ラブリラン4・5話:「中身中2の大人女子」の正しいオトし方

「あの人かなりやり手よ」(3話)
いやー、町田に対する瑞希の評価に頷くばかりの4・5話であった。
あ、仕事の話じゃなくてさやかの口説き方についてなんですけどね。
この人、相当戦略を練ってるんじゃないかと思われる。
順を追って町田のアプローチを見ていこう。

(1)まずは亮ちゃんに告白させて、さやかの不毛な片想いを終了させる
 ↓
(2)さやかの見た目を変える
 ↓
(3)「だって俺は…素敵だと思ってますから、今の南さん」とジャブを打つ
 ↓
(4)バレンタインに突然キスして告白

まずは15年の片想いにピリオドを打つところから始めねばなるまい。
亮ちゃんに告白したところで、99.99999...%、答えはNOだから心配無用。
でもね、(1)告白させる、と(2)見た目を変える、の順序にしているところがあざとい気がするぞ、町田(笑)
まぁ、亮ちゃんがさやかを女として見ちゃうっていうリスクはできるだけ排除しておきたいもんね。ややセコイけど許す。

さぁ、ライバルを消したら、次は自分をどうやって異性として意識させるかだ。
さやかはこれまで誰かに想いを寄せられた経験がないわけで。
ごく普通の恋愛経験を持つ人ならピンと来るような、例えばデートに誘われるとか、そういうことでは好意を寄せられているということに気付かない確率が高い。
もしもその可能性に思い至ったとしても「まさかね」で片付けがち。
だから、とりあえず(3)「だって俺は…素敵だと思ってますから、今の南さん」で自分はリング上にいるぞ、と匂わせつつ、バレンタインの告白でトドメを刺すわけだ。

ここで改めて4話、告白シーンを振り返ってみよう。
さやかは町田にしごかれてパッケージのデザインを完成させ、やっと店頭に並んだチョコレートを町田に渡そうとする。あくまで感謝の気持ちだと強調するのだが
「感謝の気持ちだけ?」
「バレンタインのチョコなんだろ」
と畳みかける町田。そして否定するさやかに突然キス。
「だって、(パッケージに“Kiss ME“って)書いてあるし」
びっくり顔のさやかに全く悪びれない上に
「こんな直球メッセージ、よく恥ずかしげもなく思いつくよな」
と、デザインにちょっとしたディスリまで入れておいて…からの告白。
「じゃあ、こっちも直球で。俺、南さんのこと、好きです」

…なかなか強気だよねぇ。

バレンタイン時点でさやかに最も近い存在の異性は町田に違いない(チョコを渡されるくらいだし)が、恋愛対象として見られているかはちと微妙。
なら力技でいきなりキスして、否が応でも異性として意識させてしまう。
奇襲ですよ。キスだけに(言いたいだけ)
直球の告白は、さやかが自分に寄せられる好意に無自覚な「処女」であることを考慮したからに違いない。

だが、さやかからはすぐに返事は得られない。
この点についてはおそらく町田にとっては織り込み済みで、ゆえに5話で冷静にさやかをデートに誘う。

「俺が南さんを好きになった理由?前も言いましたけど、変わりたいと思ったあなたを見て好きになったんです」
さやかに、そんなの意味わかんない、と言われても
「これだから処女は」と塩対応。
「じゃあ、今度デートでも行きます?いきなりキスされたから信じられないって言うなら一日一緒にゆっくり過ごしてみて、俺のこと審査すればいいじゃないですか」

…審査とな!

つまり、町田は一日一緒にいたら自分が彼氏にふさわしいと思わせる自信がある、ということだ。
怖い…怖いよ、陰謀策略家町田!
町田は、自分の行動に対するさやかの反応をシミュレーション済みなはずで、その想定の範囲内に収まっている限りはクールに振る舞うことができる。

その町田が崩される瞬間がある。

「審査すればいいじゃないですか」を受けて、慌てて町田の方に振り返るさやか。
思いがけず距離が近いさやかに
「急に振り向かないでください」
と、目線を反らして戸惑う町田。

さやかの彼氏ポジションを手に入れるために、ガッチガチに理論武装して挑んでいるはずなのに。だからこそ、予想外のちょっとした出来事にうろたえる町田の可愛さよ!そしてそこから漏れ出る、恋する気持ちよ。
その様子を見て、さやかはこう答える。
「デート、いこうかな」
結局、さやかにそう言わしめたのは素の町田だったっていうのが、人を好きになるのは理屈じゃない、ってことなんだな。

6話、デートを経ても返事がもらえず自信喪失…という計算外の展開も、町田の迷いや弱さが見えて、それがさやかへの想いの真剣さを感じさせ、彼の魅力をより一層引き立てるのだ。

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