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小林賢太郎さん パリ公演インタビュー翻訳その3

【あなたの祖父は俳句家だったそうですが
 なにか練習したことを覚えていますか?】

短い文字の中から受け取る技術、
読者側の努力が必要だと感じました。

僕の家族は祝い事で祖父の周りに集まったときに
俳句の内容について
あれこれ全て質問していたんですね。

僕はそれはどうだろうと不満を持ってました。

そう簡単に質問をする前に
その俳句を理解するために
まず、考えるべきだと思った。

これは僕の笑いの世界に影響を与えましたね。


【今やあなたは日本でかなりの人気を誇りますが
 10代の頃からクラスの人気者だったのですか?】

あぁ、いや、全然。
僕はクラスの人気者じゃなかったですよ。
みんなの注目を集めてるのは他のやつでした。

むしろ僕は隅っこでそいつを見ながら
あいつよりも俺の方が面白いのになーと
考えてるようなやつでした。


【あなたの舞台には"レトロ"な雰囲気がありますね】

舞台を作るときに考えるのは
歴史の中で"飽きない"こと。

理想的には僕の劇が
100年経っても色褪せないこと。


【「P」について教えてもらえませんか。】

映像作品が出てくるのですが
これはデジタルではなく全てアナログで撮影しています。
映像と寸劇がリンクしていて
出てくる図面はすべて僕が描いたものです。

特殊効果の錯覚があるかもしれませんが
すべて普通のカメラで撮影しただけです。
デジタル時代に逆行してやろう!と思いましてね。

ごくわずかな文字しか使用しません。
それとパントマイム。タングラム。
想像上の言語も出てきます。
日本語…というかフランス語も理解する必要はありません!

僕はパントマイムとマジックを独学で学びました。
マジックバーで働いていたこともあります。

この劇ではトリックを使用しますが
それがメインとして使用されてるわけではないです。
簡単にトリックが推測できるようになってます。
僕にとっては舞台上のただのツールでしかない。
お客さんにもトリックのタネがわかるようなものを好みます。

この演劇のタイトルは「P」
僕は共通する何かを持たせたかった。

Potsunen……(ポツネン)の[P]
Pantomime……(パントマイム)の[P]
Projector…(プロジェクター)の[P]
Paris…………(パリ)の[P]
Play…………(プレイ)の[P]

そして観客の想像力を発達させたいのです。