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【海外Z世代情勢】ユートピアを模索するZ世代

◯ はじめに

シリーズで進めている「海外Z世代情勢」。
今週も海外のZ世代事情をご紹介し、Z世代の考え・トレンドをボーダレスに俯瞰してみたいと思います。

目次「◯さいごに」に記した内容が、ここで取り上げた3記事を凝縮しています。サラッと内容を掴みたい方は紹介記事はスキップしちゃってそこだけでも読んでいただけたら嬉しいです。

それでは、どうぞ 🙇‍♂️

【ライフスタイル】mint lounge

⚫︎ スピリチャリティとサイドハッスルに熱心なインド Z世代

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記事によると、
インド Z世代 70%が『祈りの後は自信を持てて人生を安定させられるように感じる』『サイドハッスルが社会的成功の近道だと考えている』ようです。

まず1つ目、スピリチャリティについていえばコロナ禍に国外Z世代を魅了した「Manifesting(マニフェスティング・顕在させること)」に関連することが言えるでしょう。[詳細]
マニフェスティングは「思考を変えることで未来を変える」というスピリチャルな考え方ですが、マインドフルネスというキーワードが勃興する昨今の様子を見るに、コロナ禍が引き起こしたストレスフルな経済・社会環境を打破する手法の1つとしてフラットにみなすことができます。(国内でも、SOULやgravity、muuteなどのソーシャルメディア / ジャーナリングアプリがZ世代のマインドフルネス需要に応えるかたちとなっています)

さて、2つ目の"サイドハッスル" はいわば副業のようなものですが、お金を稼ぐだけのものではなく「自身の得意分野や好きなことを生かすこと(Hustle; 頑張ること)」が前提であり、自己実現を主軸に添えたケースを指します。[詳細]
物質的ではない精神的な欲求を満たす傾向にあるのも、家に居ようとも「何だって手に入る環境」に生きる私たちの自然な動向とも言えるでしょう。

📚 コラム
このコロナ禍、精神的な拠り所として "家族" や "恋人" など身近な存在に対しての考え方は大きく変化しています。
こちらの記事でも「家族への感謝の気持ち」や「家族がモチベーションになる」割合が上昇しており、これは国内Z世代でも同様で、皮肉ながらパンデミックの恩恵と言えるかもしれません。

【思想】yahoo! finance

⚫︎ 社会主義 vs 資本主義: 米 Z世代はどう考える?

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米国民の3分の1が資本主義について否定的な見方を持ち、Z世代(ここでは24歳以下)では半数が社会主義への傾きを見せているそう。

昨年の米大統領選で健闘を見せたバーニー・サンダース氏の登場、そして兼ねてからの問題である経済的不平等への不満がトリガーとなっています。
米ソ冷戦を知らないZ世代からすると、社会主義へのバイアスもなく、現状の経済状況・富の平等性に鑑みれば「隣の芝は青い」ようにも見えるでしょう。

9月に、社会主義の父 マルクスその娘エリノアの半生を捉えた映画「ミス・マルクス」が公開されます。[詳細]
この映画の撮影自体はコロナ禍以前から開始されており、奇しくもこのタイミングでの公開となっているなど、社会主義に耳目が集まる昨今となっていますが、社会主義の元大成した国家は悉く失敗に終わるという史実があるのも事実。

歴史に鑑み、資本主義・社会主義という二項対立で考えるのではなく、その双方の真意を汲み取った上で、現代にあるべき思想を備えるべきだとは思います。

さて、日本のZ世代にはどんな考えがあるのでしょうか...

📚 コラム
2019年の時点では、US のホームレス数(ある一夜で)は35,038人だったと報告されています。[詳細]  一方同年の日本では4,555人。[詳細]
国内人口に3倍ほどの差があるものの、比率的にもホームレス数の多さがうかがえ"経済的不平等"にも納得がいきます。
また US 奨学金の負担問題は度々話題にのぼっていることも、考慮に入れておかなければなりません。

【労働観】人民網

⚫︎ 中国 Z世代の8割超が「フレックスタイム制」を希望

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フレックスタイム制(以下、フレックス)とは、勤務時間よりも達成度で業務を管理し、勤務者に労働時間を任意に設定してもらう形態を指します。

中国 Z世代ではとりわけIT産業やビジネスサービスに従事する人たちがフレックスを希望していると報じられていますが、上図を見るにほぼ全ての産業分野で7割以上がフレックスを希望していることが伺えます。

また、新たなキャリアとして約2割がビデオブロガーになりたいと考えています。
インド Z世代の記事で取り上げた"サイドハッスル"のように、フレックスで労働以外の時間を割き「好きなことをしたい + お金を稼ぎたい」という、資本主義的ユートピアを感じ得る結果でした。

📚 コラム
中国Z世代では、「1995~1997年に生まれたZ世代」という定義のされ方の他、当記事でもあるように、2000年代生まれの「00后」・1995年代生まれの「95后」といった独自の区分で考えられることがあります。
舶来品でもある"Z世代"という言葉を上手くローカライゼーションさせていて、若年層の強大な購買力や世論の動きに対する認識の深さを思わせます。

◯ さいごに

... Z世代は本気でユートピアを模索しているのでしょうか?

スピリチャルへ信頼を寄せるインドZ世代。
歴史上成功例がない社会主義に傾倒する米Z世代。
「好きなこと」に時間を割こうとする中国Z世代。

『実現なんて無理だ』と思うかもしれませんが、しかし、彼らは現状の心を冷静に保ちながら、着々と、一歩一歩実現の方向へ向かっていると言えます。

夢なんてあっという間に現実になるする。そして往々に現実は痛ましい。
だからこそ、夢を見るよりさっさと現実を見ろ。

最近僕が言われた言葉です。
ここまで見てきたZ世代の様子は、夢見るだけではなく、まさにこの言葉通り現実を見据え実際に行動に向かっています。Youtuberを目指しわずかな再生回数であっても毎日動画を更新し続けるクリエイターも、反乱軍に対しデモ活動を続けるミャンマーZ世代も、現実を直視し毅然と立ち向かっています。

スピリチャルや社会主義、フレックスタイム制は単なる ”オプション・ツール" であり、そのすぐ先に広がる理想とする現実を求めている、そんな風に考えました。

さいごまで読んでいただき、ありがとうございました。

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