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この書体が好き

「お豆腐あったっけ?。」
「うん、あるよ。昨日、コンビニで買ってきたから。」

こざるちゃんが そう言って、冷蔵庫から 豆腐を出します。

今日も こざる達はいつものように楽しく賑やかに、夕飯の仕度をしています。

「この豆腐、好きなんだ。」
「うん。」
「あのね、豆腐そのものも好きなんだけど、この豆腐っていう字、書体が好きなんだ。」
こざるちゃんが嬉しそうに言います。

「書体?」
「どれどれ?」
こざる達は、皆で 豆腐を覗き込みます。

「『にがり100%使用 きぬ豆腐』だ!」
「うん、なんだか斬新だね。」
「ちょっと切り絵みたいな感じ。」
「モダンで親しみやすい感じがするね。」
皆、うんうん頷きます。

「このスライスチーズも そうだよ!」
こざるちゃんが冷蔵庫からスライスチーズを出します。

『なめらかな食感 スライスチーズ』とあります。

「いいね!」
「ね!」
「ローソンの 全部、そうなの?」
「うんと全部が全部ではないと思うけど、この書体のものが多いよ。」

書体は大事です。
見て 読むものですから、まず 見やすく読みやすくないと商品としては困ります。
特徴あるデザインだけれど、見やすく読みやすく、違和感なく受け入れられるものというと
そう簡単ではないようにも思います。

「新しくできた高輪ゲートウェイ駅の書体、ニュースになってたもんね。」
「確かにパッと見て、明らかに違う感じがするよ。」
皆、うんうん頷きます。

JR東の駅では あまり見かけない「明朝体」なのだそうです。
それで違和感があるのでしょう。

「ちょっと見慣れない感じがするね。」
「確かに、むむ? 何か違うぞという感じがするよ。」

そのうち見慣れてくるかもしれません。

ラジオから こざる達が もっと小さかった頃、皆でよく歌っていた歌が聴こえてきます。

「線路は続くよ どこまでも 野を越え 山越え 谷越えて
はるかな町まで 僕たちの 楽しい旅の夢 つないでる」

『線路は続くよ どこまでも』です。

こざる達も一緒に歌います。

「線路は歌うよ いつまでも 列車の響きを 追いかけて
リズムに合わせて 僕たちも 楽しい旅の歌 歌おうよ」

夕飯が出来たようです。

「りこちゃんに、そろそろ夕飯だよって言ってくる!」

こざるちゃんがハミングで歌いながら、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、もう少ししたら夕飯だよ。
今日は ロールキャベツだよ! 豆腐と葱のお味噌汁も作ったよ! 一緒に食べよう!」


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
字を読むので、書体は大切です。
よい毎日でありますように (^_^)

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