
2020/10/19【経済・金融】今日の貿易統計発表を受けて、日本経済について思うこと
暇潰し投資小僧です。
本日、9月の貿易統計速報が発表されました。
結果は
輸出額 6兆551億円 前年同月比4.9%減
輸入額 5兆3801億円 前年同月比17.2%減
でした。
この記事では
貿易統計などの重要な経済指標を読み日本経済の現状
について、シンプルかつ丁寧に考察してみたいと思います。
例えば投資家やトレーダーにとって、経済状況を正しく人認識する事は投資戦略を立てる上で必要条件です。
尚、筆者は経済学の学位持たない一個人投資家ですので難しい分析は一切行い(え)ませんが、丁寧に経済指標を読む事の重要性をご理解いただければと思います。
貿易統計の推移を確認
輸出額と輸入額の推移(輸出額とその対前年同月比)です。
2020年に入って以来、輸出額と輸入額はともに
一貫して対前年同月比でマイナス
です。
貿易統計から「外需」の回復と「内需」の停滞が見えてくる
貿易統計の見方として常に心に止めておくべきことは
「輸出額」は「外需」の強さを反映する
「輸入額」は「内需」の強さを反映する
という事です。
まず輸出額の対前年同月比を見ると、5月(−26.1%)に底を打ち、9月(-4.9%)まで回復トレンドにある事が分かります。
次に輸入額の対前年同月比を見ると、5月(−26.1%)に底を打ましたが、輸出額に比べて軟調です。輸出額ほど順調に回復しているようには見えません。(9月時は-17.2%)
したがって、貿易統計からは
「外需」は回復しつつあるが「内需」は弱い
という事が読み取る事ができます。
(余談)
よく「貿易黒字」か「貿易赤字」かと言う事が問題にされる事がありますが、貿易収支(輸出額-輸入額)が黒字か赤字かは全く意味のない議論だと思います。たとえば
ケース① 輸出額1000円 輸入額900円
ケース② 輸出額200円 輸入額100円
という2つのケースではどちらも貿易収支は+100円の黒字ですが、中身は全く異なります。ケース②より輸出額も輸入額も多いケース①の方が良いと考えます。
ケース③ 輸出額1000円 輸入額2000円
というケースでは貿易収支は-1000円ですが、貿易赤字だからと言って③は②より悪いとはなりません。むしろ輸出額(外需)も輸入額(内需)も多いケース③の方が良いのではないか、とも考えられるのです。
役立つ経済指標の読み方
貿易統計の他にも、役に立つ経済指標はたくさんあります。
全てを掲載する事はできませんので、ここでは
●GDP成長率
●雇用関係指標
の2指標を見ていきます。
(参考)
今回掲載しない指標では、個人的には景気動向指数(特にCI)を必ず確認するようにしています。
8月分(速報)発表によれば、CIのうち「一致指標」は景気の下げ止まりを示しています。(「下げ止まった」ことは「回復した」ことを示していない点に注意)
またCIのうち「先行指標」は3ヶ月連続で上昇しています。(「コロナショック」のどん底からの上昇にすぎない点に注意)
GDP成長率
GDP成長率は直近の2020年4月〜6月期で
実質成長率は-9.9%
名目成長率は-8.7%
でした。GDPは「日本国内で生み出された付加価値の合計」ですから、そのGDPが前年同期と比べて実質で10%近く減少したのは衝撃的でした。
もう一つ、注目すべきは
実質成長率は2019年10月〜12月期の時点でマイナスに転落
名目成長率は2020年1月〜3月期の時点でマイナスに転落
という事実です。
日本では2019年10月に消費税が10%に増税されました。
マイナス成長の原因は消費税の減税によるもの
と考えるのが自然です。
雇用関係指標(完全失業率)
雇用関係の指標としては
完全失業率
が極めて重要な指標です。
完全失業率は「遅行指標」と呼ばれ、現在の経済状況ではなく数か月から半年程度過去の経済状況を表す指標として知られています。
完全失業率が3%に達した事が話題となりましたが、
完全失業率の上昇トレンドは
2019年12月〜1月
に始まっています。
完全失業率の最近の上昇については「コロナ・ショック」で説明できると思います。
昨年12月からジワジワと上昇しているのは、完全失業率の遅行性から、段階的な消費増税(特に2019年10月の10%増税)が原因と考えるのが自然です。
今回は掲載しませんでしたが、雇用関係の指標としては
・有効求人倍率
・就業者数
も重要です。
おわりに
今回はこれで終わりです。非常に簡単な解説に留めましたが、最新のデータから日本経済が
消費増税
コロナショック
のよって大きく後退した事をご納得いただけたのではないでしょうか。
日本政府と日本銀行は
家計への現金給付
雇用調整助成金
GoToキャンペーン
無制限の量的緩和
政策金融公庫を通じた無担保融資
小口資金の貸付
など(個々の対策に対しては賛否両論あるものの)様々な経済対策講じて一定の成果を上げています。
一方で、日本経済の後退は著しく、さらなる経済対策が求められる中で、第3次補正予算をスピーディに成立させる必要があると考えます。
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