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『ポケモンユナイト』とジャンルに新しいプレイヤーを招くということ

株式会社ポケモンとTencent Games共同開発のポケモンのチーム戦略バトルゲーム『ポケモンユナイト』が発表された。

※トップ画像の引用元は上記映像

ポケモンを使ったいわゆるMOBA(Multiplayer online battle arena)であり、『王者栄耀』(日本では伝説対決の名称)と『League of Legends』というMOBAジャンルの人気ゲームを運営するテンセントが世界有数のIPであるポケモンと組むことで、「これはヒットしそう」と予感させるタイトルだった。

ポケモンユナイト』はF2P(基本無料)タイトルと発表されており、他のゲームと同じく、ゲーム内アイテムやシーズンパスといった要素への課金でマネタイズすることが予想される。

MOBAは世界的に人気のジャンルである。SuperData社による2020年5月の世界デジタルゲーム売上ランキングをみると、PCゲームの1位が『League of Legends』、モバイルゲームの2位が『王者栄耀(Honor of Kings)』だ。

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引用元: https://www.superdataresearch.com/blog/worldwide-digital-games-market

MOBAには他にも『Dota 2』、『Heroes of of the Storm』といった人気タイトルがあり、ジャンルとしての地位が確立されている。キャラクターを多数出場させられるため、パブリッシャーが保有するキャラクターIPのマルチメディア展開を検討するさいに、オールスター系のゲームとしてソフトの選択肢としても上がりやすいといえる。(HoSはブリザードのキャラクター、『League of Legends』はその逆で登場ヒーローを使った他ジャンルゲームをライアットが開発中)

とはいえ、日本におけるジャンルの人気は北米、欧州、韓国、中国といったゲーム先進国に比べると今一つ。『League of Legends』については長くプロリーグ『League of Legends Japan League』が開かれており、ゲーム大会コンテンツとして人気は高い。プレイヤー数は少なくないと予想できるものの、PCプラットフォームのみの展開であるがゆえに、プレイヤー数には限界がある。(日本はモバイル、コンソールのプレイヤー数が多い産業構造なので)

ではモバイルで展開すれば流行るかと言われれば、Super Evil Megacorpの『Vainglory』、NetEaseの『非人類学園』、そして『伝説対決』が日本でもリリースされていたのだが、結果は「思ったほどには…」という出来(商業的に)。

日本でヒットしない色々な理由を考えると、「プレイ時間が長い」、「チーム戦で役割が割り振られていて面倒」、「絵がバタ臭い」などあげられるが、どれも後付けの分析に過ぎず、この業界の誰にも分からないままである。

そこへ満を持してポケモンがやってきた。筆者も以前から「MOBAを流行らせるにはポケモンを使うしかないのでは」とツイートしたりしていたのだが、まさか実現するとは。しかもSwitchのパッケージ販売ではなく、モバイル展開を含めたF2Pしかもクロスプラットフォーム!ユーザーベースを爆発させる要素を十二分に備えている。

過去を振り返れば、『ポケモンGO』が『Ingress』が築き上げた位置情報ゲームのジャンルを一気に超メジャーに仕立て上げたわけだし、株式会社ポケモンではなく任天堂タイトルではあるが、『スプラトゥーン』がシューターに馴染みの無いプレイヤーでも遊べるようにジャンルを換骨奪胎したのだった。IPの力と開発力によってジャンルの人気を底上げするポケモン・任天堂の戦略をいつだってまざまざと見せつけられてきたわけである。

『ポケモンユナイト』発表動画のデモプレイをみても、しょこたん、松丸りょうご、ポッ拳チャンピオンの石田大輝、はじめしゃちょー、ポケモンの石原社長と幅広いレベルのプレイヤーが遊べることを全面に押し出している。(一番年上の石原社長が活躍していたのだが…)

対戦ゲームとしての競技性を高めるとともに、プレイヤー層を狭めないというアクロバティックなゲーム作りをポケモンIPならできてしまうのだ。強すぎる。

いつかグローバルのゲームランキングで『ポケモンユナイト』がランクインする日を思うと楽しみで仕方ない。そして、日本でMOBAジャンルの人気が爆発しますように。

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