インド 著名商標の申請制度(1)

2017年3月、インド商標局は著名商標の申請制度を開始しました。インドで著名と認められる商標の権利者は、インド商標局に対し、当該商標を著名商標として認定し、著名商標一覧に掲載するよう、申請することが可能となりました。
一般公衆に広く知られた商標は、異議申立、差止請求訴訟、パッシングオフに基づく訴訟手続において、著名商標と認定されることがあります。しかし、訴訟手続中における商標の著名性の立証は、企業にとって負担が大きく、審理遅延に繋がる恐れがあります。申請制度の導入によって、異議申立や訴訟手続を経ることなく、著名商標として認定を受けることが可能となります。

著名商標一覧に掲載された商標

これまで、90件の商標が著名であると認定されています(2019年9月時点)。そのうち、6件が申請制度を通じて著名と認定されました。
メーカー系企業では、「Philips」、「GE」などが、著名商標の認定を受けています。

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(Punjab & Haryana High Court)
AIR 1983 P&H 418

著名申請の対象となる商標は、文字商標に限定されず、下記のような図形商標も対象となります。

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(High Court of Deihi, CS(OS) 1284/2006) Decision Date: 21.12. 2011

日本(日系)企業では、これまで7社が著名商標の認定を受けております。そのうち、「MARUTI(Maruti Suzuki India Ltd. )」以外の6社は、申請制度の導入前に(つまり権利者が申請することなく)著名商標と認定されました 。

著名商標の使用期間、範囲

著名商標として申請を行う商標は、インド全域で著名となっている必要は無く、一地域で名声を得ている場合でも対象となります。また、商標の使用期間が短くても、インド国内の広い地理的範囲で著名性を獲得していれば、著名商標一覧への掲載が認められる可能性があります。


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