[メキシコ] 2020年 商標法改正(1)

2020年7月1日付で、メキシコ産業財産法の改正が官報に公示されました。改正法は、2020年11月5日に発効しました。

商標権の存続期間

商標権の存続期間は「出願日」から10年でした。

2020年11月5日以降に登録された商標権の存続期間は、「登録日」から10年となります。

審査手続と異議申立

改正前は、方式審査の終了後、出願公告及び異議申立期間を経て、実体審査を開始する方式を取っていました。
改正後は、出願された商標は直ちに公告されます。異議申立期間(公告日から1か月)の終了後、方式審査と実体審査が同時に行われます。
拒絶理由通知には、方式審査に関する内容、実体審査に関する内容、異議申立があった場合には、異議申立の内容が記載されます。今回の改正により、拒絶理由通知の送達回数が減少することが期待できます。
さらに今回の改正において、異議申立に対する答弁書の提出期間が、従来の1か月から、官報による通知の日から4か月となりました。

使用宣言書

2018年の法改正では、使用宣言書の提出義務が導入されました。メキシコで登録された商標権については、登録日から3年目に達した日から3か月以内と、更新登録時に、使用宣言書の提出が要求されます。国際登録(マドプロ)についても、メキシコ国内の保護確定日から3年目に達した日から3か月以内と、国際事務局による国際登録の更新の通知日から3カ月以内に、使用宣言書の提出が必要となります。
今回の2020年改正では、2018年8月10日よりも前に登録された商標については、登録日から3年目の使用宣言書の提出が不要であることが明確になりました。
使用宣言書の提出を怠った場合、商標権は失効します。また、使用宣言書を提出した場合であっても、使用宣言書に記載されていない商品・役務は、登録から取り消されます。
使用宣言書には、メキシコで使用している商品・役務を記載する必要がありますが、使用証拠の提出は要求されません。

商標の無効

改正において、商標権の部分無効制度が導入されました。
また、異議申立が棄却され、商標が登録された場合において、当該異議申立人が商標登録に対する無効の請求をする場合には、新たな理由及び証拠を提出しなければなりません。
また、下記の無効理由が追加されました。
・メキシコにおける使用開始日の宣言に信ぴょう性が無い場合。尚、使用開始日の証明責任は被告側(商標権者)となります。
 ・商標に悪意があり、または現行の法律に違反する場合。

不使用取消

法改正により、不使用の指定商品および役務のみに対する不使用取消の請求が可能となります(部分取消制度の導入)。

ライセンスの登録

ライセンスを第三者に対抗させるにあたり、ライセンス契約の登録は必須要件ではなくなりました。


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