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デジタル教科書の規制緩和に思うこと

政府のGIGAスクール構想推進に伴い、デジタル教科書の整備が進められている。※GIGAスクール構想については、また別の機会に。

デジタル教科書 規制緩和へ

多くの人は「規制緩和?」一体何の規制を緩和するのだろうか?と疑問を感じるのではないでしょうか。私もこれまで全く知りませんでしたが、学校教育法という法律の中で以下のような定めがあるようです。

学校教育法第34条第2項に規定する教材の使用について定める件(平成30年年文部科学省告示第237号)
1.教育の充実を図るため、紙の教科書に代えて学習者用デジタル教科書を使用する際の基準:① 紙の教科書と学習者用デジタル教科書を適切に組み合わせ、紙の教科書に代えて学習者用デジタル教科書を使用する授業は、各教科等の授業時数の2分の1に満たないこと。
※学習者用デジタル教科書の導入は段階的に進めるため、まずは、紙の教科書を主として用いる。

このように平成30年、だから2018年?今から2年前に告示として出せれていました。つまり、デジタル教科書の利用可能な範囲として全体授業時間の半分までしか、デジタル教科書を使用できないという定めとなっていたようです。段階的に進められるように、ということで半分までとなっているようですが、わざわざ規制をかけておくのが不思議です。恐らくこの類の規制緩和はこのように少しずつ、進めていく必要があるのでしょうね。
※全く話は関係ありませんが、早く全てを西暦にしてもらいたい。

とにかく、現在は全体の半分までという規制があるのですが、今後この規制も撤廃されていくということです。

また、この教育現場におけるICT活用って小学校がよく議論のやり玉に挙げられれていますが、学校教育法は小学校・中学校・高校もその対象になっています。最近の中学や高校はどうなっているのでしょうか。我が家はまだ小学生しかいないので、なかなか現状がキャッチアップできない状況です。さらに最近の大学の講義スタイル等も、どうなってきているのか気になるところです。

以下は「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の資料リンクです。

教科書デジタル化に思うこと

「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の資料中に、以下のような形でデジタル教科書のイメージ画像の添付がありました。

デジタル教科書

デジタル教科書の在り方として、『「紙の教科書とデジタル教科書の学習内容(コンテンツ)は同一であることが必要』と記載がありました。個人的にはここが最も気がかりでならない。※ここで言っている、コンテンツといっているのが学習内容そのものなのか?それとも紙の教科書をそのままデータ化して移行するのか?どうするのだろうか?

実はシステム屋としても、よくある失敗事例になりがちなのが、今のアナログ業務をそのままITシステムへ移行してしまうこと。つまりせっかくIT化しようとしているのに、IT化された形に適していない・即していないシステムができあがってしまうこと。結果これまでの業務と進め方が整理されずに、紙からPCへ引っ越しただけで、進めずらい業務はそのまま生かされてしまいがちです。

つまり今回の教科書デジタル化においても、デジタル教材となることで得られる新しい気づきは何なのか?デジタル授業全体をどうデザインして、最適化された教材とは?を教科ごとに、教育のプロとデジタルのプロがタッグを組んで進めることが重要だと思っています。※議事録を見る限り、文科省の所属ではありますが、テクノロジー識者が何名かいらっしゃるようです。

個人的にはもっと民間メンバーがいてもいいのでは?とも思っています。民間学習塾や通信教育など、学校に先んじてデジタル教材作りをやってきています。彼らの中に相当のノウハウがため込まれているはずです。アドバイザーのような形でも今後メンバリングされることを期待です。恐らく今後、具体的に教材化を進めるタイミングが出てくるので、そのタイミングでしょうか。

更に先生の現場負荷が上がるのではないか

基本的には教科書デジタル化においては、全面賛成の考えを持っていますが、一方で目を向けないとならないのが、先生の現場負荷だと思っています。

子供の授業参観でも何度か、電子黒板や一人一台のPCを使った授業を見たことがあります。補助の先生も一人いらっしゃいましたが、なんだか見てるこちらが手伝いたくなるようなてんやわんやの授業であったことを覚えています。ただでさえ、子供達への目配り気配りで重労働であるにもかかわらず、デジタルデバイスを駆使してさらに使い方の指導も子供達にするわけですから、かなりの負荷が追加されるのではないでしょうか。

ですが、負荷が軽くなることもあるとも思います。例えば教科書ですが、これまでは「何ページを開いてください。はい○○君、何ページですよ!○○さん、ノートじゃなくて教科書ですよ!」といった、永遠続くようなやりとりがあったかと思いますが、先生権限で児童生徒のデバイスを一括操作可能になります。強制的に児童生徒の見てる画面をボタン一つで切り替えられるので、かなり精神的負荷は軽くなるかもしれません。

良いこと悪いこと、色々出てくるかと思いますが、間違いなく先生のデジタルリテラシーの向上が求められてくるでしょう。使いこなせる先生とそうでない先生で、授業での取り入れ度合いが異なってきそうです。そういった意味でも新しいことを学習し、取り入れないとならないので負荷は間違いなく上がります。先生によるバラつきを無くすためにも、最低限授業時間の半分以上はデジタル教科書を使うこと、みたいな法令もできそうですね。

しかし、これは学校の先生だからというわけではなく、私のような民間のビジネスパーソンでも同じことが言えます。社会人になった後に、30年も40年も同じことをやっていれば良い、なんてことありませんからね。常に時代に即して、新しいことを取り入れていかなければなりません。

我が子が小学校にいるうちに、新しいデジタル授業を見てみたいな、と思っていますが残り5年、どこまで進化していくのか楽しみです。

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