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この手から物語が生まれるとき

ようこそ、ケイです。

今月はサトウカエデさんの小説『終わりの電車の向こうがわ』の登場人物を主人公にしたB面を書かせていただくという、大変貴重な体験をさせていただきました。

嶋津亮太さんが開催されている「 #教養のエチュード賞 」への参加と合わせて、私の執筆経緯を書くことにします。


奇跡コラボのはじまり

まず、サトウカエデさんの小説『終わりの電車の向こうがわ』が公開されたのがすべての始まりでした。

大人の恋愛、いやこの狡さを恋愛と言っていいのか、この作品で表現された心理は多くの大人たちの心をざわつかせて話題になりました。
同時に、男性側の心理についても次々とツイートが展開されました。

そんな高揚と盛り上がりの中。

入谷さんは、コンテスト入賞作品『ヨーグルト』をピックしてくれて以来つながりができた方です。

外野から流れを見ていて、急に通知がきたときのリアル飛び上がり!

もう、本当に僭越ながら、どうしても好奇心を抑えられずに名乗りを上げてしまいました。

(日本語。。)

視差小説という表現

私が作品を書くときは登場人物を多角的に見ることが多くて、主人公の周囲の人物もまた主人公と同じくらい(実際に書かなくても)人物像を明確にしています。
どうしても放っておけない場合は、別視点での作品を書いて公開していました。

そういう、一つの事象を異なる登場人物の視点で書かれた作品のことを「視差小説」と呼ぶことは、入谷さんから聞いて初めて知った表現でした。

夏のコンテスト応募作品『ビール』を取り上げていただいて、登場人物の彼らが多くの人の目に触れたことは今でも嬉しいです。

執筆環境

ここで、いつもどのような環境で作品を書いているかを紹介してみます。

私は小学生の頃からタッチタイピングしていたほどのキーボード育ちなので、文章の入力は手書きよりもキーボードの方が断然早いです。
一方で、どうしてもスマホのフリック入力は思考とリンクしなくて、なかなか落ち着いて長文を打つことができません。通勤が電車やバスなどの公共機関ではなく自家用車なのも要因の一つかもしれません。

入力端末は、ノートPC、iPad+キーボード、スマホ(Android)の3種類。
それぞれの特性があるので、連携させて活用しています。

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テキストはEvernote、画像はDropboxで共有。
以前はスマホからEvernoteに連動するメモアプリを使っていたのですが、マイナーアプリだからか最近同期しなくなってしまったので、LINEで共有しています。写真もその場で送れるので割と便利。

自宅では多機能のノートPC、カフェ作業など外への持ち運びにはiPad、思い付きの設定やメモはスマホという感じで使い分けています。

取材

情報収集は現地に行ったり、関係者に話を聞いたりしています。

今回は #クズエモ を意識していたため、知り得るクズ属性がありそうな知人に電話取材しました。

ケイ「クズ男についていろいろ聞きたいんだけどさ」
相手「それ俺に聞く!?」爆笑

作品に実際のエピソードは採用しなかったですが、男性心理について様々勉強させていただきました。へぇ、そこ見てるのかー。

過去に取材した作品として紹介させてもらうとしたら、こちら。

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動物看護師から意見を聞いて書きました。

ちなみにこちらのハッちゃん、名前を付けない私の作品の中では珍しく命名されている登場人(犬)物になります。
可愛くてお気に入りの一作。

金沢を舞台に構想中の未公開作品では、移動設定の裏付けを取るためにバス路線調査をしています。
路線図を参考に地図上でバス停の位置を調べて、時刻表と照らし合わせながら、実際に路線の違うバスを乗り継いでみるといった現地調査もしました。

その他、年齢の整合性をとるため年表を引いたり、方言監修を受けたりなどすることもあります。

B面創作話に戻ります

サトウカエデさんの小説を読んだとき、率直に思った感想が2つありました。

●席を外した上司は、自分も同じようなことをしているだろうな。

”エモい”という言葉が、実はまだ私の中でしっくり消化できていないのですが、たぶん「身に覚えがある」「なぜか共感する」みたいな感情の揺さぶられ方なのかなと解釈しています。
今回クズエモを書くにあたり、A面彼女の期待に添えないかもしれないけど、それほど誠実な人ではない男として上司を書きました。

ただ、この上司が人一倍クズ男なのではなく、特定の交際相手がいてもどこか本気でなかったり、他に気になる人を見つければ可能性にチャレンジしてしまうのは誰にでも起こり得ることかと思います。
クズエモの“エモ”を私なりに解釈して、お互い同類だから惹き合う部分もあった二人ではないかと思いました。

●知られたくない年下彼氏の存在、たぶん知られている。

家庭環境に始まり、どこで見かけた、誰と一緒だった、など社員の背景やプライベート情報って、狭い会社内では意外とみんな知っているし共有しています。
本人が伏せている様子だったら何も知らないふりをするところまでがセット。

A面彼女は彼氏の存在や自分の本心を知られたくないけど、一番知られたくない上司には実は知られている。

視点によるA面B面があるように、人の中にも表面と裏面があることを表現できたのかなと、今思い返して考えたりしています。

そして、3連休中に完成にたどり着けなくて公開を先送りにしたこの作品。当初は明日にでもというつもりだったのに、ここで大きな壁がありました。
会社員として平日の仕事を終えてからは、まるで執筆が進まなかったのです。
3連休中に公開したかったとの想いと焦りが心に燻り続けた一週間でした。

そしてB面公開

公開前にサトウカエデさんと入谷さんに試読してもらい、意見をもらい、タイトルは最後まで迷い、A面から1週間後にB面公開となりました。
同じ金曜日公開になったため #金曜ビター倶楽部 を付加できたのは良かったです。

早速、いろいろクズー!との感想いただきました。
ありがとうございます!

書きながら思ってたことを一番受け取ってくれたのが、A面サトウカエデさんでした。

”クズとロマンティックのせめぎ合い。”
言葉がステキで多分ずっと忘れない。

クズー!!

男性からのエモ感想、嬉しかった!w


これまで、コンテスト応募やお題があった作品もありましたが、基本的に自由に思うままに作品を書いてきたので、今回の経験はとても貴重でした。
何より多くの方に注目してもらえたことで、良い意味でのプレッシャーと達成感を得ることができました。

関係者の皆さま、いいねや感想いただいた皆さま、ありがとうございます。

またぜひ、機会がありましたらお声掛けください。

【追記】2019.11.20

応募した #教養のエチュード賞 20選にこの投稿が入りました!
16番目に紹介されています。

主催者の嶋津さんに読んでいただき、この投稿のための感想をいただけたことがとても嬉しいです。ありがとうございます。

結果発表を終えてから、内容を一部、加筆修正しました。
主に不足箇所の書き足しと誤記修正です。

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