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○○Payはお金じゃない

雨後の筍のごとく、次々と○○Payと呼ばれるQRコード決済サービスが生まれ、現在日本にはキャリア系や銀行系など合わせて約30前後の決済サービスが存在している。

本場(?)中国では、AlipayとWechatPayの2つがシェアを分けている状況にある。近い将来日本も2~3の○○Payに集約されていくことが予想されている。既に老舗○○Payであった、OrigamiPayもメルカリ傘下のメルペイに事業買収されている。やはり独立系Pay業者は資金力の規模で大手には敵わず、淘汰が今後益々進むと思われます。

個人的な予想だと、シェアNo1かつSoftbank系列であるPayPayと、SNSシェアNo1であるLINE PAY、さらにキャリア系2社であるd払いとauPay、楽天経済圏を抱える楽天Payの5社を中心に再編が進み、日本のスタンダードQRペイメントになるのではないかと考えています。

あるいは、統廃合が進められずに○○Payが衰退し、既に普及が進んでいるSuicaやPASMOをはじめとするICカード決済やクレジットカードが今後も日本のキャッシュレス決済のスタンダードの座を維持していく可能性も否めません。

JPQRの不発感も否めないし、ドコモ口座事件をかわぎりにキャッシュレス全体への不安感も漂い、日本のキャッシュレスは前途多難の状況にあると言えます。

▼JPQR、ドコモ口座事前、QRコード決済の仕組みのnoteについてはこちら▼

JPQRで我々のスマホ決済ライフはどう変わるのか?

[ドコモ口座]事件のポイント整理

[図解]QRコード決済と全銀とCAFIS

前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、QRコード決済利用時において、お金を決済アプリの中にチャージする、という操作があると思います。実は実際にお金そのものがアプリに入金されているわけではないのです。今日はその点について、簡単に解説いたします。

○○Payはお金じゃない?

まずQRコード決済アプリにおいて、支払い方法として大きく3つの方法があります。

①クレジットカード連携
②銀行口座からのチャージ
③ポイント等、他アプリからのチャージ(楽天、メルペイ等)

今回は②に着目していきます。

以前にもnoteの記事として書いた、[図解]QRコード決済と全銀とCAFISで使った図を再掲します。

上記のように、ユーザがアプリ内で銀行からのチャージを行うと、NTTデータ社のCAFISと呼ばれるシステムを介して、紐づけをしてある銀行口座へ指定金額の引き出し電文が飛びます。

銀行口座からは、QRコード決済事業の口座へお金は振り込まれ、振り込まれた金額のデータがユーザのアプリ上に○○円と表示がされているだけに過ぎません。

これは「口座型」といって、ユーザが店舗で決済処理を行った時には、お金の価値が移動しているわけではなく、「支払いましたよ」という電文のやり取りが行われているだけでなのです。つまり実際にお金の移動が行われているのは、上図の「③口座振替」の時だけとなります。

このように、電文だけのやり取りが中心に行われており、実際にお金が移動しているわけなのではありません。つまり、我々のスマホにある○○Payアプリ上に表示されている○○円はお金ではなく、決済事業者が発行しているポイントシステムであると言えます。

お金ではないのですが、決済事業者・ユーザ・店舗(事業者)間で形成されえている経済圏において、その価値を認め合っているため、まるでお金のような振る舞いを認めていることになります。

これは、中国のAlipayやWechatPayでも同様で、一時期中国でも民間事業者が勝手にやっているポイントシステムだ、と騒がれていたようです。(私の駐在先の現地職員に聞いた話なので、定かではないのですが・・・)

また○○Payに限らず、SuicaやPASMO、EdyといったICカード決済サービスも同様となります。

デジタル人民元は通貨としての価値があるのか?

話題のデジタル通貨である、中国デジタル人民元やスウェーデンeクローナは通貨として価値があるのかどうか?

こちらは通貨としての価値があります。

①トークン型と呼ばれるシステムの採用により、データそのものに現金と同様の価値があります。
②CBDC(中央銀行デジタル通貨)であるため。

つまり、その国の中央銀行が紙幣と同じ価値を持つデジタル通貨を中央銀行の債務として発行されるため、デジタル通貨は従来通りの価値を発揮されることになります。日本であれば、日本銀行がその発行の役割を担うこととなります。

既に中国では一部都市で試験運用が開始されており、2022年の北京冬季オリンピックまでに普及を進めたいようだ。また、既に普及が進んでいるAlipayやWechatPayとの共存をどのように推し進めるのか?にも注目が集まっています。

また、Facebookが進めているリブラと呼ばれるデジタル通貨もありますが、アメリカの中央銀行が発行するものではなく、リブラ協会と呼ばれるFacebookを中心にした団体がリブラ交換所となり、ドル・ユーロ・円などを基軸通貨として、リブラコインとの交換を行うことを予定されています。

※このリブラに関しては、性質が全く異なるので、また別の機会にnoteで記事にしていきます。

結び

このように日本は中国はじめとする諸外国と比べると、周回遅れのポジションにあるということがわかります。

QRコード決済をはじめとするキャッシュレスサービスの普及も重要ではありますが、そのさらに先をいくデジタル通貨の検討も合わせて進めていく必要があると考えます。

以上


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