しているだろうが、多くの場合は具体的に何をしているかを把握していない。

それはそうだ。上司は部下に対して「今日はこういう会議があった」なんていちいち言わないだろう。また、上司が関わっている取引先や、その人たちとどのような話をしているのかも知らないだろう。

つまり、部下は上司という存在をちゃんと把握していないわけだ。

この事実をないがしろにしているから、いくら上司に「自分はこうしたほうが良いと思います!」「自分の企画を採用してほしい!!」と思って意見を却下されたとき、「上司は分かってくれない」と愚痴るのだ。

人間関係で言えば、自分は相手のことを知ろうとしないのに、相手には自分のことを知って欲しい・理解して欲しいと言って、それが叶わないと怒る。まるで子供のようだ。



私は介護事情における経営および運営という立場であるからこそ、頻繁に「分かり合えない」という場面に出くわす。

現場スタッフから「どうして分かってくれないのですか!」と憤慨されることもあるし、同じテーマを共有しているはずなのに視点が異なることから話が噛み合わないこともある。

そこで「誠意を尽くして話せばわかり合える」「ちゃんと説明すれば分かる」という期待はしない。また、一度にすべてを相手に理解してもらおうなんて思わない。

重要なテーマになるほど「分かり合えない」という前提のもとに、何回もアナウンスしたり項目を小分けにして説明したりする。

そもそも、私だって知らないことを一度にたくさん言われても、それがいくら重要なことであっても5分後には半分以上は忘れてしまう自信がある。

さらに、自分が別の考えをもっている場合に「そういう考え方もあるのか」と納得できることもあれば「うーん、それは違うのでは」と腑に落ちないこともある。

自分の考え方を相手の考え方に合わせるためには、それなりに時間がかかるということを自らをもって知っている。

このようなことに気づくほどに、他者に対して「分かってくれない!」と憤慨することは、徐々に少なくなっている。(もちろん、憤慨することは多々ある)


 
話が少し脱線したので話を戻す。

部下が上司に対して何かしらの自論を展開したときに、それが理解されない・通じない・意見が通らない・採用されないなんてことは多々ある。

そのようなときに部下という立場が思うことは、「上司は分かってくれない」ということではない。分かってくれない人に対して「分かってくれない!」と憤慨するのは誰でもできる。

考えるべきは・・・

上司との関係性が足りないのではないか?
自分の伝え方が未熟なのか?
相手に合わせた伝え方をしているか?
仕事で見えていないものがあるのでは?
上司の視点だとどう考えるのか?
自分の実力がまだまだ至っていないのでは?

・・・など、自分自身の改善点にしたほうが健全だと思う。
「今の自分では分かってもらえないのか」と実力不足を受け止めてしまったほうが前に進める。

実際、相手が上司でなくても、自分の考えや提案に対して「分かってくれない!」と思ったところで、数年後に振り返ってみると「ああ、あの時の自分では分かってもらえないよな」「あの提案はないわ」と思うこともある。


――― 本記事だと「上司は部下のことを分かろうとする努力をするべきだ!」とお叱りを受けるかもしれない。

もちろん、現代においてはそのような考え方も必要である。お互いに分かり合おうとすることは大切だ。

しかし、仕事において「分かってくれない!」という人は、それをお客さん相手にも言うのか? と問いかけてみてほしい。

お客さんは分かろうと努力をする必要はないだろう。それどころか、「もっと簡単に説明してほしい」「何か違うんだよね」と言える立場にある。

このようなときに憤慨しないためにも、まずは上司相手に「分かってくれない!」と愚痴らないようトレーニングしてみてはどうだろう?

それもまた社会人としての成長だと思う。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。


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