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デジカメUI: 忠実記録と演出表現

デジカメUI: 画調コントロールのすすめ」でも触れたが、デジタルカメラになって写真の楽しみ方が大きく広がった。

一つは「忠実記録」の能力が、フィルムやプリントを必要としないことによって記録時間量/多視点撮影量という点で飛躍的に向上したのである。
毎日のように撮影できるようになり、活動「参加」記録としての集合写真だけでなく、活動そのものを記録するような質的な変化にもつながっている。

銀塩フィルムの時代の多くの期間は、生まれたときと、入学・卒業式と、正月と夏休みと、誕生日、運動会くらいしか写真を撮っていなかった。
その後、写ルンです。や0円プリントの登場によって、現在の撮影カットに近い写真が増えていった。


もう一つの「演出表現」は、被写体に対する構図や時間の切り取りといった基本に加えて、画像を積極的に演出・表現することが気軽にできるようになり一般の人が普通におこなうものになった。
特にインスタグラムなどのSNSの登場によって、写真を演出することは一般的なことになった。

銀塩カメラの時代は、ライティングやレンズの前に付けるフィルターなどによって表現を工夫したり、一部のユーザーはフィルムの現像やプリントのときに工夫をして多くの表現を生み出していた。
現在のデジカメでの演出も銀塩カメラ時代のものをデジタルに置き換えたものが少なくない。むしろそれが基本になっていると言って良い。

演出表現の「4F」

多くのデジタルカメラ、スマホアプリを俯瞰してみたとききに見えてくる新しい設定項目である、「フィルター」「フレーム」「フィルム」「フォーマット」の4つの頭文字をとって「4F」である。

この4Fは、組み合わせのパターン/バランスによって写真を全く違う雰囲気にしたり、微調整にしたりできる。
そのため、4つを同時に調整できるUIが望ましいが、長期演出と短期演出に分けて考えることができるので設定のタイミングは分散することもできる。

シャッター速と絞り(またはいづれかと露出補正)、ISO感度の連動設定UIが忠実記録の基本設定だとすると、4Fは演出表現の基本設定と言える。

撮影前か、撮影中か、撮影後か

撮影前にその日の作画テーマとして設定しておく方法、撮影中にファインダーを見ながら演出する方法、そしてインスタグラムのように撮影後に演出する方法がデジタル技術によってできるようになっている。

特に重要なのは、撮影中にファインダーを見ながら被写体やシーンに最適な表現を見つけることができる撮影中設定の方法である。
撮影中であれば、表現に合わせて最適な被写体やシーンを見つけ出すだしたり、フレーミングやタイミングを表現に合わせることができる。

そうは言っても日常の中で写真を楽しんでいる人にとっては、撮影現場でじっくりと写真を撮れることばかりではないので、サッと撮影した後からそのシーンに合った演出をする方がやりやすい場合も多く、演出の試行錯誤も十分にできる。

LUMIX DC-G9のUIはどこまでできるのか

PRO機を狙っているので、従来の基本設定に軸足を置かざるおえないし、それがあった上での演出表現「4F」である。

問題はUIカスタムによって、どこまで現実に4Fを撮影現場でコントロールできるようになるのかである。
結論としては、カメラ機能として持っていないフレーム以外は、Fnボタン割当が可能で、前後ダイヤルにも画面タッチ操作にも割り当てることができる。

下記の表は私が設定している内容です。

ダイヤル操作は、一旦ダイヤル動作を露出系から切り替えるためにFnを押し、その後ダイヤルをグリグリすればファインダーのライブビューが変化していく。
またタッチFnボタンでは、フィルター、フォーマット、フィルムの3つを並べて配置できるので、組み合わせのイメージを持ちやすくなる。

演出表現の4FをカスタムUIで割り付けてみて改めて思うのは、G9のカスタム性の高さである。どなたが利用シナリオ(UX)を描いているのか分かりませんが凄いカメラであります。

※DC-G9ではフィルム(フォトスタイル)の特徴とフィルター(フィルター効果)の特徴が掛け合わせる動作はできず、フィルターOFFの場所がフォトスタイルの状態になるという階層化された組み合わせとなる。



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