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tokyo_ueno
2021年5月20日 09:25
さまざまな家族のあり方をはじめ、個人の倫理観や生活の価値観が、国家によって規定されてしまって、その規定のされ方も、偏った理由であるけれども、国家にとってかなり逼迫性を伴っていることでもあるので、多くの人々がそのことに異を唱える事ができないという社会。こうした中での、市井の人々の姿が描かれている。 また、このようなある意味理不尽な制度であっても、なおそれらを積極的に活用したり、それに乗っかる形
2020年8月25日 23:03
大阪で生まれたものの、ルーツは済州島あった。しかしほんの少し済州島にしかいることができなかった。そして渡日後、入れ替わるように四・三事件が起きた。以降金石範は事件にたいして、単なる糾弾だけでなく、贖罪の気持ちもあり、「鴉の死」「火山島」など、この事件をモチーフにした作品を書き続けてきた。 事件は時代とともに風化したり、逆にそこにいた人々とは違った意味合いが、歴史として残ってしまうことにある。
2020年7月16日 21:01
昨日第163回芥川龍之介賞が発表されました。まだ選考委員の選評や受賞者のコメントをあえて読んでいないのですが、今回は受賞作が決まったことを受けての所感を書かせてください。(文藝春秋誌上などで選評を読んでから、またあらためて考察したいと思っています)ノミネート5作品をは、どれもが素晴らしいと思いました。どの作品も本当に個性があって素敵だと思いました。すべて作品の主人公に、思い入れが
2020年7月12日 23:52
2020年上半期同人雑誌優秀作 罪について考えるときに、いろいろなアプローチがあると思うが、次のような考え方もひとつある思う。 生まれながらの悪人はいないだろう。生まれたばかりの赤ちゃんを見たときに、たとえその子の親が極悪人であったとしても、その子が必ず悪人になるだろうとは考えられないだろう。しかしそうした赤ちゃんたちが成長する過程で、悪人になっていき、その行為を判断するときに重要なものさし
2020年7月10日 19:21
この作品は時系列が錯綜しているが、この錯綜が千夏の心理状態そのものを示しているのでこれは必要な構成なのだろう。 千夏と母の友人芽衣子がブラジルを訪ねるところが主系列だが、かなり多くの頻度で弟の大輝と母恭子の臨終のところを中心に過去に立ち戻る。これらを繰り返しながら、千夏と芽衣子の過去に対する態度の違いが次第に鮮明になりつつ最後を迎える。 父親の不在が共通項でありながら、それに基づく過去の災難
2020年7月10日 00:44
正直主人公、陽介の性欲に関する記述が多くて、最初はどうも違和感が先行してしまって、だいぶ戸惑ってしまった。 さてこの小説を通読すれば、主人公の自信過剰なところが崩れ去っていく作品なのはすぐに気づくけれども、最後の方の唐突な感じがする、灯の告白からの急展開も、読み返してみれば十分最初から練り上げられているつ痛感した。 陽介がなんとなく下に見ていた友人の膝との対比でを通じて明らかになるのは、陽介
2020年7月9日 13:46
まず読み始めてから、いったい主人公「ミッカー」は何歳の時点からこの物語を振り返っているのだろうかと、ずっと頭から離れなかった。(それは最後、本当に一番最後に明らかになる)とうのもこの「突き指もしたことがない」主人公の救いようのない自己中心的な共感性のなさのようなものを、いつの時点で振り返り反省するのだろうかと思って読みすすめていたからだ。ところが途中でアキちゃんの名前と秘密がはっきりして、
2020年7月9日 13:03
昔バイトしてた、飯田橋にある名画座でのもうすっかり終わってしまった苦い思い出が記憶の中に風化しそうになっていた思い出が多くが謎のまま取り残されていた。しかしふとした偶然の重なりがあって、しかもそこには曖昧にしてはならない何かがあるはずだという直感にしたがって走り出す。まるで本格的なミステリー小説ように断片を集めてながらの謎解きがはじまってもう読むことが止まらなくなる。や
2020年7月9日 12:36
この小説は果たして主人公の未名子について、徹底的にエゴイストであることを描いくことが目的なのだろうかと一読して思ってしまった。 美名子は自分は誰にも迷惑をかけずに好きなことをしているだけなのに、そのことを悪く言う人がいるのは許せないという思いがある。しかし未名子も他人の振る舞いに対して、いちいち腹をたてていることがあったりする。だから自分のことを悪く言う人は許さないが、自分は人のことを批判して