見出し画像

時代を逆行するマイナンバーカードとマイナポイント事業

本日9月1日より始まった「マイナポイント」事業。

各種メディアでも伝えられている通り、出だしは低調のようだ。今回のキャンペーンは利用できる人数に上限があり、早い者勝ちでのポイントバックキャンペーンではあるものの、全体枠4,000万人に対して8月30日時点での申し込みは467万人と、一割程度にとどまっているようだ。

マイナポイントの簡単な解説と、題名にも書いた通り時代を逆行するマイナンバーカード、ということで個人的な見解も交えて解説したいと思います。

マイナポイントとは

いまさらですが簡単に。

「マイナポイント」とは、マイナンバーカード(個人番号カード)やキャッシュレス決済サービスの普及促進を目的とした政府によるポイントキャンペーンで、登録したキャッシュレス決済サービスを使って買い物をすると、なんと利用額の25%、上限5000円がポイント還元される。しかも、「マイナポイント」の利用には年齢制限がなく子供でも申し込み可能なので、例えば夫婦に子供2人の4人家族であれば、合計で2万円分ものポイントをもらうことができる非常にお得なキャンペーンとなっている。

上記の通り、マイナポイントキャンペーンには2つの目的があります。

①マイナンバーカードの普及
総務省の政策目標として、マイナンバーカードの保有を4,000枚まで引き上げることを掲げています。

令和元年9月時点では(マイナポイント事業発表)
  交付総枚数・・・約1,800万枚
  交付枚数率・・・14%

現時点(令和2年8月)では
  交付総件数・・・約2,300万枚
  交付枚数率・・・約18.2%

という中間結果となっています。少しずつ伸びていることは伸びているのですが、政府の発表している目標に程遠い現状が伺えます。一定の効果はあったとは言えるものの、マイナンバーカードを持つメリットがまだまだ弱く、普及には時間がかかりそうです。

また総務省のHPには年齢層別の交付件数と率も公表されていました。下のグラフは現時点でのデータではありますが、高齢者ほど保有率が高いことが分かります。

キャッシュレス決済の普及促進

マイナンバーとキャッシュレス決済サービスを紐づけて、キャッシュレス決済を利用することで、5000円分のポイントバックということで、非常にお得なキャンペーンであることが分かります。

今回は0歳からが対象となるので、子供のマイナンバーを親のキャッシュレス決済に紐づけることで、4人家族であれば総額20,000円分のポイントバックを受け取ることができます。

一つ疑問が沸き上がりましたが、QRコード決済系はすぐにチャージをアプリ上から確認できますが、ICカードやクレジットカードの場合にはどうやって確認するのでしょう?ちょっと調べておきます。

マイナンバーカードを持つそもそものメリットとは

そもそもの話、政府のマイナンバーカードを普及させたい思いはわかりますが、あまりもメリットが弱く、今回のようなマイナポイント事業は短絡的なのではないかな、と個人的には感じています。

マイナちゃん曰く

・身分証明書代わりになる。
・健康保険証の代わりとして使える
(2021年3月以降)
・コンビニで住民票写しや印鑑証明を発行できる
・行政手続きのオンライン申請等
・他、、、

個人事業主の方や、確定申告など個人でやるような方にはメリットありそうです。ただし、カードが無くてもできることなので、今よりもちょっと便利になる程度でしょうか。

健康保険証は少し気にはなりますが、2枚だったところが1枚になるだけなので、そこまで魅力的ではありませんね。行政側や病院側にはメリットがありそうです。

やはりこの手の話は、日本のようにある程度社会インフラが整っている国にとっては制度設計が難しいですね。

時代逆行ともいえるプラスチックICカード

次々とプラスチックカードを無くして、スマートデバイスのアプリへと民間事業者が移行しているさなか、目標4,000万枚ものプラスチックカードの配布。

これを時代逆行と言わず何と言うのでしょうか。

1人あたり平均20枚程度のカード(クレジット、会員カード等)を保有していると言われています。しかし、スマホアプリへの移行が進み、新規での発行枚数は年々減少していく傾向があります。そのさなか、国が新たにカードを配るのはどうなのかと私は思う。

これ以上お金以外で財布の中を膨らませてどうするのか

逆にカードをどうしても配る必要があるのであれば、最強の一枚となるカードを開発してもらいたい。

技術的な実現性は置いといて、カード一枚にすべての機能を集約し、財布に入れるカードは1枚にすっきりとまとめられるのであれば、一気に普及も広がるはず。(ICチップの容量があるので、現時点では難しい)

あるいは生体情報と個人情報の紐づけだ。以前、中国とヨーロッパ諸国とでは、個人情報の取り扱いに対してのスタンスがまるきり違うことをnoteでも触れた。

日本人は生体情報を個人情報に紐づけることに対しての抵抗感はどうなのだろうか。しかし生体情報(顔、指、静脈等)で、あらゆる決済やサービスを受けることができれば、最強のキャッシュレスだろう。スマホさえ持ち歩くことが不要になる。

最後に

生体情報の利用はかなりぶっ飛び過ぎているかもしれないが、政策を提言してから世にでるまで何年というタイムスパンがある。

そのタイムスパンを現時点での価値観で判断せず、未来的な価値観の創造の中で、何事も創っていってもらいたいし、自分自身もそうあるべきだと思う。

ポスト安倍政権に期待してみるとしよう。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?