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「体験設計のためのプロトタイピング」を教科書的にまとめてみる(下書き①)

教科書なんて何十年も読んでいないのでどんな感じだったかスッカリ忘れてしまいましたが、初めて読む人でも体系的に本質を理解できるような文章を目指して書いてみます。今回は最初の一歩なので軽くやってみるつもりです。


しかし「プロトタイピング」というものは、アイディエーションのように目に見えない活動だけでなく、物を作るなど極めて具体的な活動でもあるため、業界や各人で全く違う定義がされています。

また今回は「体験設計」に限定したプロトタイピングについてまとめますが、体験設計自体が、製品設計前の特定のフェーズの設計活動であると同時に、事業全体で取り組むべき活動です。そのためプロトタイピングについても2つの範囲を意識する必要があります。

このような前提の下でどこまで理解しやすく役に立つ教科書ができるのかチャレンジしてみようと思います。

体験設計の教科書
第X章 プロトタイピング


設計には不確定な要素を確認しながら進めていく試行錯誤が必要になります。特に体験設計では利用状況や人間(ユーザー)という利用時における不確定要素の中で製品が機能的価値や情緒的価値を提供できるようにするためにより幅広い試行錯誤を設計段階でおこなっておく必要があります。

この試行錯誤を効率的におこなう手法がプロトタイピングです。試行錯誤は頭の中だけでもできますが、実際に作ってみる・やってみる事によって、さまざまな発見や検証ができるようになります。

システムとはこれまで製品を指すものでしたので、ここでは「System of Systems(システムのシステム)」として利用状況、ユーザー、製品をUXシステムと呼ぶようにします。つまり体験設計とは経験価値を実現するUXシステムを設計する行為と言えるのです。


体験設計には2つの視点があります。一つはユーザーにどのような体験をさせるかを決めるフェーズで、その後それを実現するための製品を開発します。もう一つは事業全体を通して体験設計を実現するための活動で、部門を超えた連携を作り出します。


製品設計前の体験設計でおこなうプロトタイピング

UXシステムには利用状況、ユーザー、製品に調和のとれた連携が求められます。この3つの要素の考え方は人間中心設計とも一致するもので、製品設計をおこなう前に利用状況とユーザー、それに対する製品の役割や連携について想定しておく必要があります。

特にゼロから事業を起こす場合には、起業の目的やテーマ設定によって利用状況やユーザーを意図的に設計(設定)することも可能になりますので、3つの要素全体(UXシステム)が体験設計の対象になってきます。

社会情勢や生活の変化によって常にUXシステムは変化しています。既存製品のモデルチェンジでは、単にスペックアップをおこない勝ちですが、体験設計とプロトタイピングによって製品の価値や役割を再設定していかなければなりません。


事業全体でおこなう体験設計のためのプロトタイピング

体験設計は開発プロセスの特定のフェーズの活動であるだけでなく、事業のライフサイクル全体を人間の経験価値を中心にしたものにするための活動でもあります。宣伝、販売、サポートなど一連のユーザー体験の視点で考えれば当然のことです。

事業は最終的に顧客への経験価値を利益に変えています。つまり体験設計の下に全ての事業活動を置き総合的な体験を提供する必要があります。

この事業全体でおこなうプロトタイピングは、モノ作りのプロトタイピングとは異質なものになりますが、作れるものを作り、実際にやってみる事に変わりはありません。ARやメタバースなどのデジタルツールを活用しながらより大きな範囲の連携と役割を検証したり、ロールプレイイングやアクティングアウトと言われる空間演劇を活用しながら、UXシステムの範囲を見極め、連携を作り出していきます。


**今回の反省**

体験設計の定義を2つに分けて、それぞれの場面に必要なプロトタイピングを考えていこうと整理してみました。この方向が初めて読む人にとって分かりやすいかもう少し検証してみるつもりです。


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