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企業にCPO(チーフ・プロトタイピング・オフィサー)が必要なワケ

デザイン思考のプロセスの中に手段として使われるプロトタイピングですが、ビジネス(B)/テクノロジー(T)/クリエイティブ(C)を繋ぐ中心的な事業活動としてプロトタイピングを位置づけ、プロトタイピング活動を最大化・最適化することに責任を持つ「チーフ・プロトタイピング・オフィサー(CPO)」に就任する妄想を考えてみました。

テクノロジーとクリエイティブの世界ではプロトタイピングは当たり前のようにおこなわれていますが、ビジネス活動においてもデザイン思考の浸透によって自社のバリューやビジョンを顧客に提供する価値というユーザー視点に置き換えて定義していく過程でプロトタイピング的な手法が取られておりBTCの共通プロセスとして考えられるようになってきています。

CTOやCDOと同じようにCPOを会社に置くことで、部門を超えたプロトタイピング活動を推進し、長期的な取り組みができるようになります。

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CPOは何を目指すのか

CPOは社内でおこなわれているプロトタイピングを把握し、部門ごとの閉じた活動にならないように調整することが最大の役割になります。

プロトタイピングの目的として、考えているそのものの検証、周辺や外部からの受容性の検証という内外2つの方向での検証がありますが、検証以外にも社内全体のコミュニケーションを活性化して情報を確実に深く広めることはCPOにしかできない活動です。

私はこれまではデザイン部門でプロトタイピングを中心にしたデザインプロセス導入に関わってきましたが、他部門との技術交換やプロトタイピング交流の必要性を感じていました。将来の夢としてCPOになってプロトタイピングの可能性を引き出していきたいと考えています。

これまでプロトタイプ(試作)にもっともお金を掛けてきたのは開発・生産部門ですが、そのままの流れでCPOのリーダーを選んでも意味がありません。顧客価値と人間中心の視点に立ったプロトタイピングを推進してきた人物がリーダーになることで大きなパラダイムシフトを起こしメッセージを発信することができるのではないでしょうか。


専門機器メーカーにCPOが必要なワケ

医療機器など専門的な知識と経験をもった特別なプロフェッショナルが使用する機器やサービスの開発では、技術的に機器のことを知っているだけでは製品の有効性を確認できません。そのため何度もプロトタイピング(試作)をおこないプロフェッショナルの意見を聞きながら開発がおこなわれます。

またこの活動自体が安全性に対する認証の一部になり、法規制上の管理対象になる場合もあります。

そのためプロトタイプとして何を作るかだけでなく、それを適切な方法で評価し情報を管理する活動全体を扱う必要があります。法規制で要求されている内容を理解し、それに対応した評価手法を決め、最後にプロトタイプを計画する手順が求められます。

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また一方で最新の技術によって高度な製品が求められる分野では、新しい発想によるイノベーションをプロトタイピングで起こしていく必要があります。

きっちりとプロトタイピングを管理していく一方で、自由な発想につながるクイック&ダーティーなプロトタイピング文化を作っていくこともCPOの重要な役割になります。

これまで技術部門がメーカーの中心にいましたが、これからは顧客の課題解決を中心にした価値提供にシフトしていくために、法規制からモノ作りマインドまで、新しい発想から製品認証(保証)の仕上げまで関わるプロトタイピングを軸にすることで、新しいデザイン経営が実現していくはずです。



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