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配膳ロボットが飲食業界のスタンダードになりきれていない理由とは

「配膳ロボットって、実は以前に検討したことがあるんですけれど、思うように効果が出なくて、導入を見送った経緯があるんですよね。」

最近、飲食店のお客様へご提案をさせて頂く際に、こうした言葉を耳にする機会が増えてきました。

これにはいくつかの理由があると考えられますが、まず前提として、それだけ外食産業において、配膳ロボットが受け入れられつつある点は、配膳ロボットを展開する私たちにとって、とても嬉しいことだと感じています。

一方で、検討にはあがるものの、未だ配膳ロボットが業界のスタンダードになりきれない理由について、今回は考察を進めていきたいと思います。

コロナ、人手不足、人件費の高騰…

まず初めに配膳ロボットが飲食事業者の皆様へ急速に受け入れられた理由について考察を進めていきます。理由は大きく以下の3つが挙げられるのではないでしょうか。

①新型コロナウイルスの流行
②慢性的な人手不足
③毎年のように上がり続ける人件費

①新型コロナウイルスの流行

全世界で1億人以上が感染した、新型コロナウイルス感染症。この世界的な大流行は人々の健康だけでなく、生活面や経済面にも大きな影響を与えました。マスク着用の生活がスタンダードとなり、適度な距離を保つ"ソーシャルディスタンス"が意識されるようになりました。

こうした流れの中で「おもてなし」の定義も少しずつ変化していきました。従来のような、丁寧な接客やコミュニケーションが必ずしもお客様にとって最良とは限らなくなり、むしろロボットによる非接触・非対面のサービス提供がお客様の安心感へと繋がるようになりました。

実際に今では飲食店でしばしば見かける配膳ロボットたちも、その殆どがコロナ流行以降に導入されたものばかり。新型コロナウイルス感染症の流行は、配膳ロボットの浸透において最も大きな要因の1つでしょう。

②慢性的な人手不足

少子高齢化社会の日本において、生産年齢人口の減少は社会課題の1つです。特に飲食業界においては、アルバイトやパートなどの非正規雇用の割合が高く、スタッフの定着率という観点からも、慢性的な人手不足に陥りやすいといった特徴があります。

加えて、新型コロナウイルスの影響が重なり、対面での接触機会が多く、時短要請などで勤務時間が不安定な飲食業界は、アルバイト採用がさらに難しくなり、人手不足がより顕著なものとなりました。

このような「猫の手も借りたい」ならぬ「ロボットの手も借りたい」という状況も配膳ロボットが急速に受け入れられた要因の1つではないかと考えられます。配膳ロボットであれば、急な欠勤の心配もなく、充電さえしておけば24時間365日稼働。採用や教育にかかるコストも不要で、常に一定のパフォーマンスを発揮するため、不足する人手を補完する存在として注目されたのは間違いないでしょう。

③毎年のように上がり続ける人件費

コスト面も配膳ロボットが注目される要因の1つです。ここ10年、ほぼ毎年のように最低賃金が上がり続けており、この現象自体は決して悪いことではありませんが、店舗運営側の観点から鑑みると、人件費の最適化は避けては通れない課題の1つです。

一方で、ロボット側で考えてみると、ここ10年、めざましい技術革新が進んでいるのも事実です。高性能のロボットが大量生産できるようになり、ある程度、安価な価格で導入ができるようになりました。

実際に当社のLanky Porterの場合、ご契約形態によって多少前後しますが、時給換算およそ200円程度での運用が可能です。これらのコスト面の要因も配膳ロボットが注目された理由の1つなのではないでしょうか。

それでも配膳ロボットが業界のスタンダードになりきらない理由

これまでに前述した通りで、配膳ロボットが外食業界において受け入れられるための土壌は、既にかなり整いつつあります。では、なぜ検討からさらに先、各飲食店での本格導入(=業界のスタンダード)まで一気に進まないのでしょうか。その理由を続いて考察してまいります。

①ロボットの動作を考慮した店舗設計がされていない

まず1つ目の理由が店舗の設計上の問題です。当然ですが、店舗設計の時点でロボットの動作までを考慮して作られている店舗は殆どなく、通路幅や段差、テーブルの配置や座敷席の有無、キッチン内の環境などによっては、ロボットの動作に適さない店舗も多く見受けられます。

こうした店舗では、ロボットの機能が100%発揮できず、想定していたほどの成果が出なかった…なんてケースも考えられるでしょう。効果検証を行う前に、配膳ロボット導入による狙いと、それを実現するための運用方法、さらには導入店舗をきちんと整理する必要があります。

②ロボット事業者側が運用方法までご提案できていない

ロボット事業者が店舗のオペレーションを正確に把握し、最適な運用方法のご提案まで行えていないことも、配膳ロボットが定着しきらない理由の1つです。要は、ロボットの機能や使い方など、ロボット視点での提案はするけれど、それらを使ってどのように店舗オペレーションを回すのか、という点まで提案できていないということです。

各飲食ブランドごとに店舗設計やオペレーション、メニューなどは異なる中で、人よりもできることの幅が狭いロボットを効果的に活用するためには、それぞれのお店に即した運用を行う必要があります。実際のところ、ロボット事業者がここまで突き詰められているケースはまだ多くなく、各事業者様に向き合ってご提案をしなければ、配膳ロボットは一過性のブームとなってしまうでしょう。

ロボットの機能から、店舗での運用まで私たちにご相談ください!

私たちキングソフト株式会社AI・ロボット推進チームでは、ロボット側の観点からだけでなく、各事業者様のオペレーションや店舗設計を把握した上で、最適な運用を実現するための総合的なご提案をさせて頂いております。

「配膳ロボットって興味があるけれど、ちゃんと使えるか不安」、「他社のロボットでいまいち効果が出なかった」などと考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください!ご連絡お待ちしております!


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