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法律家業界の話4 弁護士の売り物の話

こんにちは。まったん弁と申します。

このnoteでは,私の弁護士経験から,法律家の業界について業界外の人々に向けて,お役に立てる情報を発信しております。

これまで弁護士・裁判とかかわったことがないよ,という一般の方々,個人事業の方,中小企業の担当者などを想定しておりますので,法律のややこしい部分はあまり拘らず,ざっくばらんに,かつ,短い時間で気軽に読むことができるnoteにしております。

今回は,「弁護士の売り物の話」というテーマです。

通訳っぽいところ

社会には実体の在る有体物と,実体のない無体物がありますよね。弁護士が売っているのは「法律知識」,「訴訟技術」などの無体物です。法律は厳格な適用が求められる性質のルールですので,極めて厳格な言語で構成されており,日常会話とは全く違う趣があります。独特の言い回しも多く外国語のようなものです。ですから,その通訳が必要なんですよね。

条文はもちろん日本語で書かれていますから誰でも時間を掛ければ読むことはできますが,非常に労力がかかるうえ正しいかどうか分かりません。外国語の映画を見るのに,いちいち辞書を引いていたら楽しめませんよね。なので,手数料をもらって我々が「法律用語を日本語に☞翻訳」して,お伝えしているんですね。

医者っぽいところ

病気やけがをしても,人間には自然治癒力がありますから放っておいても,大抵は治りますけど,その間仕事もできないし,なにより辛いですよね。普通,おなかが痛くなれば内科に行くし,怪我をすれば外科に行きますよね。

人間関係のトラブルは,人間が単独生物ではなく,社会的生物である以上,避けることのできない宿命です。慎重に生きていても,トラブルの方からぶつかってくることもあります。自分のトラブルですから,自分で解決することもできるでしょうけど,時間はかかるし,いろいろ不安ですよね。また,トラブルの解決なんて人生で何回も関わらないですから,ノウハウも(普通の人は)ありません。

なので,弁護士がお金を頂いて,「社会的病理であるトラブル」を「解決ノウハウ」に基づいて,「できるだけ依頼者の利益になり,かつ,合法的」に解決するわけですね。

保険屋っぽいところ

車を運転される方は自動車保険に加入していますよね。事故がなければ必要ないものですけど,もし事故があった場合に,事故対応や損害賠償の支払い代行をしてくれます。

人生は長いドライブのようなものです。どこへ続くか分からない道を,正しいかどうか怪しい地図を片手に,みんな彷徨い運転するわけですから,途中でつまずくことだってありますよね。そういうときに,一緒に地図を見直して,正しい道を探して,人生の軌道を正しい方向へ導くようにトラブルを解決してくれたりするのが,弁護士ですね。

弁護士は,保険屋みたいにお金を直接工面はしてくれませんけど,支払った保険金分の仕事はしてくれるんですね。

料理人っぽいところ

日本人は訴訟嫌いと言われますが,訴訟と関わる機会がないから,どういうものか分からず,とにかく避ける傾向があるのかもしれません。アメリカみたいに法廷がテレビで流されることもありませんから,何をやるのかよく分かりませんよね。ドラマはフィクションですしね。

日本では「本人訴訟」,つまり弁護士を立てずに自分で法廷へ行って訴訟をすることが認められています。なので,自分でやってもいいわけですね。お金の節約になります。

もっとも,本人訴訟は,レストランに入ってきたお客さんである裁判官に,じゃがいもとかニンジンとかを食材のまま,どうぞお食べ下さいと差し出すようなものです。その裁判官が,ちょうど「生でじゃがいもとニンジンが食べたいな」と思ってくれていればそれでいいですけど,そうでないことも往々にしてありますよ。

おいしく食べてもらうには調理が必要ですよね。弁護士は日々裁判所で仕事をしていますし,裁判所独特の訴訟ルールを熟知していますから,裁判官が「好む料理」が何なのか分かっています。ですから,本人から聴取した「生の事実」をうまいこと「法律」で調理して,おいしそうな「書面」を作って,裁判官に読んでもらうわけですね。


というわけで,

弁護士の売り物=(通訳+医者+保険屋+料理人)÷4×法律

といったところでしょうか。まあ,まったん弁がちょっと思いついただけのたとえ話ですけどね笑

また新しいテーマで投稿しますので,もしご興味がある方はフォローなどしていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします。

まったん弁

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