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なぜ、「イチロー」にはなれないのか。

数年前、アフィリエイトを収入の柱にして生活をしていたことがあった。

その頃は、とにかく「一発当てたい」という気持ちが強く、これまで生きてきた中でもっとも前のめりだったと思う。少しでもアフィリエイト収入につながりそうだと思えば、情報商材を購入し、セミナーに参加した。

当時はなにせお金がなかったので、数十万円するいわゆる高額商材の部類には手を出すことはなかったが、1、2万円規模のやつは何度も購入した。

結果、一発当てることはできなかったし、そこまで自分が成長したという実感も湧かなかった。アフィリエイトにかける時間が長かったので、多少伸びたかもしれないが、それでも人並みをはずれることはなかった。まあ、せいぜいアフィリエイトに詳しいお兄さんくらいだろう。

情報商材やセミナーで講師が言っていることをその通りやっているつもりなのだが、なぜかうまくいかない。その頃はそれが、不思議で不思議でしかたなかった。なぜうまくいかなかったのか。最近、そのカラクリが少しわかってきたので、記録しておく。

野球のルールを知らなくても知っているだろう、代表選手のひとりに「イチロー」がいる。引退前の数年こそ違うが、日本プロ野球のオリックス時代、そして世界最多安打を記録したマリナーズ時代は、大きく足をあげる「振り子打法」がイチローの代名詞だった。

世界で、もっともヒットを打てる打法のひとつが、「振り子打法」であることは事実である。ところが、それを真似するプロ野球選手あるいは、メジャーリガーを知っているだろうか。ぼくは知らない。活躍している選手の中に誰ひとりとして、イチローのような「振り子打法」を使っていないのだ。

イチローという大成功事例が目の前にあるにも関わらず、それを実践していない事実がある。この事実は、たくさんの情報商材やセミナーに参加した結果、成果を出すことができなかったヒントになる。と、ぼくに確信させた。

仮説はこうだ。

イチローは振り子打法がしたくて振り子打法になったわけではない。試行錯誤した結果、それが最適解だとその時点で思ったから、そうしていたのだ。つまり、イチローが振り子打法に辿り着くまでに、膨大なチャレンジと失敗があった。自分の身体的特徴や筋肉量、柔軟性やどんな野球人になりたいか。すべてを総動員した結果、たどり着いたのがたまたま振り子打法だっただけだ。

実際、イチローはメジャーリーグに行ってからも、毎年バッティングフォームを微調整している。引退直前の数年間、大きく足を振り上げなくなったのも、いまの自分には「合っていない」と感じたからだろう。だから、イチローにとって振り子打法はあくまで結果を出すための手段だったのだ。

ヒットを打つという結果に対して、膨大なプロセスと理論があるわけだ。だからイチローだけは、振り子打法じゃないといけない理由、そして振り子打法をやめた理由をいくらでも語れるはずだ。

そんな苦労を知らない人が、見た目のカッコ良さと表面的な結果だけを求めて、振り子打法を真似たところで成功できるわけがない。もっと言うと、奇跡的にイチロー本人から、振り子打法にいきついたプロセスと理論を教えてもらうことができたとして、どれくらいの人間が理解できるだろうか。理解できたとして、どのくらいの人間が実践レベルまで昇華できるだろうか。プロ野球選手でもほんの一握りいるかいないかだろう。いや、もしかしたら日本にはいないかもしれない。

ぼくのアフィリエイトでの失敗も、このイチローと振り子打法を例に置き換えると非常に納得のいくものがある。

当時のぼくは、イチローの振り子打法から生まれる鮮やかなヒットを見るような目で、情報商材やセミナー講師の話を聞いていた。1本のヒットにたどり着くまで、どれほどの試行錯誤があったかも知らずに。情報商材やセミナー提供者が出した結果に一喜一憂し、プロセスや理論について深く考察することはなかった。「ただ同じようにすればいいのだ」と思っていた。

いまもいちから技術やスキルを身につけたいと思うことがある。最近ではコーチングがそうだ。人から勉強した方が早そうだと思ったら、お金を払う癖は数年前と変わっていない。実際コーチングを勉強したいと思ったタイミングで、月3万円でメンターコーチについてもらったし。あのときもノールックでポチったな。しかし、あの頃と違うのは、ただ知識を学ぶだけでなく、どういう背景でそうなっているのか、実際にそれをやってみるとどうなるのか、ダメだったら次はどうすればうまくいくのか。うまくいったらなぜうまくいったのか。を何度も試行錯誤している。常に考えている。表面的に理解するだけでは、うまくいかないことを学んだので、自分が本質を理解するまで続ける。そうすることで学びに深みができるし、なにより面白い。

こうやって考えると、数年前に使ったお金は無駄ではなかったのかもしれない。

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