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TeXi’s『水に満ちたサバクでトンネルをつくる』の感想

TeXi’s
『水に満ちたサバクでトンネルをつくる』

脚本・演出 テヅカアヤノ

出演
テヅカアヤノ(TeXi’s)、桝田彩水、樋口舞、古川路(TeXi’s)、瓜生田凌矢、小又旭(アーバン野蛮人)
会場:BUoY

あらすじ
 保育園か幼稚園か。何処かで子供たちが先生と一緒に遊んでいる。そこに、新しい子供がやってくるがその子は他の子と喧嘩をしたりする。やがて、友達との日常やその子の家族関係が断片として浮かび上がってくる。


 話の断片と断片が子供のごっこ遊びの延長線上で描かれる。その為役者の役柄のスイッチが早くて、役柄や時間や場所がすぐ変わるので困惑する部分はある。ただ、全くわからなくなることはない。
 一人の少女の記憶の断片、友達とは喧嘩するし母親とも仲良しではない。犬(だよね?)はどこかに行ってしまった。彼女のどういう話を描いているのか、観客は考える。
 タイトルもそうなのだが、水が話のあちこちで登場する。
真っ暗闇になる空間。
突如何かから身を守る動きをする友達。
何かから逃げる人々。
 単独だと今一つ意味のわからないものが断片が積み重なり、そうか!これは

以下、ネタバレ



これは、3.11を描いていたのか!
 まぁ、セリフとして言っていないので間違ってるかもしれないが私はそう読み解いた。
 これは記憶の断片であり、記憶の持ち主である少女を除く記憶の中の登場人物達は実体の持たない亡霊。
別れを描いた作品なのか。(これで、違ってたら恥ずかしい)
  

役者はもちろん空間演出も次々と繰り出す。特に、ゴムで四角形を作り家を表現するも手を離したらすぐ消えてしまう。流石。
舞台装置も多いし、電飾でカラフルにもしている。
しかし、ポジティブな匂いは一切せず。電飾の煌びやかさが空虚に光る。
前作の『G+(CHON)=』もクリスマス公演らしいポップな空間の中で、重苦しい神の不在の物語を上演した。そこでも、空虚に電飾が光っていた。
この空虚な煌びやかさは個性だ。

 ただ、今回は面白いけど、もっともっと面白いの作れるの劇団なのになぁという感じ。
まず、BUoYという広大な空間に飲まれていたように感じる。
この空間を埋めるためにあちこちに舞台装置を置き、走り回り、いろんな場所で芝居を展開した。が、それをしてもまだあの空間は広すぎた。

 そして、錯綜する話に手数の多い演出を合わせた結果少々わかりづらくなっているようにも感じた。バランスに欠けていたかなとも思う。
ただ、それも含めてこれがもうちょっと狭い空間だったらまた印象が変わったかなと。
基本的に、テヅカさんは才能ある方なので。その方でもBoUYって使いこなせないくらい難しい空間なのだなぁと。

と、いえどもだ。あのBUoYの地下空間が作り出す闇を上手く取り入れていたので旗揚げ2年目でこのレベルは恐ろしいわ。

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