私という名の人生

どうして今まで気付かなかったのだろうか。
否、気付いていたが、気付いていないと自分に言い聞かせていたのかもしれない。
綿毛も飛ばないような僅かな吐息でも宙に舞って仕舞いそうな、余りにも小さ過ぎる少年故の期待の為に。

時が経つと共に、その儚さを私は忘れてしまっていた。あたかも、初めから太い年輪を誇る大樹であったかのように錯覚を起こしていた。私はやはり弱い人間だったのだろう。
しかし、先程その期待はいとも簡単にへし折られた。私は思い出した。期待する事自体がそもそもの間違いであったのだと。この過ちを二度と繰り返してはならない。そう私はこの弱い心に誓った。

今はその時では無い。この誓いは隠し通すべきである。涼を求め彷徨う野良猫だとしても、それは悟られてはならない。
しかしその時が来た日、私は全てを棄てるだろう。

これは私の人生の小さく太い使命である。

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