喪失感

 心にぽっかりと穴が開いたよう、なんて言い回しは使い古されたものだ。しかし、今の私の感情を言葉で表すのであれば、この表現が最も適切だと思う。何か別のことを考えていても決して埋まらない。心臓がきゅっと締め付けられるような、ほんの些細な苦しみ。それを感じたのは夕飯を食べ終えた丁度その時だった。

 例にもれず金曜日の夕飯はカレーだった。白菜と茄子の味噌汁に千切りキャベツも添えて、しっかり野菜を取れる献立。カレーはハウスの咖喱屋カレーの甘口。ササっと準備できてそれでいて満足できる。週末の疲れた体を労わる。

 しかし、実際はどうだ。食べ終わった私が感じ取ったのは何か大切なものをなくしてしまったような喪失感だ。満足感なんてどこにもない。あるのはただ空になった皿だけ。


 ああ、どうしてご飯は食べたら無くなってしまうのか...

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